夏はプールでの「熱中症」に要注意 症状に気付きにくい場合も 原因&対策を内科医が解説
気温が高い夏は、熱中症に注意が必要です。室内や屋外にいるときだけでなく、プールに入っているときも熱中症になるケースがあるといわれています。
プールに入っている間は、屋外にいるときよりも涼しく感じる印象がありますが、なぜ熱中症になるのでしょうか。プールでの熱中症を防ぐには、どのような対策が求められるのでしょうか。プールで熱中症が生じる原因やプールに入るときに注意点について、「eatLIFEクリニック」(横浜市旭区)院長で、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
気化熱が生じず体温が下がりにくい
Q.そもそも、プールに入っているときに熱中症になるのはなぜなのでしょうか。原因について、教えてください。
市原さん「プールに入っている間は、『日陰がほとんどなく、直射日光に当たりやすい』『プールの中では汗をかいても気付きにくく、水分補給をしないことが多い』『汗が蒸発するときの気化熱が生じないため、体温が下がりにくい』などの理由で、熱中症になりやすいです。プールの中では体感温度が低いかもしれませんが、水温によっては、直射日光の中、ぬるま湯につかっているような状態になります」
Q.プールで熱中症になった場合、どのような症状が起きるケースが多いのでしょうか。できるだけ早めに熱中症に気付くには、どうしたらよいのでしょうか。
市原さん「一般的な熱中症と同様、頭痛や目まい、ふらつき、吐き気、倦怠(けんたい)感などの症状が生じます。泳いでいるときには気付きにくいかもしれませんが、プールの外で休憩するときに、いつもと違う症状がないかをよく確認し、必ず水分補給をしましょう」
Q.プールに入っている間と屋外にいる間とでは、どちらの方が熱中症の症状に気付きにくい傾向にあるのでしょうか。
市原さん「屋外にいるときよりも、プールに入っているときの方が熱中症の症状に気付きにくいです。水中にいる間は平衡感覚がなくなるため、目まいやふらつきといった症状が出ても分かりにくいからです」
Q.プールに入っているときに熱中症とみられる症状が出た場合、どのように対処したらよいのでしょうか。
市原さん「すぐに自らプールから出て涼しい風通しの良い日陰に移動し、脇や首回りのほか、太ももの付け根部分の『鼠径(そけい)部』など、冷やせるところは保冷剤などを使って冷やします。水分補給をしながらよく休む必要がありますが、症状が改善しないときは早めに医療機関を受診しましょう」
Q.プールに入っているときに熱中症を防ぐには、どのような対策が有効なのでしょうか。
市原さん「昨今の猛暑では、『プールだから大丈夫』と安心できないのが現状です。気温が高過ぎる日はプールに入らないことのほか、日陰で小まめに休憩して水分補給をしっかり行ったり、長時間プールに入り続けたりしないことが重要です」
くれぐれもプールで泳ぐ際も、熱中症に注意しましょう。