「Ryzen AI 9 HX 370」ノートPCの実力検証、仕事もAIもゲームもいける高性能&省電力
2024年7月末に発売がスタートしたAMDの最新モバイル向けSoC「Ryzen AI 300」シリーズ。上位モデル「Ryzen AI 9 HX 370」を搭載するASUSのノートPC「Zenbook S 16」を試用する機会を得た。比較用にコア数で上回るCore Ultraを用意し、性能や消費電力をチェックしていく。
Ryzen AI 9 HX 370を搭載するASUSの「Zenbook S 16」でテストを行う。今回の試用機は海外モデルだが、参考までに国内同等モデルの直販価格は319.800円
Copilot+ PCを満たすZen 5世代のRyzen AI 300
まずは、「Ryzen AI 300」シリーズについて触れておこう。AMD最新世代のZen 5アーキテクチャを採用するCPU、高いAI処理性能を求めるMicrosoft「Copilot+ PC」の要件を満たす50TOPSのNPU、新たに開発されたRDNA 3.5アーキテクチャを採用するGPUを組み合わせたSoCだ。詳しいスペックは以下の通りだ。
特徴的になのは、Zen 5コアとZen 5cコアがあること。IntelのPコアとEコアと同じような関係だが、アーキテクチャは同一、ほぼ3次キャッシュ量が違うだけなので、ソフトウェア側がコアの違いを配慮する必要はない。なお、Zen 5は4コア単位で16MBの3次キャッシュを共有、Zen 5cは8コア単位で8MBの3次キャッシュを共有する仕組み。Ryzen AI 9 HX 370とRyzen AI 9 365の3次キャッシュ量が同じなのは、Zen 5cが6コアでも8コアでも共有される3次キャッシュ量が変わらないため。
CPU-Zの表示。3次キャッシュが16MBと8MBの組み合わせなのが分かる
GPUの「RDNA 3.5」アーキテクチャは、Radeon 7000シリーズの「RDNA 3」をベースに省電力性能をさらに向上させているのが特徴だ。Ryzen AI 9 HX 370のRadeon 890Mは、CPUのコア数にあたるCU(Compute Unit)が16基と、AMDのCPU内蔵型のグラフィックスとしては最大級の数だ。ゲームもかなり遊べるかと期待されるところ。
Ryzen AI 9 HX 370はGPUにCUを16基搭載するRadeon 890Mを内蔵(Ryzen AI 9 365は12基のRadeon 880M)
AI特化プロセッサの「NPU」には、「XDNA 2」を採用。処理性能はRyzen 7040/8040世代搭載のXDNAが10TOPSだったのに対し、50TOPSまで大幅に向上した。まだまだ、対応アプリが少ないという状況だが、Copilot+ PCの要件も満たしており、今後充実していくのではないだろうか。
NPUの稼働状況はタスクマネージャーでチェック可能だ
NPUを活用するアプリはまだ少ないが、Ryzen/Radeon向けの画像生成AI「Amuse 2.0 Beta」では、NPUがわずかに使われているのが確認できた
16型ノートPCのASUS「Zenbook S 16」でベンチマークを実行
今回は上位モデルのRyzen AI 9 HX 370を搭載するASUS「Zenbook S 16」(英語版)で性能をテストする。16型で2,880×1,800ドットの解像度、有機ELパネルのディスプレイを搭載するノートPCだ。メモリはLPDDR5X-7500が32GB、ストレージはGen 4接続のNVMe SSDが1TBというハイエンド仕様だ。
大画面ノートだが、最薄部約11.9mmと薄くホワイト基調のカラーリングと相まってスマートに見える
16型で2,880×1,800ドット、有機ELパネルのディスプレイ。リフレッシュレートは120Hzと高い。DCI-P3カバー率100%と色の再現性も優秀だ
比較対象は、同じASUSで14型ノートPCの「Zenbook 14 OLED」(型番UX3405MA-U7161W)を用意した。CPUにCore Ultra 7 155Hを搭載、メモリはLPDDR5X-7467が16GB、ストレージはGen 4接続のNVMe SSDが1TBというスペックだ。Core Ultra 7 155Hは、Pコア6基、Eコア8基、LP Eコア2基で合計16コア20スレッドとコア数はRyzen AI 9 HX 370を上回る。そしてGPUはIntel Arc Graphicsと、CPU内蔵型としては高性能と言われるもの。3D性能の違いにも注目したい。
ファンモードは「フルスピードモード」に設定し、最高のパフォーマンスが出るようにしている
まずは、PCの基本的な性能を測定する「PCMark 10」と定番3Dベンチマーク「3DMark」を実行する。
