セブン&アイ、クシュタールの買収提案は5.7兆円規模 「著しく過小評価」

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Ritsuko Shimizu Nobuhiro Kubo

[東京 6日 ロイター] - セブン&アイ・ホールディングスは6日、カナダの小売大手アリマンタシォン・クシュタールが同社に提示した買収価格は1株14.86米ドルで、全株を現金で取得するものだったと発表した。クシュタールに同日付で送った書簡の中で言及した。

提案を公表した8月19日の為替、1ドル147円付近で換算すると、5.7兆円程度の買収総額となる。現在のセブン&アイの時価総額は5.6兆円。

セブン&アイが公開した同書簡は、クシュタールの提案がセブン&アイの企業価値を「著しく過小評価している」と指摘。競争法上の懸念にも触れ、条件を大幅に引き上げても「クロージングの確実性が担保されていないと考えている」とした。

これらの懸念が払しょくされても、セブン&アイが食品小売業や銀行など日本の消費者の日常生活に不可欠な役割を果たしている点についても「さらなる協議が必要なことは明らか」と指摘している。

8月19日にクシュタールから法的拘束力のない買収提案を受けたセブン&アイは社外取締役で構成する特別委員会を立ち上げ、提案内容を検討していた。特別委員会の報告に基づき、5日に開いた取締役会では「提案が株主やステークホルダーの最善の利益に資する提案ではない」と全会一致で結論付けた。

セブン&アイがクシュタールに回答を送ったことで、今後は、条件面の見直しなど、クシュタール側の動きを待つことになる。

セブン&アイからの書簡について、クシュタールからは回答が得られていない。

6日の東京株式市場で、セブン&アイ株は小幅安で推移している。