「脂質異常症」の原因・食事の注意点はご存知ですか?医師が監修!

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脳卒中の予防法とは?Medical DOC監修医が脳卒中の予防法・なりやすい人の特徴・予防する可能性の高い食べ物・発症のリスクを上げやすい食べ物などを解説します。

≫「脳卒中の前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!

監修医師:
上田 雅道(あたまと内科のうえだクリニック)

愛知県立一宮高等学校卒業
福島県立医科大学医学部卒業
名古屋掖済会病院 脳神経内科医員
豊橋市民病院 脳神経内科医員
名古屋大学大学院医学系研究科神経内科学
中部ろうさい病院 神経内科医長

「脳卒中」とは?

脳卒中は大きく脳梗塞と脳出血にわけられます。
脳梗塞は脳の血管がつまることで起こり、脳出血は脳の血管が破れることで急に脳に障害が出てしまいます。

脳卒中の予防法

脳卒中を予防する方法をご紹介します。
生活習慣を改善することが重要です。

食事療法

塩分の制限、動物性脂肪やコレステロールの制限、魚や野菜の摂取を増やすことが重要です。
高血圧や糖尿病、脂質異常症(悪玉コレステロールや中性脂肪が高い、善玉コレステロールが低いこと)を予防することで、動脈硬化の進行をおさえることが期待できます。

理想的な体重の維持

体重を適切に管理することは高血圧や糖尿病、脂質異常症の予防に役立ちます。
目標とする体重は身長や年齢、性別によってちがいはありますが、BMI (体重 (kg) ÷ 身長 (m)2)で22がひとつの目安です。BMI 22 (kg/m2)とは、身長が160cmなら体重56kg、170cmなら64kg程度になります。

禁煙

喫煙は動脈硬化を悪化させることで脳卒中のリスクが高くなります。
喫煙習慣がある人はできるだけ早く禁煙をしましょう。

運動習慣

1日30分以上の有酸素運動ができると、筋力や心肺機能の維持に有効です。体重の維持にも役立ちます。ウォーキングやジョキングなどの運動を週2日を目標に続けてみましょう。運動はケガをしないように、自分の体力や体調にあわせて無理のない範囲で行ってください。ウォーキングやジョギングがむずかしい場合は、体操やストレッチも有効です。

大量飲酒をしない

アルコールの摂取によって脳卒中のリスクが高くなります。アルコールの影響は日本酒やビールといったお酒の種類によってではなく、摂取したアルコールの量によって出てきます。
脳卒中の中でも脳出血はアルコール摂取量に比例してリスクが高くなります。
脳梗塞に関しても男性で44g/日 (ビールなら中瓶2本、日本酒なら2合に相当)、女性では22g/日 以上の飲酒で発症リスクが高くなるといわれています。
ふだんの飲酒量は個人差が大きいですが、節酒を心がけましょう。

日本脳卒中協会が推奨している脳卒中予防10か条

日本脳卒中協会は脳卒中予防の知識を普及するため、「脳卒中予防10か条」を掲げています。
まず脳卒中の危険因子である高血圧、糖尿病、不整脈(心房細動)、喫煙、過度の飲酒、脂質異常症について注意をうながしています。
次に、高血圧、糖尿病、脂質異常症を予防するための塩分・脂肪分を少なくした食事、適度な運動、肥満を避けることを勧めています。
最後に、脳卒中を発症した場合はすぐに病院を受診することの必要性を強調しています。
脳卒中の危険因子を理解して行動することで、脳卒中を起こす危険を低下させることができます。ぜひ参考にしてみてください。

第1条手始めに高血圧から治しましょう

高血圧は脳卒中のリスクを高めます。減塩に心がけましょう。

第2条糖尿病放っておいたら悔い残る

糖尿病は脳卒中のリスクを高めます。食べすぎ、脂肪分のとりすぎ、肥満などに注意しましょう。

第3条不整脈見つかり次第すぐ受診

脈が不規則になる心房細動は脳梗塞のリスクになります。胸がドキドキしたり、脈が飛ぶような感じがあれば内科で診察を受けてください。

第4条予防にはたばこを止める意志を持て

喫煙は脳卒中のリスクを高めます。すぐに禁煙しましょう。

第5条アルコール控えめは薬過ぎれば毒

大量のアルコール摂取は脳卒中のリスクを高めます。飲酒量は個人差も大きいですが、アルコールは控えめにしましょう。

第6条高すぎるコレステロールも見逃すな

高コレステロール血症(脂質異常症)は脳卒中のリスクを高めます。脂肪分のとりすぎに注意しましょう。

第7条お食事の塩分・脂肪控えめに

塩分や脂肪を控えることで高血圧、高コレステロール血症を予防しやすくなります。高血圧、高コレステロール血症を予防することで脳卒中のリスクを低くすることができます。

第8条体力に合った運動続けよう

適度な運動は高血圧、糖尿病、高コレステロール血症(脂質異常症)の予防に効果的です。ウォーキングなど無理のない範囲で運動習慣を身につけましょう。ウォーキングがむつかしい場合は体操やストレッチも有効です。

