2024年7月12日、欧州委員会がX(旧Twitter)に対し、同社がコンテンツモデレーションと広告に関する透明性と説明責任を果たせておらず、デジタルサービス法(DSA)に違反しているとして、説明を求める予備的見解を通知しました。

Commission sends preliminary findings to X for breach of DSA

https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_24_3761

欧州委員会によると、Xは消費者を欺くダークパターンを取り入れ、広告の透明性を確保せず、研究者にデータアクセスを許可していないとのこと。欧州委員会はこれらの点に基づいてXがデジタルサービス法に違反していると見なし、Xに説明を求めています。

欧州委員会は以下の3点について苦情を申し立てています。

1:Xは、青いチェックマークの付いた「認証済みアカウント」を業界の慣例にそぐわない方法で設計・運用し、利用者を欺いている。このような「認証済み」のステータスは誰でも取得できるため、認証済みアカウントやコンテンツの信ぴょう性について消費者に誤解を生じさせる。実際に、悪意のある人物が認証済みアカウントを悪用して消費者を欺いている証拠がある。

2:Xは、検索可能で信頼できる広告リポジトリを提供しておらず、リポジトリへのアクセスを阻害しているため、広告に関してデジタルサービス法が要求する透明性を順守していない。このような設計では、広告配信によってもたらされるリスクについて、必要な監督や調査を行うことができない。

3:Xは、研究者に公開データへのアクセスを提供していない。これはデジタルサービス法に定められた条件に従わないものである。Xはスクレイピング等によって公開データにアクセスすることを利用規約で禁止しており、APIへのアクセスを許可するプロセスには、研究プロジェクトの遂行を妨げるか、不相応に高い料金を支払う以外の選択肢はないと考えられる。



Xには抗弁の権利が与えられており、上記の内容に対して書面で説明することができます。ただし、予備的見解が事実であると確認された場合、欧州委員会はXがデジタルサービス法に違反していると判断し、対応を求めることができるようになります。違反と決定づけられた場合、Xは全世界における年間総売上高の最大6%の制裁金が科される可能性があります。なお、Xの売上高は広告収益だけで25億ドル(約3900億円)だったとされていて、6%だと約230億円ほどになります。

欧州委員会の発表に対し、Xを所有するイーロン・マスクは、「欧州委員会はXに違法な秘密取引を持ちかけたと言えます。もし私たちが内緒で言論を統制すれば、罰金は科されないということでしょう。他のプラットフォームはこの取引を受け入れましたが、Xは違います」とコメントしました。