巨人の新外国人…モンテスに期待する理由【柴田勲のコラム】
記録ずくめのお祭りに
今年もオールスター戦が終わったが、2試合とも結果にビックリした。
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23日の第1戦(エスコンフィールドHOKKAIDO)は全セが17安打11得点の攻撃で16安打6得点の全パを振り切った。2回、岡本和真の打順からの10安打を集めて9得点、いままでこんなことあったかなあと思いながら見ていたが、1イニング9得点は球宴史上最多だそうだ。
そうかと思えば、翌24日の第2戦(神宮)は全パがお返しをした。28安打16得点、ともに球宴新記録となった。全セも16安打で10得点を挙げた。
広島・坂倉将吾が57年ぶりの満塁弾を放つなど記録ずくめのお祭りとなった。
シーズン中の「投高打低」はどこにいったんだという話だ。まあ、でも球宴だから良い選手がそろっていたし、打つべき選手が打っていた。ファンは満足したのではないか。
先発投手に勝ち星が
さて、26日から後半戦がスタートする。巨人は5年ぶりの首位ターンとなった。セの5球団すべてに勝ち越してのことで、34年ぶりだそうだ。貯金は今季最多の8だ。7連勝が大きかった。
とはいっても1位の巨人から広島、DeNA、4位の阪神まで3.5ゲーム差にひしめく大混戦だ。
もちろん油断なんてできないし、まだまだ団子状態は続いていくと思うが、この4球団で抜け出すとすれば巨人だと思う。
ここにきて先発投手に勝ち星が付くようになった。戸郷翔征、山崎伊織、フォスター・グリフィン、そして菅野智之と先発4本柱がキッチリ働いている。これに赤星優志、井上温大の二人が控えている。
菅野は前半戦最後の試合となった中日戦(バンテリンドーム ナゴヤ)に先発して6回を5安打1失点で8勝目を挙げたが今季一番の投球だった。
これまでは打者のベルト辺りに球が集まっていた。力むとどうしてもそうなる。だが、そうはならなかった。外角低めへの真っすぐがよく決まっていた。
スライダー、カーブ、シュート、フォークなど多彩な変化球を持っている。外角低めへの真っすぐがあれば変化球も生きる。球が速い遅いは関係ない。高いか低いかだ。
グリフィンはストライク先行が持ち味になってきた。スライダーを覚えたようで投球の幅が広がった。安定感が増した。戸郷と山崎はグリフィンとは対照的にボール球が先行する傾向がある。どうしても球数が増える。若手のバリバリだ。完投を目指してもらいたいし、できるだけ長いイニングを投げてほしい。
そのためにはストライク先行だ。
巨人が抜け出すためにはこの四人が先発した試合は3勝1敗のペースでいくことだ。赤星、井上が負けてもなんとかなる。
下位打線をいかに充実させるか…モンテスに期待
先発陣もさることながら守護神・大勢が完全復活したことも大きい。以前は上体の力で目いっぱい投げていたが、ここにきて7、8分の力で投げるようになった。
大勢につなぐまでの中継ぎ陣も充実している。高梨雄平、船迫大雅、アルベルト・バルドナード…昨年の救援陣とは大違いだ。今季の巨人の好調さを象徴している。
打線は1番に丸佳浩が定着して2番・吉川尚輝、3番・エリエ・ヘルナンデス、4番は不動の岡本和、5番・大城卓三…やっと上位打線が固まった。
とはいえ、頼りにするのは岡本和だ。主砲の一打・一発は打線を鼓舞する。あとは下位打線をいかに充実させるかだが、新外国人選手、27歳のココ・モンテス内野手に大いに期待したい。
26日のDeNA戦(横浜)はベンチスタートとなりそうだが、阿部慎之助監督はいずれ遊撃を中心に使うのではないか。打順は7番だろう。
最低10試合は
イースタンの成績を見ると5試合に出場して14打数8安打で打率5割7分1厘、4打点を挙げている。強打で内野ならどこでも守ることができるのが売りだ。
立派なものだ。どれだけ速い球に対応できたかどうかがポイントだが、他球団のファームにもいい投手がたくさんいる。不慣れな日本に来て、不慣れな日本の投手をこれだけ打っている。期待値は高くなる。使うなら、多少打てなくても黙って最低10試合は使ってほしい。
門脇誠や泉口友汰を使っても二人に打撃面で多くを期待できない。ならばモンテスにできる限りチャンスを与えてもいい。
内野ならどこでもOKということで内野のさまざまな布陣が考えられる。岡本和はもちろん、このモンテスの出来が巨人の後半戦のカギを握るかもしれない。
気になるのは坂本勇人だ。なかなか結果を出すことができない。本人はもがき苦しんでいるのだろうが、まだ35歳だ。いまは野手の選手寿命が伸びているし、まだまだこれからだ。坂本が復活すれば打線は鬼に金棒だ。
巨人の残り試合は54、強力先発4本柱に打線は1番と4番がキッチリ固まった。あとは下位打線の充実に尽きる。上位4チームの大混戦が続いても、四つどもえから最後は巨人が抜け出すとみている。
後半戦、いいスタートを切ってほしい。(成績などは25日現在)
柴田 勲(しばた・いさお)
1944年2月8日生まれ。神奈川県・横浜市出身。法政二高時代はエースで5番。60年夏、61年センバツで甲子園連覇を達成し、62年に巨人に投手で入団。外野手転向後は甘いマスクと赤い手袋をトレードマークに俊足堅守の日本人初スイッチヒッターとして巨人のV9を支えた。主に1番を任され、盗塁王6回、通算579盗塁はNPB歴代3位でセ・リーグ記録。80年の巨人在籍中に2000本安打を達成した。入団当初の背番号は「12」だったが、70年から「7」に変更、王貞治の「1」、長嶋茂雄の「3」とともに野球ファン憧れの番号となった。現在、日本プロ野球名球会理事を務める。
デイリー新潮編集部