オリンピックの戦いを経て、成長を示すときが来た。FW細谷真大(柏)はアジアカップ以来となる7か月ぶりの日本代表メンバー入り。パリ五輪は準々決勝敗退と悔しさを味わったが、「あとはワールドカップしかない。五輪に出た経験をつなげていかないといけない。五輪の悔しさをW杯で晴らしたい」と意気込みを口にした。

 パリ五輪世代ながら、2022年のE-1選手権でA代表デビューを飾った。今年の1月にはA代表の一員としてアジア杯も経験。だが、先発したグループリーグ初戦では精彩を欠き、ハーフタイムに途中交代。その後は準々決勝で後半アディショナルタイムに出場したのみで大会を終えていた。

 A代表での悔しさもあってか、Jリーグでも得点から遠のいた。4月のパリ五輪アジア最終予選も兼ねたU23アジア杯で、苦しみ抜いた末に待望の復活ゴール。同大会での優勝を経て、パリ五輪でも世界を相手にFWとしての真価を発揮してみせた。

 この7か月でひとつの転機を迎え、北中米W杯アジア最終予選に臨むA代表メンバーに再び入った。「アジア杯よりはプレーの幅も広がっている。いいプレーをできる自信もある」と胸を張る。裏への飛び出しだけでなく、当たり負けしないフィジカルは五輪でも通用。「違ったものを見せられると思う。出るためにしっかり練習からやっていく必要がある」と試合出場に意欲を見せた。

 もちろん、これまで以上に過酷な戦いになることを理解している。日本は2大会連続でアジア最終予選の初戦を落としてきた。「最終予選になるとまたひとつレベルが上がってくる」。未経験の戦いは承知のうえで、上田綺世らとのFW陣の1トップ争いに臨む。「また違った良さを出していけたら。下からどんどん追い上げていけたらいい」と新たな舞台での活躍を誓った。

(取材・文 石川祐介)