PCMark 10
3DMark
PCMark 10のスコアは拮抗している。どちらも十分過ぎるほど高いスコアで、一般的な処理であれば快適にこなせることが分かる結果だ。3DMarkは、DirectX 11ベースのFire Strikeではほぼ同スコアだが、DirectX 12ベースのSteel Nomad LightではRyzen AI 9 HX 370のほうが3割ほど上だ。実ゲームではどうなるのか注目したい。
続いて、CPUパワーを測るテストをしてみたい。CGレンダリングを実行する「Cinebench 2024」とエンコードアプリの「HandBrake」を用意した。HandBrakeは、3分の4K動画をH.264とH.265のフルHD解像度に変換するのにかかった時間を測定している。
Cinebench 2024
HandBrake
コア数では下回るRyzen AI 9 HX 370だがマルチコアのテストでは約34%もスコアが上になった。シングルコアのスコアも上回り、高いCPU性能を持っているのが分かる。エンコードでも、H.264で2分、H.265で3分50秒も処理時間が短縮した。Zen 5アーキテクチャは優秀と言ってよいだろう。
画像処理はどうだろうか。AdobeのPhotoshopとLightroom Classicを実際に動作させて様々な画像処理を実行する「Procyon Photo Editing Benchmark」を試す。
Procyon Photo Editing Benchmark
Lightroom Classicを使い、CPUで処理されるBatch Processingでは2割程度の差だが、Photoshopを使用し、CPU/GPUの両方で処理されるImage Retouchingでは約1.8倍ものスコア差となった。GPU性能の差に加えて、ArcよりもRadeonのほうがPhotoshopに対する最適化が進んでいると考えられる。
実ゲームに移ろう。まずは定番FPSから「Apex Legends」と「オーバーウォッチ2」をチョイス。Apex Legendsは、トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している、
Apex Legends
オーバーウォッチ
Apex Legendsは低画質設定ではあるが、平均122.8fps出ており、120Hzのリフレッシュレートを活かし切れるほどのフレームレートを出した。オーバーウォッチ2も、画質プリセットで一番したの低設定だが、平均95.8fpsと快適にプレイできるフレームレート。Core Ultra 7 155H内蔵GPUのIntel Arcでも快適に遊べるフレームレートは出ているが、Ryzen AI 9 HX 370のRadeon 890Mが上回った、CU16基はダテではないと言える。
続いて、人気格闘ゲームの「ストリートファイター6」を試す。CPU同士の対戦を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
ストリートファイター6
このゲームは120fpsまで設定できるが対戦時は最大60fpsだ。どちらも平均60fpsに近く、問題なく遊べるが、Ryzen AI 9 HX 370のほうが最小フレームレートが高く、安定しているのが分かる。
続いて、オープンワールドゲームで重量級と言える「Ghost of Tsushima Director's Cut」と「サイバーパンク2077」を実行する。Ghost of Tsushima Director's Cutは、Ghost of Tsushima Director's Cutは旅人の宿場周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定。サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用した。
Ghost of Tsushima Director's Cut
サイバーパンク2077
Ghost of Tsushima Director's Cutは、アップスケーラーとフレーム生成の両方が利用できるFSR 3に対応しているため、画質プリセットが低い設定なら平均72.2fpsと十分快適に遊べるフレームレートを出した。サイバーパンク2077は、アップスケーラーのFSR 2.1は備えているが、フレーム生成は利用できない。それでも平均57.9fpsと、快適に遊べる目安の60fpsにほぼ到達。フルHD解像度なら、多くのゲームを遊べるのが分かる。CPU内蔵型のグラフィック機能としては、非常に優秀と言ってよい。Core Ultra 7 155Hは、重量級ゲームだとあまり高いフレームレートは出なかった。
