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オーストラリア沖の海底で眠る数千匹のサメたちの一部

こちらの写真は、先日行なわれたオーストラリア沖の海底調査で撮影された光景。数千匹ものサメたちが海の底で眠っている姿です。

独特な見た目のこのサメは?

このサメの群れはポートジャクソンシャーク(ポートジャクソンネコザメとも)という種類で、南オーストラリアの沿岸海域に生息しています。

個性的な姿をしていることで有名なサメで、眼上隆起を持ち、ハーネスのような模様が特徴的。全長約1.6mまで成長することがあり夜行性。夜はイカやタコ、甲殻類を求めて過ごします。他の多くのサメ種と異なり、ポートジャクソンシャークは絶滅危惧種とみなされていません。

6年ぶりの再調査

サメたちが休んでいた場所はビーグル海洋公園という水生保護区の底で、オーストラリアとその南にあるタスマニア島との間に位置するバス海峡内にあります。タスマニア大学の海洋・南極研究所(IMAS)の研究チームが、少し前の遠征中に見つけたのでした。

IMAS上級研究員で遠征のリーダーであるJacquomo Monk氏は、リリースの中で述べています。

科学者たちが遠隔操作する水中ロボットで水深65m付近を調べていたときに、「海底に敷き詰められたカーペットの如く集まっていた」サメたちに出くわしました。

サメたちの発見は喜ばしいものですが、研究者たちにとっては想定外の光景ではありませんでした。というのも6年前の遠征時に、似たような集団を見ていたからです。研究者たちは、同海洋公園の状態がその当時からどう変化したのか、観察するために再訪したのでした。

今回の調査でまたサメたちを見ることができればと思っていたんです。

3000平方kmの公園の中で彼らに2度も出くわすのは、干し草の山から針を探し出すようなものです。

と、Monk氏は前述のリリースで語っていました。

集まっていたのはメスのみ

前回は気付けなかったものの、集まっていたサメたちはメスだけのように見えたそう。

Monk氏は「答えよりも多くの疑問が生じますが、この品種のオスとメスは交尾時以外は離れて生息することが多いと私たちはわかっています」とコメントしています。

なぜメスたちがここにいたのか、具体的な理由はわかりません。もしかしたら彼女たちは、産卵のための北部への長い旅を前に、地元のごちそう(ミナミノニシキガイ、ホタテ貝の1種)を楽しんでいるのかもしれません。

サメたちを再び目にするということは、この水域はサメにとって重要だということです。

Netflixの夏のヒット作『セーヌ川の水面の下に』にもサメの群れが出てきますが、ポートジャクソンシャークは同作のサメとは違い、人類にとって脅威ではありません。彼らが人に噛みつくこと自体極めて稀ですが、その被害はひどいときでアザができて、ウエットスーツが破けるくらいなんだとか。

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Source: Australian Museum, Marine and Coastal Hub, YouTube, The Age