第9条万病の引き金になる太りすぎ

肥満は高血圧、糖尿病、高コレステロール血症を引き起こし、脳卒中のリスクを高くします。食べすぎに注意して、運動習慣を身につけることで適切な体重を維持してください。

第10条脳卒中起きたらすぐに病院へ

万が一、力が入りにくい、しびれる、話しにくい、意識が悪いなど脳卒中が疑われるような症状が出てしまったら、すぐに病院で診察、検査を受けるようにしてください。脳卒中の治療は一刻を争います。夜間や休日であっても病院の救急外来を受診してください。
参考文献
脳卒中予防十か条(日本脳卒中協会)

脳卒中になりやすい人の特徴

脳卒中の主な原因に高血圧、糖尿病、脂質異常症がありますが、加齢、男性、喫煙、肥満によってリスクが高くなります。

加齢、男性

高齢の男性は脳卒中のリスクが高いといえます。
厚生労働省の「患者調査」によると、令和2年の脳卒中患者は70歳代から80歳代が発症のピークでした。男女別では70歳代までのすべての年代で男性が女性より多く発症していました。

喫煙

喫煙は動脈硬化を進行させることで脳卒中のリスクを高くします。喫煙習慣のある人はできるだけ早く禁煙をしましょう。

肥満

肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症の原因となり、動脈硬化が進行することで脳卒中のリスクが高くなります。食べすぎないこと、適度な運動習慣により適切な体重 (身長が160cmなら体重56kg、170cmなら64kgが目安)を維持しましょう。

脳卒中を予防する可能性の高い食べ物

脳卒中の原因となりやすい高血圧、糖尿病、脂質異常症を予防するような食べ物に注目することが重要です。

野菜

高血圧の予防に有効です。
野菜を積極的に食べることでカロリーオーバーを防ぎやすくなり、適切な体重の維持や糖尿病の予防にも有効です。
ただし、腎臓の働きが低下している人がサラダなど生野菜を過剰に食べると血液中のカリウムが高くなり、危険な不整脈が出てしまう危険性もあります。
腎臓が悪い人、透析を受けている人は医師に相談しておきましょう。

フルーツ

高血圧の予防に有効です。
ただし、生野菜と同様に腎臓の働きが低下している人は食べ過ぎに注意が必要です。
またフルーツは果糖によるカロリーオーバーには注意が必要です。食べすぎにより体重が増えてしまわないようにしましょう。

アジやサバ、イワシなどの青魚にはn-3系多価不飽和脂肪酸という良質な脂質が多く含まれています。n-3系多価不飽和脂肪酸には動脈硬化をおさえる働きがあり、脳卒中の予防に役立ちます。

食物繊維

食物繊維を摂取すると満腹感を得られやすくなり、食べすぎを防ぎやすくなります。適切な体重を維持しやすくなります。

減塩食

塩分摂取について、高血圧の予防には健康な日本人男性は7.5g/日未満、女性は6.5g/日未満を目標とするべきとされています。
しかし、実際にはともに2g/日程度上回っているようです。塩分2gというと濃口しょうゆ小さじ2杯強に相当する量であり、味付けの工夫などによって塩分摂取量を減らしていくことが重要です。
すでに高血圧となっている人は塩分摂取量を6g/日未満におさえてください。

脳卒中発症のリスクを上げやすい食べ物

高血圧や糖尿病、脂質異常症の原因となりうる食べ物に注意が必要です。

高塩分食

塩分を多く摂るような食生活を続けると高血圧となるリスクが高くなります。
塩分を多く含む食品は数多くありますが、ラーメンはその代表とも言えます。ラーメンを食べる時は、できるだけスープは残すようにしましょう。
ラーメン以外にも外食は塩分が多くなりやすいので、外食の際はできるだけ塩分の少ないメニューを選んだり、外食の機会を減らすように心がけてください。

