InstagramやFacebookなどを提供するMetaが、2024年7月9日にヘイトスピーチに関するポリシーを更新し、「シオニズム」を唱える「シオニスト」に対する脅迫を含んだコンテンツを削除することを発表しました。

Update from the Policy Forum on our approach to ‘Zionist’ as a proxy for hate speech | Transparency Center

https://transparency.meta.com/en-gb/Hate-Speech-Update-July2024/



World Jewish Congress Praises Meta Policy Decision to Prevent Antisemitic Use of the Term 'Zionist' - World Jewish Congress

https://www.worldjewishcongress.org/en/news/wjc-praises-meta-decision-antisemitic-use-of-zionist

Meta expands hate speech policy to remove more posts targeting 'Zionists' | Reuters

https://www.reuters.com/technology/meta-expands-hate-speech-policy-remove-more-posts-targeting-zionists-2024-07-09/

Metaのヘイトスピーチポリシーとは、人種や民族、宗教、障害、性別など、保護された特性に基づいて人々を直接攻撃することを禁止するものです。

これまで、「シオニスト」という用語がポリシーに基づいて制限される場合は、シオニストをネズミに例えるような、反ユダヤ主義のイメージを反映している場合や、投稿の文脈に含まれる「シオニスト」という単語が明確に「ユダヤ人」や「イスラエル人」を意味する場合に限られていました。Metaは「我々のこれまでの指針は、オンラインやオフラインを問わず、人々が『シオニスト』という用語をどのように扱っているかを十分に反映していませんでした」と振り返っています。

そしてMetaは2024年7月9日に、「今後は、反ユダヤ主義のステレオタイプを使用したり、シオニストを攻撃するふりをしてユダヤ人やイスラエル人を脅迫したりするコンテンツを削除します」と発表。



ポリシーの拡大によって削除対象となるコンテンツは「『シオニストがメディアをコントロールして世界を動かしている』といった主張」「豚や汚物、害虫との比較など、人間性を奪うような比較」「ユダヤ人に対する危害を呼びかける」「存在を否定する投稿」「『シオニストは病気だ』といった嘲笑」などです。ポリシーに違反する投稿が繰り返された場合、投稿したアカウントには停止または削除といった対応が取られるとのこと。

一方でMetaは「シオニストは戦争犯罪人である」といったコンテンツに対して「このような言論は一般的に憎悪的というよりは政治的なものであるため、監督委員会からのガイダンスを求めています」と報告しました。



多くのユダヤ人団体は、反ユダヤ主義に関する言論の隠れみのとして「ユダヤ人」という単語を使用せず、「シオニスト」という単語を使用していると非難しています。世界ユダヤ人会議(WJC)のロナルド・ローダー会長は「Metaの決定は、オンライン上の反ユダヤ主義とヘイトスピーチに対する私たちの戦いにおいて、切望されていたものです。『シオニスト』という言葉の誤用を認識し、対処することで、Metaは間接的にユダヤ人に対するヘイトスピーチを展開する人々に対して大胆な立場を取っています」と述べています。

またローダー氏は「Metaが、私たちユダヤ人コミュニティの声に真剣に耳を傾けてくれたことに感謝しています。今回のポリシー変更により、全ての人にとってより安全で、より敬意を払ったオンライン環境が実現するでしょう。ほかの全てのプラットフォームがMetaのリーダーシップに従い、同様の行動をとることを願っています」と語りました。



一方で、一部のユダヤ人グループはMetaに懸念を表明する書簡を提出しており、「ポリシーの変更は、シオニストまたはシオニズムに関する議論に対しても『反ユダヤ主義である』とレッテルを貼る可能性があります。この動きは、パレスチナ人が日々の経験や歴史を世界と共有することを禁じるものです」と批判しています。