「うつ病」の治療方法・治療期間はご存知ですか?医師が監修!

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うつ病とは、気分が強く落ち込むなどの精神的な症状の他、眠れない・身体がだるいなどの身体的な症状が現れる病気です。

生活への影響が非常に大きい病気であり、誰しも発症する可能性があります。悪化すればさらに精神的・身体的な症状が現れるケースもあるため、早期発見が大切です。

そのためにも、うつ病の初期症状を知り早期に治療を受けられるようにしておきましょう。

本記事では、うつ病の初期症状・進行した場合の症状・対処方法・病院での治療方法をご紹介します。

※この記事はMedical DOCにて『「うつ病」の初期症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 直(医師)

所属:平成かぐらクリニック院長 メンタルアシストプログラム総責任者、一般社団法人健康職場推進機構理事長、医療法人社団平成医会理事

著書:精神科医が教える3秒で部下に好かれる方法

うつ病の病院での診断方法・治療方法

うつ病が疑われるときは何科を受診すればよいですか。

この病気の疑いがある場合には、精神科心療内科を受診しましょう。診療科目に抵抗を持つことも影響し、重症化しないと受診しない方も多いです。しかし、症状の度合いに関わらず精神科や心療内科に相談することは非常に大切です。
また、軽いうつ病の症状であれば、身近な内科でも対応してくれる所もあるでしょう。

うつ病はどうやって診断されますか。

うつ病の診断は、スクリーニングと呼ばれるものを使用します。また、state markerを使用して症状の推移を診ます。診断のためのtrait markerは使用しません。スクリーニングとは、質問事項によりうつ病を判別する検査方法です。

治療方法を教えてください。

うつ病は、十分な休息をとることと同時に次のような治療を行っていきます。

薬物療法

精神療法

その他の治療法

薬物療法としては、主な治療薬は抗うつ薬です。服用後すぐに効果が表れるものではありませんが、継続して服用することで不安を和らげたり、筋肉の緊張をほぐしてくれたりといった効果が見込めます。この時、自己判断で薬の量を増やしたり減らしたりしないようにしましょう。
精神療法には、支持的精神療法・認知行動療法・対人関係療法などがあります。支持的精神療法とは、悩みや辛いと思っていることを医師が聞き、アドバイスや手助けをする治療方法です。認知行動療法とは、出来事に対して考えたことや行動などの変えやすい部分から少しずつ変えていき、問題の解決を目指す治療方法です。対人関係療法は、他者との関係を見直して、再構築をするなかで治療を進めます。
その他の治療方法としては、高照度光療法・修正型電気けいれん療法といった専門的治療を行うケースもあります。また、近年では経頭蓋磁気刺激療法も保険適応となりました。

うつ病はどれくらいで治りますか。

うつ病の治療期間は症状によっても異なりますが、軽度の場合であれば3ヶ月~6ヶ月程度となります。
しかし、重度の場合であればそれ以上の期間を必要とする場合もあります。1年などの長期にわたって、先述したような治療方法を段階的に進める場合もあるため注意が必要です。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

うつ病は、日々のストレスなどから誰しも発症の可能性がある病気です。軽度な場合であれば、症状も軽くうつ病ではないと思われることがあるため、早期治療に取りかかる方は少ないです。
しかし、時間が経過すると悪化する可能性があり、重症の場合には自殺や引きこもりなどに発展するケースも少なくありません。このような重症化をさせないためにも、少しでも異変を感じた場合には専門の医療機関に相談することが大切です。

編集部まとめ


うつ病は、精神的・身体的ストレスがかかることで発症する病気です。大きなストレスでなくても、小さなストレスが日々重なることで発症する可能性もあります。

そのため、自分では気づかないうちにうつ病を発症しているケースもあります。自覚症状が少ないあまりに、受診・治療が遅れるケースもあるでしょう。

少しでも異変を感じた場合には医療機関に相談しましょう。受診に抵抗などを感じる必要はなく、まずは気軽に相談することが悪化を防ぐことにつながります。

参考文献

うつ病ハンドブック

うつ病( 厚生労働省)

日本うつ病学会 うつ病看護ガイドライン