システム全体の消費電力も見ておこう。OS起動10分後をアイドル時、Cinebench 2024実行時の最大値とゲーム(Ghost of Tsushima Director's Cut)実行時の最大値を測定した。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。
消費電力
どちらも電源は65WのACアダプタなので、消費電力はそれほど大きくは変わらない。それでベンチマークのスコアはRyzen AI 9 HX 370のほうが上なので、電力効率のよいSoCと言ってよいだろう。
「Zenbook S 16」のインターフェースや重量などもチェック
ここからはZenbook S 16のそのほか特徴に触れていこう。主なインタフェースは、右側面にUSB 3.2 Gen2×1、SDメモリカードスロット、左側面にUSB 4(Type-C、USB PD、ディスプレイ出力対応)×2、HDMI出力を備えている。ワイヤレス機能は、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポート。有線LANは備えていない。キーボードは試用機は英語配列だが、製品版は日本語配列だ。白色のバックライトも内蔵されている。
なお、本体のサイズは幅353.6mm×奥行き243.0mm×高さ11.9〜12.9mmで重量は約1.5kg、バッテリー駆動時間はJEITA測定法3.0の動画再生で約10.7時間、アイドル時で約15時間となっている。
右側面にUSB 3.2 Gen2×1、SDメモリカードスロット
左側面にUSB 4(Type-C、USB PD、ディスプレイ出力対応)×2、HDMI出力
キーボードはテンキーなし。写真は英語配列だが、日本での発売バージョンでは日本語配列になる
キーボードはバックライトを内蔵。明るさ調整や消灯も可能だ
電源はType-C接続で、付属のACアダプタは65Wだった
ゲームも遊べるパワーがあって低消費電力は大きな強み
Ryzen AI 9 HX 370は、12コア24スレッドのパワフルなCPU、フルHD解像度&低めの画質なら多くのゲームを遊べるGPU、Copilot+ PCの要件を満たすNPUを一つにまとめながら、TDP 28Wという低消費電力を実現している。Zenbook S 16のような高性能かつスリムなノートPCを作りやすいSoCとして今後注目の存在になっていくだろう。この性能なら、ポータブルゲーミングPC用としても人気が出そうだ。今後の展開が楽しみである。
Ryzen AI 9 HX 370を搭載するASUSの「Zenbook S 16」でテストを行う。今回の試用機は海外モデルだが、参考までに国内同等モデルの直販価格は319.800円
まずは、「Ryzen AI 300」シリーズについて触れておこう。AMD最新世代のZen 5アーキテクチャを採用するCPU、高いAI処理性能を求めるMicrosoft「Copilot+ PC」の要件を満たす50TOPSのNPU、新たに開発されたRDNA 3.5アーキテクチャを採用するGPUを組み合わせたSoCだ。詳しいスペックは以下の通りだ。
特徴的になのは、Zen 5コアとZen 5cコアがあること。IntelのPコアとEコアと同じような関係だが、アーキテクチャは同一、ほぼ3次キャッシュ量が違うだけなので、ソフトウェア側がコアの違いを配慮する必要はない。なお、Zen 5は4コア単位で16MBの3次キャッシュを共有、Zen 5cは8コア単位で8MBの3次キャッシュを共有する仕組み。Ryzen AI 9 HX 370とRyzen AI 9 365の3次キャッシュ量が同じなのは、Zen 5cが6コアでも8コアでも共有される3次キャッシュ量が変わらないため。
CPU-Zの表示。3次キャッシュが16MBと8MBの組み合わせなのが分かる
GPUの「RDNA 3.5」アーキテクチャは、Radeon 7000シリーズの「RDNA 3」をベースに省電力性能をさらに向上させているのが特徴だ。Ryzen AI 9 HX 370のRadeon 890Mは、CPUのコア数にあたるCU(Compute Unit)が16基と、AMDのCPU内蔵型のグラフィックスとしては最大級の数だ。ゲームもかなり遊べるかと期待されるところ。
Ryzen AI 9 HX 370はGPUにCUを16基搭載するRadeon 890Mを内蔵(Ryzen AI 9 365は12基のRadeon 880M)
AI特化プロセッサの「NPU」には、「XDNA 2」を採用。処理性能はRyzen 7040/8040世代搭載のXDNAが10TOPSだったのに対し、50TOPSまで大幅に向上した。まだまだ、対応アプリが少ないという状況だが、Copilot+ PCの要件も満たしており、今後充実していくのではないだろうか。
