「熱中症」で搬送される人が全国で急増中、 身を守るために知るべき“水分補給”以外の対策とは

写真拡大

猛暑が続く中、「熱中症」による搬送者数も増加しています。東京都内では、7月7日には搬送者数が223人となり、今年最多人数を記録しています。このニュースについて久高医師に伺いました。

≫【イラスト解説】知っておくべき「熱中症」の危険な症状と3つの対策法

監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。

熱中症の搬送状況は?

まずは、熱中症の搬送者数について、現在の状況を教えてください。

久高先生

熱中症の救急搬送者数は、増加傾向にあります。東京消防庁の発表によると、7月7日には、男女あわせて223人が熱中症の疑いで救急搬送されたことが明らかになっています。搬送された人の年齢は3~98歳でした。搬送者の容体について、60~80代の男性3人が重篤、50~80代の男性4人が重症、男女61人が中等症、男女155人が軽症だったとのことです。

また、総務省消防庁による統計では、7月1~7日までの1週間に熱中症で病院に運ばれた人は、全国で9105人いたことも明らかになっています。前週の6月24~30日は2276人だったため、1週間の搬送者数は約4倍になっている状況です。これは去年の同じ時期と比べて約2倍に増加しており、搬送者数の多さがわかると思います。搬送された人のうち、死亡者が19人、重症や中等症が合わせて3248人、軽症が5731人でした。

年齢別に見ると、65歳以上の高齢者が5378人、18歳以上65歳未満が2850人、7歳以上18歳未満が799人、0歳から7歳未満が78人という結果でした。搬送者数が最も多かった都道府県は東京都で907人、2番目に多かったのが愛知県で763人、次いで大阪府の595人、埼玉県の584人、兵庫県の472人となっています。

熱中症の搬送者数の予測システムとは?

熱中症の搬送者数が急増している状況がよくわかりました。こうした搬送者数の予測ができるシステムがあるというのですが、教えていただいてもいいでしょうか?

久高先生

熱中症の搬送者数の予測システムは、名古屋工業大学の研究グループがウェブサイトで公開を始めています。現時点では東京、愛知、大阪、福岡など8都道府県を対象にしています。研究グループは2013~2019年の気象データと約14万人分の搬送者情報を分析して、アルゴリズムを作成しています。気象庁が毎日更新する週間天気予報と組み合わせて予測しています。サイトでは、当日の予測搬送者数を日本地図上にピンク色(24人以下)から紫色(100人以上)の5段階で表すとともに、6日先までの予測を折れ線グラフで示しています。

熱中症から身を守るために注意すべきことは?

熱中症は時に命を落とす危険なものですが、熱中症から身を守るために注意すべきことを教えてください。

久高先生

水分補給が重要であることは言うまでもありませんが、その種類にも注意する必要があります。水分補給として、お茶やコーヒーなどを摂取した場合、カフェインが含まれているため利尿作用によって水分排出も高まり、十分な補給につながらない可能性もあります。そのため、水やカフェインレスの麦茶、経口補水液がおすすめです。また、水分補給のみで熱中症を予防することは困難です。上述のような予測システムを活用して、猛暑日の屋外での作業時間や休息時間を調整することが望まれます。加えて、足がつるなどの熱中症の初期症状も知っておき、発症時にも軽症のうちに休息などを取れるようにすることも重要です。

まとめ

猛暑が続く中で、熱中症による搬送者数も増加しています。都内では、7月7日には搬送者数が223人となり、今年最多人数を記録しています。これから夏本番を迎える中で、熱中症のリスクも高くなっていきます。しっかりと熱中症対策をして、健康を守る必要があります。

近くの内科を探す