脂肪分

脂肪は高カロリーであり、肥満、糖尿病、脂質異常症などのリスクとなります。
脂身の多い肉類は避けるようにしましょう。
しかし、バランスの良い食事には肉類も必要であり、赤身の肉を選ぶようにしてください。

大量飲酒

お酒を大量に飲むことで脳卒中のリスクが高くなります。アルコールの影響はお酒の種類や量ではなく、摂取したアルコールの量によって決まります。
脳出血はアルコール摂取によって直線的にリスクが高くなります。
脳梗塞に関しては男性で44g/日 (ビールなら中瓶2本、日本酒なら2合に相当)、女性で22g/日 (ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合に相当)以上の飲酒で発症リスクが高くなります。
飲酒習慣のある人はこれらの量を目安に節酒を心がけてください。

加工肉

ベーコン、ソーセージ、ハムなどの加工肉食品は、塩分や動脈硬化のリスクとなる飽和脂肪酸を多くふくみます。脳卒中のリスクを高めてしまうので食べすぎに注意しましょう。

精製糖食品

精製糖とはショ糖だけを精製した砂糖のことで上白糖やグラニュー糖、三温糖など日常でよく使われています。精製糖を大量に使用したソフトドリンク、ケーキ、クッキーなどは肥満や糖尿病の原因となり、脳卒中のリスクを高めます。食べすぎに注意しましょう。

「脳卒中の予防」についてよくある質問

ここまで脳卒中の予防などを紹介しました。ここでは「脳卒中の予防」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

脳卒中の予防に一番大切なことを教えてください。

上田 雅道 医師

脳卒中の予防に大切なことは、その多くの原因となる高血圧、糖尿病、脂質異常症にならないようにすることです。脳卒中の原因の中には防ぐことが難しいものもありますが、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の多くは、食事や生活習慣の改善によって予防することが期待されます。脳卒中は予防することが非常に重要なので、予防に必要なことは今日から始めてください。

コーヒーを含めたカフェインの摂取で脳卒中発症のリスクを軽減することはできるのでしょうか?

上田 雅道 医師

コーヒーに関しては世界中で愛飲者が多く、その研究もされています。コーヒーを飲むことで脳卒中のリスクを低下させるとの研究がありますが、一方で脳卒中のリスクを低下させることはないとの報告もあります。コーヒーの効果に関してはまだ結論は出ていないようです。
日本人になじみが深い緑茶にもカフェインが含まれています。緑茶にふくまれるカフェインの量はコーヒーに比べると少なくなります。緑茶に関しても脳卒中のリスクを低下されるかどうかの議論には結論が出ていないようです。

脳梗塞や脳卒中を予防する上で、納豆はリスクがあるのでしょうか?

上田 雅道 医師

心房細動などの不整脈があり、脳梗塞の予防にワーファリンを飲んでいる場合は納豆を食べることは避ける必要があります。納豆によってワーファリンの効果が弱くなって脳梗塞のリスクが高くなるからです。
ただ近年は納豆など食べ物の影響を受けない薬を使うことが増えています。自分が飲んでいる薬が納豆などの食べ物の影響を受けるのかどうかは、主治医に確認してみてください。

編集部まとめ

脳卒中の予防について重要なことをお伝えしてきました。特に食生活や生活習慣を改善することで脳卒中のリスクを低くすることは可能だと思います。食べすぎに注意する、ウォーキングなど無理のない運動を始めるなど、まずはできることから始めてみてください。生活習慣病の予防から将来の脳卒中のリスクを下げることができると思います。

「脳卒中の予防」と関連する病気

「脳卒中の予防」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

高血圧

心房細動

糖尿病・代謝系のの病気

糖尿病脂質異常症

脳卒中の原因の中には自身での対策を取りづらいものもあります。しかし、上記に挙げたような生活習慣病も脳卒中の重要な要因の一つであるため、脳卒中の発症を予防する対策として食事などの生活習慣の改善を行うことはすぐにでも取り組むと良いでしょう。

「脳卒中の予防」と関連する症状

「脳卒中の予防」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

手足が動きにくい

しびれる

話しにくい

ふらつく

意識がわるい

これらのような症状が急に現れたら脳卒中を発症している可能性があります。脳卒中の治療は一刻を争うため、夜間や休日であってもすぐに病院の救急外来を受診してください。

参考文献

令和2年厚生労働省患者調査

健康日本21(第二次)におけるアルコール対策(e-ヘルスネット)

高血圧治療ガイドライン2019