NPUの稼働状況はタスクマネージャーでチェック可能だ
NPUを活用するアプリはまだ少ないが、Ryzen/Radeon向けの画像生成AI「Amuse 2.0 Beta」では、NPUがわずかに使われているのが確認できた
16型ノートPCのASUS「Zenbook S 16」でベンチマークを実行
今回は上位モデルのRyzen AI 9 HX 370を搭載するASUS「Zenbook S 16」(英語版)で性能をテストする。16型で2,880×1,800ドットの解像度、有機ELパネルのディスプレイを搭載するノートPCだ。メモリはLPDDR5X-7500が32GB、ストレージはGen 4接続のNVMe SSDが1TBというハイエンド仕様だ。
大画面ノートだが、最薄部約11.9mmと薄くホワイト基調のカラーリングと相まってスマートに見える
16型で2,880×1,800ドット、有機ELパネルのディスプレイ。リフレッシュレートは120Hzと高い。DCI-P3カバー率100%と色の再現性も優秀だ
比較対象は、同じASUSで14型ノートPCの「Zenbook 14 OLED」(型番UX3405MA-U7161W)を用意した。CPUにCore Ultra 7 155Hを搭載、メモリはLPDDR5X-7467が16GB、ストレージはGen 4接続のNVMe SSDが1TBというスペックだ。Core Ultra 7 155Hは、Pコア6基、Eコア8基、LP Eコア2基で合計16コア20スレッドとコア数はRyzen AI 9 HX 370を上回る。そしてGPUはIntel Arc Graphicsと、CPU内蔵型としては高性能と言われるもの。3D性能の違いにも注目したい。
ファンモードは「フルスピードモード」に設定し、最高のパフォーマンスが出るようにしている
まずは、PCの基本的な性能を測定する「PCMark 10」と定番3Dベンチマーク「3DMark」を実行する。
PCMark 10
3DMark
PCMark 10のスコアは拮抗している。どちらも十分過ぎるほど高いスコアで、一般的な処理であれば快適にこなせることが分かる結果だ。3DMarkは、DirectX 11ベースのFire Strikeではほぼ同スコアだが、DirectX 12ベースのSteel Nomad LightではRyzen AI 9 HX 370のほうが3割ほど上だ。実ゲームではどうなるのか注目したい。
続いて、CPUパワーを測るテストをしてみたい。CGレンダリングを実行する「Cinebench 2024」とエンコードアプリの「HandBrake」を用意した。HandBrakeは、3分の4K動画をH.264とH.265のフルHD解像度に変換するのにかかった時間を測定している。
Cinebench 2024
HandBrake
コア数では下回るRyzen AI 9 HX 370だがマルチコアのテストでは約34%もスコアが上になった。シングルコアのスコアも上回り、高いCPU性能を持っているのが分かる。エンコードでも、H.264で2分、H.265で3分50秒も処理時間が短縮した。Zen 5アーキテクチャは優秀と言ってよいだろう。
画像処理はどうだろうか。AdobeのPhotoshopとLightroom Classicを実際に動作させて様々な画像処理を実行する「Procyon Photo Editing Benchmark」を試す。
Procyon Photo Editing Benchmark
Lightroom Classicを使い、CPUで処理されるBatch Processingでは2割程度の差だが、Photoshopを使用し、CPU/GPUの両方で処理されるImage Retouchingでは約1.8倍ものスコア差となった。GPU性能の差に加えて、ArcよりもRadeonのほうがPhotoshopに対する最適化が進んでいると考えられる。
実ゲームに移ろう。まずは定番FPSから「Apex Legends」と「オーバーウォッチ2」をチョイス。Apex Legendsは、トレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート、オーバーウォッチ2はbotマッチを実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している、
Apex Legends
オーバーウォッチ
Apex Legendsは低画質設定ではあるが、平均122.8fps出ており、120Hzのリフレッシュレートを活かし切れるほどのフレームレートを出した。オーバーウォッチ2も、画質プリセットで一番したの低設定だが、平均95.8fpsと快適にプレイできるフレームレート。Core Ultra 7 155H内蔵GPUのIntel Arcでも快適に遊べるフレームレートは出ているが、Ryzen AI 9 HX 370のRadeon 890Mが上回った、CU16基はダテではないと言える。
