中国の半導体企業「AMEC」が「アメリカによる軍事企業認定は不当」と主張してアメリカ国防総省を訴える
アメリカ国防総省によって「中国の軍事企業」に指定された半導体製造装置メーカー「Advanced Micro-Fabrication Equipment Inc. China(AMEC)」が、「不十分な証拠で軍事企業に指定されたことで、深刻かつ回復不能な損害を被った」として国防総省を相手取った訴訟を提起しました。
Chinese chip tool maker AMEC sues US defence department over ‘military company’ designation | South China Morning Post
アメリカ国防総省は国防権限法2021第1260H条にもとづいて「アメリカ国内で活動する中国の軍事企業」のリストを作成しており、リストに掲載された企業と国防総省の間で製品販売や技術提供に関する契約を結ぶことを禁止しています。中国の軍事企業リストは2021年に初版が公開されて以降複数回更新されており、直近では2024年1月31日に更新されました。
AMECは2021年に中国の軍事企業リストに掲載されましたが、2021年後半にはリストから除外されていました。ところが、更新された(PDFファイル)リストを確認すると、AMECの社名がふたたび掲載されていることが分かります。
AMECが「自社がリストに掲載された理由」をアメリカ国防総省に問い合わせた結果、「2019年に工業・情報化部から授与された賞状」が唯一の根拠として示されたとのこと。AMECは「アメリカ国防総省が当社を中国の軍事企業に指定したことには法的根拠が乏しい」「(軍事企業に指定されたことで)長年計画を続け順調に進んでいたアメリカでの事業拡大への取り組みが停止した」「軍事企業への指定は当社に深刻かつ回復不能な損害をもたらした」とする訴状をコロンビア特別区連邦地方裁判所に提出しました。
なお、中国の軍事企業リストを巡っては、中国のスマートフォンメーカー「Xiaomi」が2021年にリストへの掲載の不当性を主張してリストからの除外を勝ち取った事例があります。
Xiaomiとアメリカ政府が和解、ブラックリストからXiaomiが除外される - GIGAZINE