『GO HOME』小芝風花が涙ながらに投げかけた言葉 タレント犬・ななの目を見張る芝居
ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)第7話は、前回に続き新バディが誕生する。本来は桜(小芝風花)と真(大島優子)のバディもの、前回は桜の身元調査にトー横キッズの少女・ハルピ(莉子)が同行していたが、今回は遺留品ならぬ“遺留犬”の柴犬が桜のバディ相手だ。
参考:宮本茉由、キーパーソンを担える俳優に 『占拠』シリーズから変化した“怪しさ”のギャップ
タレント犬、もしくは俳優犬と呼ばれる犬の演技を筆者もドラマの現場取材で見たことがあるが、スタンバイの時は大人しく待ち、本番になると芝居に入る、その切り替えに驚いたことがある。もちろん、飼い主のしつけあってのことであるのは想像に難くないが、今回登場したマコト(なな)も利根川(吉田鋼太郎)がペットロスを起こすほどのかわいさだけではない、目を見張る芝居を見せてくれている。
特筆したいのは、トリミングサロンの代表・浜野真由美(宮本茉由)にマコトが異常に懐いていたこと。そのことが糸口となり、桜は亡くなった千秋(大後寿々花)との関係性に辿り着く。
千秋は同性愛者で、真由美はその恋人だった。一緒に暮らしていたことからマコトも真由美に慣れ親しんでいたということになる。桜と一緒にトリミングサロンを出ていく時、後ろ髪を引かれるように真由美の方向を気にするマコトの演技はどのように教えているのか気になるくらいだ。
千秋の実家は、箱根にある旅館を経営しており、跡継ぎの関係から2人が同性愛者であることを千秋の両親は理解をしてくれなかった。別れを選んだ後、男性の宮本圭介(入江甚儀)と一緒にいるところを目撃し、「これでよかった」のだと思っていた真由美。しかし、千明は子どもを作るために、圭介に人工授精を持ちかけていたことが分かる。千秋は、真由美と子どもの3人で旅館を継いで一緒に生きていく未来を思い描いていたのだ。
最近では『作りたい女と食べたい女』(NHK総合)や『チェイサーゲームW』(テレビ東京系)といった女性同士の同性愛を描いたドラマが多く制作されており、この2作品はシリーズ化もされている人気作。特に後者は、LGBTQ+コンテンツ専門の配信プラットフォーム「GagaOOLala」のGL/LESBIANジャンルで全世界1位を記録するほど、女性からの支持を集めている。
今回の『GO HOME』では、身元不明人相談室の立場からアウティングに配慮しつつ、“本当に彼女を理解していた人”=真由美に千秋との関係について話してもらうという脚本。加えて、3人で生きていこうとしていた千秋の思いに対して、桜が真由美に「それって普通ですもんね。願って当たり前のことですもんね」と涙ながらに投げかけるシーンには、変わらない今の社会を憂いてしまう。
犬の名前がマコトということを知り、いつも以上に捜査に張り切っていた手嶋(阿部亮平)。真との恋愛模様も気になる中で、第8話は手嶋回。拳銃を奪われるという刑事としてはあってはならない失態を手嶋は犯してしまう。
(文=渡辺彰浩)