滋賀県・湖北地方の名物「焼鯖そうめん」とは? 風情ある専門店で、歴史と異色の味を探った
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●滋賀県・湖北地方に伝わる名物料理「焼鯖(やきさば)そうめん」って知ってる? その魅力を探ってきた。
夏を代表する食べ物といえば、そうめん。キーンと冷たくサッパリした味わいですが、滋賀県湖北地方の長浜市にそうめんを使った「焼鯖そうめん」という少し変わった郷土料理が存在しています。
焼鯖とそうめん。どちらも馴染みのある料理ですが、一緒になっている一皿は馴染みがないですよね?
そこで、焼鯖そうめんの歴史的な背景と美味しいお店も一緒に紹介したいと思います。
内陸の滋賀でなぜ、鯖料理が名物になったのか
鯖街道と関わりの深い長浜名物の「焼鯖そうめん」 [食楽web]
焼鯖そうめんのある滋賀県は、日本一大きな湖の琵琶湖はありますが内陸県。海がないのに鯖の料理が名物というのも少し不思議な話ですね。実はかつて、今の福井県で獲れた海産物が当時の都であった京都まで大量に運ばれていました。その中でも特に重要だった食材が、鯖。
鯖寿司などの料理を通じて京都の貴族に愛された鯖を多く運んでいた道は、鯖街道と呼ばれていました。そんな鯖街道の中継地点ともなる滋賀県には、鯖料理として、「焼鯖そうめん」が残されています。
ハレの日にも欠かせない料理である焼鯖そうめん
鯖とゆかりのある滋賀県では、農家に嫁いだ娘を気遣って、田植えの農繁期でも「手軽に滋養を付けられるように」と焼鯖を嫁ぎ先へ送った「五月見舞い」という風習が存在。その中で誕生したのが、焼鯖そうめんとなっています。
長浜で焼鯖そうめんを食べるなら専門店の『翼果楼』へ
歴史を感じる立派な建物の翼果楼
嫁いだ娘を思う親の気持ちから誕生した優しい郷土料理、焼鯖そうめん。この名物を味わうなら、『翼果楼(よかろう)』というお店がおすすめです。
JRの長浜駅を降りて少し東へ歩いた場所、近畿と北陸を結ぶ交通網として栄え歴史的な建物が立ち並ぶ北国街道にあります。
中庭を眺めながら歴史ある食べる郷土料理は旅のランチにも最適
風情ある街並みを歩いていると、お店を発見。元は呉服屋さんの商家で、築150年以上の歴史ある建物から中庭を望む、風情のある焼鯖そうめんの専門店となっています。
それでは焼鯖そうめんと、鯖寿司も一緒に味わってみましょう。
鯖の旨味をたっぷり吸ったそうめんはやっぱり絶品
「焼鯖そうめん」そうめん大盛1380円、「焼鯖寿司」三貫 690円
しばらくすると、焼鯖そうめんの登場。実物が来るまでは冷たいそうめんに鯖が添えられているのかと思っていましたが、想像とかなり異なるイメージ。第一にそうめんが温かくて、つけ汁もありません。
実は焼鯖そうめんというのは、焼いた鯖を砂糖醤油で甘辛く煮込み、その煮汁にそうめんをしっかりと絡めた料理なのです。
つゆにつけない温かいそうめんというスタイル
焼鯖からあふれる旨味を吸ったそうめんは、想像通りのの上をゆく美味しさ。焼鯖の方も2日掛けて煮込まれていてホロホロ。郷土料理という枠を超え、そうめんのアレンジメニューに加えたいクオリティーでした。
鯖寿司に香ばしさがプラスされる焼鯖寿司
そこに鯖寿司を合わせて味わえば、鯖街道が運んだ鯖の美味しさが堪能できます。
ちなみに長浜という土地は、武勲を立てた豊臣秀吉が織田信長から初めて与えられた土地に城を建てて発展させた町。2026年のNHKの大河ドラマである「豊臣兄弟」の舞台としても必ず登場するはずなので、滋賀県観光に行った際には長浜の鯖そうめんのことを思い出して、立ち寄ってみるのをオススメします。
(撮影・文◎けいたろう)
●SHOP INFO
翼果楼(よかろう)
住:滋賀県長浜市元浜町7-8
TEL:0749-63-3663
営:10:30~15:00
休:月曜
●著者プロフィール
けいたろう
旅するグルメライター。大阪と京都をむすぶ京阪電車の沿線在住で、複数の旅行情報サイトにて旅とグルメのガイド記事を執筆。気になるグルメ情報があるとB級グルメも高級店も穴場のお店も有名行列店でも、とにかく幅広く取材!食楽webでは関西グルメ情報を中心に紹介しています。