「行かせて頂いてもよろしいでしょうか」 迷う侍指揮官に即答…白星掴んだ18歳の“立候補”
侍U-18代表は台湾に1安打も1-0勝利…決勝進出に前進した
スモールベースボールで勝利を掴んだ。侍ジャパンU-18日本代表は6日、台湾で開催されている「第13回 BFA U18アジア選手権」のスーパーラウンド・台湾戦に1-0で勝利。決勝進出に前進した。2人の活躍が、白星を手繰り寄せた。
オープニングラウンドを全勝で通過したチーム同士の対戦は、手に汗握る投手戦となった。日本は5回まで無安打。試合が動いたのは6回だった。9番・明徳義塾の山畑真南斗内野手(3年)がチーム初安打を放つと、敵失などで無死一、三塁。ここで2番・広陵の濱本遥大外野手(3年)が初球をスクイズ。1安打で待望の先制点を掴み取った。
小倉全由監督は迷っていた。絶好機を逃すわけにはいかない。無死一、三塁でスクイズか打たせるのか――。そんな迷いを素直に打ち明けると、濱本からまさかの回答が返ってきた。「初球、セーフティスクイズ行かせて頂いてもよろしいでしょうか」。真面目な濱本らしい、丁寧な“立候補”だった。
見事な有言実行だった。重圧のかかる場面だったが一発で決めて見せた。そんな姿に小倉監督も脱帽。「やっぱり広陵で鍛えられていますね」と笑った。勇気が掴んだ貴重な1点だった。
初スタメンで躍動した山畑真南斗「自分がされて嬉しかったことを…」
この日のヒーローは他にもいる。チームで唯一の安打を放ち、先制のホームを踏んだ山畑だ。これまで全試合に途中出場で、この試合が初のスタメンだった。まさかの抜擢に、自身も驚きを隠せなかった。
控えということは最初から自覚していた。身長165センチ。昨年、侍U-18を率いて世界一に導いた明徳義塾の馬淵史郎監督からは「自分より体の大きな選手が多いからベンチの方が多いと思うけど、出た時には役割を果たせるように準備をしておけ」と言葉をもらっていた。
明徳義塾ではチームの中心で、控えの経験は少ない。それでも「自分が控えの子からされて嬉しかったことを思い出しながらやっていました」。できる限りのサポートをしてきた。攻守交代の際にはタオルや飲み物を率先して運んだ。「自分の役割はそこだと思っていたので」。そんな献身的な姿勢が、初安打に繋がった。一塁ベース上で喜びを爆発させた。
勇気を持って宣言したスクイズ。初スタメンで値千金の安打。2人の侍が、大きな勝利をもたらした。「日本の野球は通用する」。山畑は自信を持って言い切る。安打が出なくても、少ないチャンスで勝ち切ることができる力が日本にはある。7日は韓国と激突。若き侍はどんな戦いを見せるだろうか。(木村竜也 / Tatsuya Kimura)