「電気ケトル」は何年使っても平気? 掃除方法&故障してなくても買い替えるタイミングをタイガー魔法瓶に聞いた
お茶やコーヒーを入れる時、もしくはカップ麺を食べる際に「電気ケトル」を利用している人は少なくないと思います。少量のお湯を沸かすための小型家電として知られている電気ケトルですが、何年使い続けたら、買い替えを検討すべきなのか。また、長年使用するためのお手入れ法などが気になったことがありませんか? そこで、電気ケトルを取り扱うタイガー魔法瓶の商品企画第一チーム・電気ケトル担当の山崎文惠(崎は正しくはたつざき)さんにさまざまな疑問を聞きました。
買い替え時は「補修用性能部品」の保有期間を目安に
Q.電気ケトルの一般的な耐用年数を教えてください。
山崎さん「電気ケトルの耐用年数は、使用状況によって変わるため、はっきりとお答えするのが難しいですが、製品の機能を維持するために必要な『補修用性能部品』の保有期間が目安になるかと思います。
電気ケトルの場合、製造業表示規約により補修用性能部品の保有期間は、製造を終了してから5年と定められています。故障時でも修理ができる場合には、保有期間内であれば修理用の交換パーツを使用して修理することができます。
ちなみに、当社は2019年に補修用性能部品の保有期間を全商品10年に延長しました。生産が終了したモデルでも、修理ができる場合には生産終了日から10年間は修理や部品交換が可能です。部品の保有期間を長く設定しているため、当社商品を長く大事に使いたいと考えている場合は、修理が可能です。ただ、材料の調達や設備状況などによっては、10年未満で部品を供給できなくなる場合があります」
Q.買い替え時の目安などはありますか?
山崎さん「故障以外の理由で買い替えがお勧めなのは、『購入して10年以上経過している』『メーカーの補修用性能部品の保有期間が過ぎている』など、製品が古い場合です。残念ながら、故障後に修理できなければ買い替えるしかありません。
また、修理可能であっても新品を購入するのと同じくらい費用がかかるのであれば、今後のことを考えて買い替えた方がよいかもしれません。
電気ケトルの直近のトピックとしまして、電気ケトルの普及に伴い、小さな子どものやけど事故が問題視され、2021年に『電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈についての一部を改正する通達』により、この基準(※J60335-2-15(2021))に準拠する電気ケトルには、転倒流水試験が追加されました。
2024年8月以降、同基準の転倒流水試験条件を満たさないと製品の製造・輸入ができなくなります。ご自宅の電気ケトルに、転倒お湯もれ防止構造が付いているものかどうか、この機会にチェックいただければと思います。倒れたときのお湯もれによるやけどの心配が少ないため、お勧めです。
また、『残り湯を捨てるときは、必ず注ぎ口からすてる』『水以外のものを沸かさない』『氷を入れて、保冷用に使わない』など、故障の原因となるような使い方をしていないか、正しい使い方のチェックをお願いします」
Q.電気ケトルの洗浄方法やお手入れ方法はありますか?
山崎さん「まず、“本体の内側”です。電気ケトルに水を半分入れてスポンジで洗ってすすぎ、やわらかい布で拭きます。使わないときは残り湯は捨ててください。お湯を残すと本体内側とステンレス底が変色したり、臭いの原因になります。その際、本体外側は水で濡らさないように注意をお願いします。“注ぎ口・本体の外側・ふた”は、よく絞った布巾で拭いてください。“電源プレート”は、乾いた布で拭いてください。
汚れが目立ってきたら…
水の中に含まれているミネラル成分(カルシウム・マグネシウム・鉄分など)が、本体内側とステンレス底に付着して下記のようになることがありますが、有害ではありません。汚れが目立ってきたらクエン酸洗浄をしてください。
(1)本体内側とステンレス底にサビのような赤いはん点ができた。
(2)本体内側とステンレス底が乳白色・黒色・虹色などに変化した。
(3)お湯に白い浮遊物が浮く。
といった場合には、2〜3カ月に1回、クエン酸での洗浄をお勧めします。
ミネラルウオーターを湯わかしした時は、よりこまめにお手入れしてください。付着したミネラル成分がはがれて本体内のお湯や蒸気の出口をふさぎ、故障の原因となります」
Q.夏と、使用頻度が増える冬では、メンテナンス方法が異なるのでしょうか?
山崎さん「特にございませんが、しばらく使用しない際は、お手入れ後に乾いた布で拭いた後、(特に内容器はしっかり)自然乾燥させてください。ただ、夏でも調理用のお湯(野菜やパスタの麺をゆでるなど)が必要な時に電気ケトルを使用していただくと、ガスを使わずキッチンもそこまで暑くならずに、調理できるのでお勧めです」
Q.ずばり、電気ケトルを使用して白湯を作りたい時、ミネラルウオーターと水道水、どちらがおいしくなるのでしょうか。
山崎さん「弊社では比較を行ったことがないのですが、ミネラルウオーターにはミネラルが含まれており、適度なミネラルは水をおいしく感じさせるため、ミネラルウオーターで白湯を作ると水道水よりもおいしく感じられるかもしれません。
ただし、ミネラルウオーターを使用した際には、こまめなお手入れを推奨しています。水道水やミネラルウオーターには、カルシウムやナトリウムなどのミネラル成分が含まれています。湯を沸かす際に水が蒸発すると、ミネラル成分が結晶化されて内側に付着します。ミネラルウオーターは水道水よりもミネラル成分が多く、内側に付着するのが早くなります。さらに、ミネラル成分がはがれて本体内のお湯や蒸気の出口をふさぎ、故障の原因につながることもあります。ミネラル成分が付着してきたらクエン酸による洗浄でお手入れをしてください」