保育園や幼稚園など、幼児が集まる施設に空気清浄機を設置するだけで、子どもたちの呼吸器感染症のリスクが低減し、子どもと両親の病欠が減少する可能性があることがわかりました。

The effect of room air cleaners on infection control in day care centres - ScienceDirect

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2950362024000043

Study: Air purifier use at daycare centres cut kids' sick days by a third | Yle News | Yle

https://yle.fi/a/74-20062381

Study demonstrates effectiveness of air cleaners at daycare centers - World Socialist Web Site

https://www.wsws.org/en/articles/2024/04/02/vpoj-a02.html

ヘルシンキ大学のヴィル・A・ヴァルティアイネン氏らは、フィンランドにある2つの児童福祉施設を研究対象に選び、それぞれに空気清浄機を設置しました。研究を実施した時期はちょうど風邪とインフルエンザが流行る11月から4月末までの6カ月間です。

空気清浄機は高価で、さらに施設内に設置できるスペースも限られているため、ヴァルティアイネン氏らは数学モデルを用いて最適な設置場所を割り出し、感染を最大限減らすようにしました。結果的に、施設Aには22台、施設Bには23台の空気清浄機が設置されました。空気清浄機はそれぞれ6つのメーカーの14種類の異なるモデルで、騒音を考慮してほとんどの製品を低速で動作させました。



空気清浄機を設置した施設と設置しなかった施設を比較した結果、呼吸器感染症にかかるリスクが空気清浄機を設置した施設Aで平均53%、施設Bで37%減少したことがわかりました。結果として子どもの病欠が約30%減り、両親が看病のために仕事を休む日数も減少したそうです。

ヴァルティアイネン氏らは「空気清浄機が使用された施設では、子どもたちの体調不良が明らかに減少しました。病気は、子どもたちの両親や施設のスタッフにも波及することが多く、大人の欠勤も誘発します。フィンランド社会保健省は『病気休暇で国内総生産の1.3%が失われている』と推定していることもあり、欠勤の減少は経済損失の減少にもつながります。このような利点は、空気清浄機を導入する際のコストを上回る可能性もあります」と述べました。

研究に携わったヘルシンキ大学のエニ・サンマーク氏は「空気の浄化が空気中の病原体を減少させることは世界中の結果で示されていますが、これまでデイケア施設や学校で今回のような調査が行われることはありませんでした。フィンランドでは病気休暇1日につき約370ユーロ(約6万円)を雇用主が負担していますが、病気を減らすことができれば、大きな節約になるでしょう」と語りました。