今回は乾麺で作る「胡麻和えうどん」のレシピを伝授します(以下、写真はすべて筆者撮影)

料理の腕を上げるために、まず作れるようになっておきたいのが、飽きのこない定番料理です。料理初心者でも無理なくおいしく作れる方法を、作家で料理家でもある樋口直哉さんが紹介する『樋口直哉の「シン・定番ごはん」』。今回は「胡麻和えうどん」です。

担々麺からヒントを得た和風のうどん

保存期間が長い乾麺は家庭料理の味方。そうめんや干しそばなどいろいろありますが、今回はうどんに焦点を当てましょう。

うどんは古くから食べられていたので、今でも地域差が残っています。有名なところは讃岐うどんや水沢うどん、稲庭うどんなど、各地に特徴あるうどんがありますが、今回使っているのは五島うどんです。

五島うどんは長崎県の特産品で、伸びにくく、コシがありますが、プツリという歯切れのよさも併せ持っています。同じ乾麺の稲庭うどんと比較すると稲庭うどんは四角い断面で、五島うどんは丸みを帯びています。


とにかく伸びにくいのが特徴です

稲庭うどんは表面のツルツルとした瑞々しさが魅力ですが、こちらはパスタに近い感覚でなんにでも合わせられます。現地では地獄炊きといって、ゆで上げた温かい麺をあご出汁のつゆで食べるのがポピュラーとのこと。

今回のレシピは担々麺からヒントを得た和風の胡麻和えうどんですが、もちろん、他のうどん乾麺でも同様に作れるのでご安心を。

胡麻和えうどんの材料(1人前)
うどん(乾麺) 100g
みょうが    1本
長ネギ     7cm
しょうが    10〜15g
しょうゆ    大さじ1
すりごま    大さじ1
砂糖      小さじ1
ごま油     大さじ1/2
ラー油     好みで


砂糖の代わりにみりん大さじ1を煮切って加えても

あえて1人前の分量を載せていますが、2人前の場合は材料を倍にすればいいだけです。

材料さえ準備しておけば作り方はすこぶる簡単。鍋にたっぷりの湯を沸かし、五島うどんをゆでていきます。


うどんをゆでます

長ネギは縦4等分に切り、端から粗みじん切りに切っていきます。切った長ネギは丼鉢に入れていきましょう。


長ネギは青い部分を入れても見栄えがよくなります

みょうがも半分に切ってから、小口切りに。


みょうがの代わりにかいわれ大根を使う手もあります

しょうがも粗みじん切りにしますが、鍋の底や肉たたきなどで叩き潰すとより風味が出やすくなります。


布巾などをかぶせてから叩くといいでしょう

叩くことで繊維に沿って割れるので、後は端から切っていくだけで自然な形の粗みじん切りになります。


長ネギ、みょうが、しょうがの粗みじんは薬味としてそうめんにも使えます

残りの材料を丼鉢に加えていきます。


市販のすりごまを使っていますが、もちろんいごまをすっても

乾麺をゆでるコツは沸騰したら火を弱めることです。乾麺をゆでると吹きこぼれるには2つの理由があります。

1つ目は溶出したデンプンによって、ゆで湯に粘度がつき、泡が消えなくなくなるから。もう1つの理由は小麦粉に含まれるサポニン=界面活性剤の影響で、泡ができやすくなるからです。どちらにしても火加減を弱火に落とせば吹きこぼれる心配はないので難しいことはありません。


デンプンが希釈されるだけの量の湯が必要なので鍋は大きめのものを

7分経ったらお湯を切ります。水気を切ったうどんを温かいまま丼鉢に移して、混ぜてもおいしいのですが、今日は暑いので冷たくして食べましょう。流水で洗い、うどんを冷やします。


そうめんと違って氷で冷やす必要はありません

ゆで上がったうどんを丼鉢に移して、よくかき混ぜればできあがり。


調味料が底に溜まっているので持ち上げるように混ぜます

好みですがラー油を垂らすのがおすすめです。刻んだ大葉を添えましたが、青ネギの小口切りでもいいですし、かいわれ大根もよくあいます。


冷蔵庫にあった大葉を刻んでのせました

夏の麺料理は手早くできるのが一番。喉越しを味わうそうめんもいいのですが、太い麺も食べごたえがあっていいもの。乾麺を上手に使って、これからの季節を乗り切りましょう。


画像をクリックすると、これまでに紹介した料理の記事が読めます

(樋口 直哉 : 作家・料理家)