成長する中食・惣菜 値上げ影響、ジャンルで差 物価高も善戦するおにぎり
中食・惣菜の成長要因には社会環境や生活習慣の変化があげられるが、「おいしさ」や「できたて」「リーズナブル」「利便性」といった強みが消費者の支持を得ている。メーカー側は著しいコスト上昇から製品の価格改定を実施。しかし多くの企業でコスト上昇分を吸収しきれていない。今後も価格改定を検討せざるを得ない状況だが、値上げ後の消費者の反応が以前とは異なっており、品目や価格帯によっては買い控えの影響にさらされるリスクもある。
日本惣菜協会による消費者調査では購入頻度の高い惣菜のトップは弁当で、おにぎりがそれに次いだ。地域別にみると首都圏ではおにぎりがトップだ。手軽さとおいしさ、バラエティーの豊富さからおにぎりが惣菜を代表するメニューに定着して久しい。セブン―イレブンでは主力のおにぎりで手頃価格の「うれしい値」商品を発売し販売数量は順調。手頃な価格を訴求したことで休眠ユーザーの掘起こしや新規購入の動機につながったと考えられる。おにぎりのような比較的低価格な商品は値上げによる買控えの影響は少ない。インフレに対するおにぎりの強さが目立つ。
一方、調理麺などの商品は単価が上がったことで外食との価格差も縮まった。価格改定により秋冬のレンジ麺販売が苦戦したというデイリーメーカーの声もある。値上げと出荷数量との関係は品目や価格帯によって異なるという傾向が明確になった。
惣菜売場で売られる商品の新ジャンルが増えている。コロナ禍以降、おつまみ惣菜は好調で、専用の売場を作った店舗での売れ行きは良い。これらの商品は付加価値重視で決して価格は安くない。しかしながら、健康イメージを付与した商品などは人気だ。果物や野菜を具材としたデザート惣菜もスーパー店頭で目立つようになった。メリハリ消費の傾向が強まっていることから有名ホテルが展開する冷凍惣菜も堅調。サブスクリプション型の食事・惣菜宅配サービスも市民権を得た。
変化に対応する惣菜。市場規模は11兆円に迫るまでに拡大し人口減をもろともせず今後も成長が見込まれている。