【女性のがん死因最多】大腸がんを疑った方がいい3つの症状をご存じですか?
食の欧米化などにより日本で大腸がんの患者数は増えており、早期発見が救命の鍵とされています。では一体、どのような症状があったら大腸がんを疑えば良いのでしょうか? 早期発見につながる自覚症状について、大阪内視鏡クリニックの小森先生に教えてもらいました。
≫【イラスト解説】「どれくらい便が細いと大腸がん」を疑うべきか監修医師:
小森 真人(大阪内視鏡クリニック)
平成7年大阪大学医学部卒業。平成16年大阪大学大学院(博士課程)卒業後、大阪大学医学部附属病院、関西労災病院、大阪労災病院(内視鏡室長)、兵庫県立西宮病院(内視鏡センター長)などを経て令和6年大阪内視鏡クリニック院長就任。昭和大学横浜市北部病院消化器センター兼任講師。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会専門医・指導医など。平成18年日本消化器病学会奨励賞授賞。米国ベストドクターズ社から医師同士の評価によって選ばれる「The Best Doctors in Japan 2024-2025」に選出。
大腸がんの自覚症状
編集部
大腸がんには自覚症状があるのですか?
小森先生
初期の場合にはほとんど自覚症状がありません。しかし、進行に伴ってさまざまな症状が出現します。
編集部
どのような自覚症状が現れるのですか?
小森先生
代表的な症状は血便です。大腸がんと一口に言っても腫瘍の位置によって直腸がんや結腸がんなどに分類されますが、特に直腸やS状結腸、下行結腸など肛門に近い位置にできた場合、血便の症状がよく見られます。
編集部
どのような血便が見られるのですか?
小森先生
大腸がんの血便は、腫瘍の位置によって異なります。直腸やS状結腸など、より肛門に近いところに腫瘍ができている場合は鮮血便が出ることがありますし、より盲腸に近いところ(大腸の奥のほう)に腫瘍ができている場合は暗赤色便が出ることがあります。
編集部
なぜ、大腸がんになると血便が出るのですか?
小森先生
大腸にがんができると、がん細胞は新しく血管を作って栄養を吸収しようとします。しかしこの血管は非常に脆いので、便が通過するときにこすれ、出血してしまうからです。
血便以外には、どのような自覚症状が見られるのか?
編集部
ほかに、どのような自覚症状がありますか?
小森先生
そのほかには、排便習慣の変化が見られることがあります。たとえば便秘や下痢を起こすようになったり、便が細くなったり、残便感を覚えたりします。
編集部
なぜ、大腸がんになると便秘や下痢が起きるのですか?
小森先生
がんが大きくなって腸の内側が狭くなると、やがて便が通過しづらくなって排便がスムーズに行えなくなります。そのため便秘や下痢が起きるのです。
編集部
そのほかには?
小森先生
ダイエットをしていないのに体重が減ってきたり、頻繁に貧血を起こすようになったりする場合にも大腸がんが疑われます。また、腸管が腫瘍で完全に閉塞してしまった場合には、腸閉塞を起こし、腹痛や嘔吐などの症状が見られることもあります。
編集部
いろいろな症状があるのですね。
小森先生
ただし、血便や排便異常などは大腸がんに限らず、ほかの疾患でも見られる症状です。血便は大腸ポリープや痔、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎などでも見られる症状ですし、一般の方がそれらと大腸がんを見分けるのは困難です。そのため、自覚症状だけでは大腸がんと診断することはできません。気になる症状があれば、早めに検査を受けることをお勧めします。
大腸がんが疑われるときにはどうしたらいい?
編集部
大腸がんが疑われるときにはどうしたら良いでしょうか?
小森先生
がんかどうか調べるために、大腸内視鏡検査を行います。血便などの自覚症状があった場合だけでなく、便潜血検査で陽性反応を示した場合にも大腸内視鏡検査を行います。
編集部
自覚症状がある場合の大腸内視鏡検査は保険が適用になるのですか?
小森先生
はい。何らかの自覚症状があって、医師が「大腸内視鏡検査が必要」と判断した場合には、保険が適用になります。早めに医療機関を受診して、医師に相談してください。
編集部
大腸内視鏡検査で大腸がんが見つかった場合にはどうするのですか?
小森先生
大腸がんを疑う病変が見つかれば、内視鏡でその組織を採取して病理検査を行います。次いで、がんのある場所や範囲、転移の有無を調べるために、注腸造影検査やCT検査、MRI検査などを行い、治療方針を決定します。早期がんであれば、内視鏡で治療(EMR:内視鏡的粘膜切除術、ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術)できることもあります。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小森先生
大腸がんの罹患率は急増しており、2024年現在、特に女性におけるがんの死因として大腸がんが最多となりました。大腸がんは比較的おとなしい性質のがんで、胃がんや肺がんなどに比べると成長が遅く、リンパ節転移も少ないので、早期発見による治癒率が高いのが特徴です。統計によると、大腸がんの発症率は40歳代から高まり、50歳代で急増する傾向にあります。初期の場合は自覚症状がありませんので、年1回は大腸がんのスクリーニング検査「便潜血検査」を受けるようにしましょう。また、大腸がんを疑う自覚症状が現れた時は、早めに医療機関を受診し、大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
編集部まとめ
大腸がんは中高齢で発症率が高まる疾患です。自覚症状がなくても定期的に検査を受け、早期発見に努めることが大切。また普段から自分の便を観察する習慣を持ち、「血便が出ていないか?」などをチェックすることも、がんの早期発見に役立ちそうですね。
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