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『エイリアン』シリーズと聞いて、真っ先に何を思い出すだろう? 巨大で恐ろしいゼノモーフか、顔に飛びつくフェイスハガーか、人間の胸部を突き破って現れるチェストバスターか。最新作には、もちろんそのすべてが登場する。

『死霊のはらわた』(2013)『ドント・ブリーズ』(2016)のフェデ・アルバレス監督は、独自の視点をもってシリーズのアイコンというべきクリーチャーを再創造した。言うまでもなく、チェストバスターの衝撃シーンもそのひとつ。撮影監督のガロ・オリバレスと出演者が、そのこだわりの一端を明かした。

この記事には、映画『エイリアン:ロムルス』のネタバレが含まれています。

この記事には、映画『エイリアン:ロムルス』のネタバレが含まれています。

(c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved. 「複雑すぎる」チェストバスター登場シーン

漂流する宇宙ステーションに乗り込み、惑星ユヴァーガへと向かおうとするレインやアンディ、タイラーらは、冷凍保存庫から燃料を入手したところ、冷凍されていた大量のフェイスハガーを目覚めさせてしまう。一同は逃げ惑うが、ナヴァロはフェイスハガーに追いつかれ、顔面に取りつかれてしまった。仲間たちはフェイスハガーをなんとか引きはがすも、すでにチェストバスターの寄生は完了していた。

パイロットであるナヴァロは宇宙船のコックピットに到達するも、自らのなかに異物が存在することを悟る。やがてチェストバスターが胸部を突き破って飛び出し、ナヴァロは死亡するのだ。

監督・脚本を務めたフェデ・アルバレスの狙いは、チェストバスターの登場シーンをできるだけリアルに撮ることだった。米にて、撮影監督のガロオリバレスは、監督から「起きていることを目撃し、反応してほしい。そのまま記録しているかのように」という指示を受けたことを明かしている。

アルバレス監督のこだわりは、レインたちが採掘地の労働者であるという設定を活かし、「トラックの荷台のように感じられる」小さなコックピットを作ること。実物大の模型を見たオリバレスは「なんてこった、これじゃ誰も入れない」と頭を抱えたそうだが、約1メートル四方の極小空間に、10人ほどのスタッフ&キャストが入っての撮影が実施されたという。

チェストバスターの特殊効果を手がけたのは、『エイリアン2』(1986)からシリーズに参加してきたアレック・ギリスのチーム。ナヴァロ役のアイリーン・ウーは、当時の出来事やシガニー・ウィーバーについてのエピソードを聞くのが楽しかったと振り返る。

「(チェストバスターの)特殊効果には3つのパーツがあり、ひとつは私の胸郭を表現する、ポンプと風船が入ったもの。撮影の2日目には、床に掘られた穴に横たわり、鎖骨あたりに大きなパーツをつけました。バックパックを身体の前に構えるように、胸をまるごと装着したんです。水圧ポンプにつながったレバーがあって、引くと胸が開く。空洞になっていて、チェストバスターの人形が偽の胸部を突き破る仕掛けでした。」

セットでは3人の人形遣いが、監督の指示に従ってチェストバスターのパペットを操作していた。そんななか、ウーはナヴァロが痙攣し、泡を吹きながら死んでいく様子を演じたのである。「死ぬことを自分ごととしては感じられないけれど、激しい身体的苦痛をイメージし、懸命に想像しました。自分が気絶したあと、いきなり現れた異物が自分の中で動いているのはどんな感じだろうって」。監督のビジョンを信頼し、ハードな撮影を乗り越えたという。

このチェストバスターのシーンを、オリバレスは「複雑すぎる」と語る。狭い空間とチェストバスターの特殊効果だけでなく、物語上ではその間に宇宙船がステーションに激突するのだ。これを可能にするため、セットは巨大な回転台の上に作られ、その外部にはあらゆる光を表現する照明装置も用意された。照明スタッフ(ギャファー)は『デューン 砂の惑星』シリーズや『ブレードランナー 2049』(2017)のクリスティアン・パルチだ。

ちなみに、そこでは思わぬ予想外がシーンのクオリティに影響を与えることになった。オリバレスは「宇宙船がクラッシュしたら、シーンの最後にはすべての光を消すつもりだった」というが、いざ撮影が始まると、その美しさとエネルギーに感銘を受けたというのだ。「これは(光を)消せないな、と思いました。最後まですごくかっこよかったんです、素晴らしかった」。

映画『エイリアン:ロムルス』は公開中。

Sources: Variety(, , )