今回の料理は「坦々そうめん」です(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は夏に余ったそうめんを活用した濃厚「坦々そうめん」です。

米が切れた場合にも役立つメニュー

この時期になるとそうめんは「余りがち」とよくいわれます。実際にはそうめんの賞味期限は長く、余って困るものではありません。そもそも熟成させて食べるくらいの食べ物なので、保存方法さえ気をつければカビが出ることも、腐ることもないからです。余りがちといわれるのはそうめんの味が淡白で、いわゆる「飽きやすい」食べ物だからかもしれません。

そこで今回はこってりとしたつけダレで食べる「坦々そうめん」をご紹介します。濃厚さを出す練りごまと辛味をつけるための豆板醤さえ準備すれば、簡単につくれるレシピです。

担々麺はお店で食べるようなメニューですが、家でも作れると驚くはず。台所の米が切れてしまった……というときにも役立つメニューです。

坦々そうめんの材料(2人分)
豚ひき肉  100g
にんにく  1片
サラダ油  大さじ1
トマト   小1個
豆板醤   小さじ1
しょうゆ  大さじ2
砂糖    大さじ1
練りごま  40g(芝麻醤でも可)
水     200ml
ラー油   好みで


練りゴマや芝麻醤はごまをすりつぶしてペースト状にした食材です


トマトのうま味もスープの味わいに一役買います

豚ひき肉から出汁が出るので顆粒のガラスープなどは入れていませんが、好みで加えてももちろん大丈夫。ただ、一度はそのまま作ってみてください。素材から出る味わいを知ってはじめて「そのままでもおいしい」や「加えたほうがいい」という判断がつくようになるからです。

にんにくはみじん切りにします。フライパンにサラダ油をしき、みじん切りにしたにんにくを加え、中火にかけます。


にんにくは粗めのみじん切りがおいしいです

にんにくが軽く色づいてきたら、豚の挽肉と豆板醤を加えます。混ぜ合わせ、さらに加熱してきます。


にんにくを焦がさないように注意しましょう

豆板醤という調味料はそら豆を発酵させたみそに唐辛子の塩漬けを足し、さらに発酵させた中国の調味料。麻婆豆腐や回鍋肉といった日本でおなじみの中国料理の味の決め手です。

使い方の基本は「油で炒める」こと。炒めることで味わいを凝縮させ、香りを油に移すことで、風味よく仕上がります。


豚の挽肉はしっかりと炒めましょう

全体に火が通り、肉から赤い部分がなくなったら水を加えます。


焦げそうであれば途中で火を弱火に落としましょう

さらに1.5cm角に切ったトマトと練りごまを加えます。


トマトを省略する場合は顆粒のガラスープを足したほうがいいでしょう

砂糖としょうゆで味付けし、沸騰したら弱火で2〜3分煮出せばつけスープの完成。


そうめんをつけて食べるので吸い物よりも濃い目の塩加減です

袋の記載を参考にそうめんをゆでます。そうめんのゆで方の基本は以前の記事(『超簡単「自作つゆ」で絶品、そうめん美味に食べる技』)を参考にしてください。


たっぷりの湯で短時間ゆでることがそうめんの基本です

出来上がり。熱々のつけスープに冷たく締めたそうめんをくぐらせて食べるつけ麺風の料理です。好みでラー油を加えて、お召し上がりください。

そうめんはストレートタイプのコシの強い麺なので、担々麺風のスープとは好相性。そうめんはたしかに淡白なのですが、それゆえに「どんな味付けにも合わせやすい」という特徴があります。ごまの濃厚な味わいを楽しんでください。


洗ったそうめんを再び湯に入れて温めてもいいですが、冷たいほうがコシが強くなります


柚子ごしょうや辛子などを添えるとさらにいいでしょう


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(樋口 直哉 : 作家・料理家)