U-15日本代表候補が2日、福島県のJヴィレッジで3日間のショートキャンプをスタートした。合宿には選手42名、コーチングスタッフ11名が参加。その初日は42名が3グループに分かれ、アプローチの距離や球際の強度、細かなポジショニング、仕掛ける姿勢などを指摘されながらGKを含めた4対4や7対7のトレーニングを行った。

 U-15日本代表は今年、2月に候補合宿を実施後、5月にクロアチア遠征、7月にウズベキスタン遠征を行っている。今回は、30名以上がU-15日本代表候補初選出の選手たち。平田礼次監督は合宿の意図について、こう説明する。

「(2025年から毎年開催される)U-17ワールドカップへ向けて。(総務の方や、ドクターの方を含めて)できるだけ多くの目で、できる限り選手たちに刺激を与える。こういう世代でめちゃめちゃ変化するんで、いい方に変化する選手が多いんで、それを拾うためにパフォーマンスとポテンシャルをみんなで『識別』って言ってますけど、(多くの目で見落とさないように)『識別』していく作業が意図としてあります」

 各選手たちにとっては、基準を高めるための貴重な機会だ。今年、15歳で「違う国のサッカースタイルに慣れてない」(平田監督)選手たちが、クロアチア遠征やウズベキスタン遠征で自分たちに不足しているものを体感。「かなり日常を変えなきゃいけない」(平田監督)と気づいて帰ってきた。コーチ陣は、海外遠征を経験している選手も参加している今回の候補合宿で、多くの選手にその基準を持ち帰って欲しいと考えている。

 合宿中は昨年のU-17ワールドカップや、今年行われたU-15日本代表のクロアチア遠征、ウズベキスタン遠征の映像も共有。ピッチ外でも、各選手が世界で戦うために何が必要か感じる機会が与えられるという。

 平田監督は昨年、今年とU-15日本代表を指導。一つの刺激によって急激に成長した選手の姿も見ている。「人間性のある選手はどんどん良くなります」。U-16年代で飛躍している選手に加え、U-15年代にも、すでに上のステージで戦うチャンスを掴んでいる選手もいる。

 中学3年生MF長南開史は柏U-18で先発に定着し、U-18年代最高峰のプレミアリーグEASTでも抜群の動き。また、U-16日本代表に選出されているDF熊田佳斗(大宮U15)やFW高木瑛人(鹿島ジュニアユース)、MF北原槙(FC東京U-15むさし)ら今回の候補合宿メンバー外のU-15選手にも、より成長する環境で戦っているような選手がいる。今回は3日間の短期ではあるものの、U-15日本代表候補の活動をきっかけに彼ら同様、日常を変える選手が現れることへの期待は大きい。

 年明けにはU-16日本代表の海外遠征が行われる予定。今回の42名もその活動に選出される可能性があるという。そのアピールチャンスでも合宿の初日は、まだ緊張感と週末の公式戦や長距離移動による疲労、コーチ陣の要求の高さに苦戦した選手が多数。平田監督は「目の輝きなんかはこれからどんどん見たいです」。合宿2日目の3日は、U-15日本代表候補の3チームに尚志高(福島)を加えた計4チームで午前午後にそれぞれ総当りの実戦(各25分)を行う予定。42名のU-15日本代表候補が、多くの目の中で自分のパフォーマンスとポテンシャルを発揮し、チャンスを掴む。


(取材・文 吉田太郎)