続いて、人気格闘ゲームの「ストリートファイター6」を試す。CPU同士の対戦を実行した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。
ストリートファイター6
このゲームは120fpsまで設定できるが対戦時は最大60fpsだ。どちらも平均60fpsに近く、問題なく遊べるが、Ryzen AI 9 HX 370のほうが最小フレームレートが高く、安定しているのが分かる。
続いて、オープンワールドゲームで重量級と言える「Ghost of Tsushima Director's Cut」と「サイバーパンク2077」を実行する。Ghost of Tsushima Director's Cutは、Ghost of Tsushima Director's Cutは旅人の宿場周辺の一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定。サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を利用した。
Ghost of Tsushima Director's Cut
サイバーパンク2077
Ghost of Tsushima Director's Cutは、アップスケーラーとフレーム生成の両方が利用できるFSR 3に対応しているため、画質プリセットが低い設定なら平均72.2fpsと十分快適に遊べるフレームレートを出した。サイバーパンク2077は、アップスケーラーのFSR 2.1は備えているが、フレーム生成は利用できない。それでも平均57.9fpsと、快適に遊べる目安の60fpsにほぼ到達。フルHD解像度なら、多くのゲームを遊べるのが分かる。CPU内蔵型のグラフィック機能としては、非常に優秀と言ってよい。Core Ultra 7 155Hは、重量級ゲームだとあまり高いフレームレートは出なかった。
システム全体の消費電力も見ておこう。OS起動10分後をアイドル時、Cinebench 2024実行時の最大値とゲーム(Ghost of Tsushima Director's Cut)実行時の最大値を測定した。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用している。
消費電力
どちらも電源は65WのACアダプタなので、消費電力はそれほど大きくは変わらない。それでベンチマークのスコアはRyzen AI 9 HX 370のほうが上なので、電力効率のよいSoCと言ってよいだろう。
「Zenbook S 16」のインターフェースや重量などもチェック
ここからはZenbook S 16のそのほか特徴に触れていこう。主なインタフェースは、右側面にUSB 3.2 Gen2×1、SDメモリカードスロット、左側面にUSB 4(Type-C、USB PD、ディスプレイ出力対応)×2、HDMI出力を備えている。ワイヤレス機能は、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポート。有線LANは備えていない。キーボードは試用機は英語配列だが、製品版は日本語配列だ。白色のバックライトも内蔵されている。
なお、本体のサイズは幅353.6mm×奥行き243.0mm×高さ11.9〜12.9mmで重量は約1.5kg、バッテリー駆動時間はJEITA測定法3.0の動画再生で約10.7時間、アイドル時で約15時間となっている。
右側面にUSB 3.2 Gen2×1、SDメモリカードスロット
左側面にUSB 4(Type-C、USB PD、ディスプレイ出力対応)×2、HDMI出力
キーボードはテンキーなし。写真は英語配列だが、日本での発売バージョンでは日本語配列になる
キーボードはバックライトを内蔵。明るさ調整や消灯も可能だ
電源はType-C接続で、付属のACアダプタは65Wだった
ゲームも遊べるパワーがあって低消費電力は大きな強み
Ryzen AI 9 HX 370は、12コア24スレッドのパワフルなCPU、フルHD解像度&低めの画質なら多くのゲームを遊べるGPU、Copilot+ PCの要件を満たすNPUを一つにまとめながら、TDP 28Wという低消費電力を実現している。Zenbook S 16のような高性能かつスリムなノートPCを作りやすいSoCとして今後注目の存在になっていくだろう。この性能なら、ポータブルゲーミングPC用としても人気が出そうだ。今後の展開が楽しみである。