住吉会本部が東京から「千葉移転」で大混乱も…「県警が大変なことに」「警視庁は予算を削られる」関係者が危惧
使用差し止めの仮処分決定で、機動隊が包囲した住吉会の本部事務所
「住吉会本部が、新宿のマンションから千葉県富里市に移転になりそうだ。長年東京に本部を置いてきた住吉会だが、7月18日に公示された本部事務所の使用差し止め仮処分決定により、移転せざるを得なくなった」
都内在住のある暴力団関係者はそう語る。
住吉会といえば、六代目山口組に次ぎ国内2番目の勢力を持つ指定暴力団。警察庁によると、構成員と準構成員をあわせて3500人の組員を擁し、1都1道1府14県に傘下組織を持つという。設立は幕末といわれ、150年以上にわたり東京に拠点を置いてきた。その巨大組織の本部が千葉に移転するというのだ。
千葉県富里市には、住吉会の二次団体である共和一家がある。ここは住吉会八代目 関功会長(2022年死去)と、現在の九代目 小川修司会長の出身組織。いわば本家に本部事務所が移ることになる。
なぜ、住吉会は東京を離れることになるのか。前出の暴力団関係者が続ける。
「新宿のマンションは、住民の反対運動により出ていかざるを得なくなりました。都内にはほかにも住吉会の建物や傘下組織がありますが、どこに移転してもいずれ住民の反対にあう可能性が高い。
埼玉県日高市に住吉会の施設がありますが、そこは警察との話し合いで、月に1度しか使用できないことになっています。そこで、富里市の共和一家に本部を置くことになりそうです。
ここは敷地が比較的広く、車を駐車するスペースもある。とりあえず移すには、ここしかないということでしょう」
だが、他県への移転もたやすいことではなさそうだ。ヤクザ界に詳しいジャーナリストが語る。
「暴力団対策法で、指定暴力団は必ず本部の住所を明らかにしなければならず、本部がある都道府県の警察は、その指定暴力団の勢力を把握しなければなりません。
これまで住吉会については警視庁が担当していましたが、本部が千葉に移ることになれば、千葉県警がその任を引き受けることになる。
そうすると住吉会担当の部署を新たに設置するなど、大変だと思います。一方の警視庁は、住吉会本部がなくなることで予算を削られる可能性もある。そう簡単な話ではありません」
別の暴力団関係者は複雑な心境を吐露する。
「住吉会といえば東京だったが、千葉に本部を置くことで残念がる組員はいるだろう。それだけではなく、会合などがあったら本部に行かなければならず、移動が大変になる組員もいる。千葉に本部を移したからといって安泰とはいかないだろう。前途は多難だ」
移転の具体的な時期は不明だが、しばらく混乱が続きそうだ。