ホンダ新型「フリード」VSトヨタ「シエンタ」“どっち”を選ぶべき? 大人気「コンパクトミニバン」の“使い勝手”は「どう違う」のか
2モデルとも居心地の良い「オシャレ内装」が自慢!
狭い市街地でも取り回しがしやすく、両側スライドドアと3列シートを備えるコンパクトなミニバンが欲しいと考えると、選択肢はトヨタ「シエンタ」かホンダ「フリード」に絞られます。
そんななか、2024年6月28日にフリードがフルモデルチェンジしました。ここで改めてライバル2モデルの「使い勝手」をじっくり比較してみましょう。
新型フリードは、内外装デザインの異なるAIR(エアー)とCROSSTAR(クロスター)の2タイプを揃え選択肢を増やしたほか、2モーターとなったハイブリッド「e:HEV」の新設定、車いす以外にもアウトドアレジャーなど多彩に使えるスロープ仕様など、さらに魅力をアップしました。
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そんな今、シエンタとフリードの使い勝手はどう違うのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、フリードと比べたシエンタの特徴や長所を探る、試乗記ならぬ「使用記」をお届けします。
どちらも2列5人乗りモデルをラインナップしていますが、主に比べるのは3列シートモデルです。
まずは運転席まわりの使い勝手から。
新型フリードのインテリアは、スッキリとして広いリビングルームのような空間です。
収納スペースのテーマは「サッと置けてパッと使える」がキーワード。ボックスティッシュも入る大容量のインパネアッパーボックスが助手席の前にあり、その下にスマホやサングラスなどが置きやすい、少し深さのあるインパネトレーがあります。
小物入れとしても使えるドリンクホルダーが左右にあり、ディスプレイの下に張り出したセンターパネルにシフトレバーや操作系スイッチを配置。その下にはプッシュオープンタイプのドリンクホルダーがあり、運転席からも助手席からも使いやすくなっています。
ドアポケットは仕切りがついた大容量タイプです。
対してシエンタは、シカクマルのモチーフが使われたり、ブラウンのニット素材のシートに合わせたアクセントカラーが使われていたりと、どこかホッとするカフェのようなインテリアが特徴です。
インパネの収納スペースは、まず左右にある大きめのカップホルダーが目をひきますが、紙パック飲料も入る形状となっており、すぐ横にはペットボトルのキャップを置いたり、コインやキャンディなど無くしてしまいそうな小物を置くのにピッタリな小さなトレイがあるのが気が利いています。
ドアポケットも大きく、とくに助手席のドアポケットには1Lのペットボトル1本と500mLペットボトルが2本、合計3本収納可能です。運転席側は1Lペットボトルが1本入る大きさです。
助手席の前にはオープントレイがあり、ティッシュなどを置きやすいのはもちろん、停車中にはちょっとしたテーブルがわりに使えるのもいいところ。ファーストフードやカフェなどでテイクアウトして、車内で食べることが多い人にも便利に使えます。
そしてセンターコンソールはシフトレバーやスイッチが右側に集められ、左側は深さのあるシフトサイドポケットに。すぐ上にUSBがあるので、小さめのスマホなら充電しながら置くこともできます。
またセンターコンソールの助手席側にフックがありますが、もう1つ、運転席のアームレストにもフックがあるのが秀逸。ここは運転席からも後席からも手が届きやすいうえに、外から見えにくいため、ビニール袋を下げてゴミ箱がわりにしても使いやすくなっています。
ミニバンでもっとも重要な「2列目シート」の使い勝手はどう違う!?
次に2列目・3列目シートを見てみます。
新型フリードには2列目がキャプテンシートとなる6人乗りがラインナップされており、1列目から3列目まで車内を移動できるセンターウォークスルーが便利です。
いっぽう、新型フリードの7人乗りは2列目がベンチシートとなるので、ウォークスルーは1〜2列目のみ。厚みのあるクッションで、座面もたっぷりとしていて座り心地がいいですが、3人がけの時に中央に座るにはちょっとタイトなスペースとなっています。
ただ2人がけの時にはセンターアームレストが使え、室内長が35mm拡大しているとのことで足元にも余裕があり、ゆったりできます。
なお新型フリードにはリアクーラーも装備されるので、後席でもしっかり冷たい風が出るのがポイント。猛暑の日でも快適に過ごせるようになっています。
3列目シートはベンチタイプで横幅が65mmも拡大しているので、2名が座っても余裕があります。
3列シート横の窓も先代フリードよりも大きくなっており、従来のように閉塞感がなくなって明るく開放的な空間に。運転席の人までしっかり視界に入り、声も届きやすいので会話がしやすいと感じました。
収納は、ドリンクホルダーは2列目左右席、3列目左右席にあり、使いやすい位置。2列目にはシートバックポケットもあります。
運転席・助手席の間の折りたたみセンターテーブル、2列目用のシートバックテーブルは、ディーラーオプションとなっています。
シエンタの2列目シートは、もっちりとしたクッションが心地良いベンチタイプ。先代より全高がアップしているので室内の天井も高くなり、1列目とのカップルディスタンスが80mmも拡大していることから、足元にも余裕がたっぷりあります。
3人がけの中央席はやや座面が高くなっていますが、フロアはフラット。1〜2列目のウォークスルーも使えます。
天井にはサーキュレーターがついており、1列目からのエアコンの風を素早く後席まで循環させることが可能。ファンの音も従来モデルより静かになったと感じます。
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3列目シートは、膝まわりはややタイトに感じるものの、頭上は窮屈というほどではなく、座ってしまえばゆったり過ごせます。
左右にちょうど肘を置くのにピッタリな高さのスペースがあり、ここにドリンクホルダーとスマホホルダーも備わっています。2列目シートのドリンクホルダーは左右スライドドアに備わります。
「シエンタ」と新型「フリード」、同じようでもキャラクターは「随分違う」!
では、最後にラゲッジの使い勝手を比べてみます。
新型フリードは、2モーターハイブリッドのe:HEVになってもホンダ独自の低床技術を引き継ぎ、ラゲッジのフロアの低さは地上からわずか480mmとピカイチ。
そして新型フリード クロスターにのみ設定される2列・5人乗りモデルでは、フロア高はもっと低い335mmになるほどです。
今回、新型フリードの荷室床の低さをもっと活用できるようにということで、今までちょっと重く大変な操作だった3列目の跳ね上げ格納を大きく改善。
跳ね上げ位置を90mm低く、開口部に近い位置にしたことで操作がラクになり、格納後の張り出しも薄くなりました。
これで積載する自転車のハンドルが引っかかりにくくなったり、大きな荷物がさらに積みやすくなっています。
5人乗り仕様の2列目ベンチシートのタンブル操作も簡単で、背を倒した際の床面との隙間をなくすボードもついており、低くフラットなフロアに変身。車中泊にもピッタリな空間が誕生します。
シエンタのラゲッジは、地上からの高さは505mmありますが、開口部の下の方が幅広くなっており、横幅のある荷物をすべらせて積みやすくなっているのがポイント。
高さも1070mmと、新型フリードの1110mmに迫る高さを確保しています。
そしてシートアレンジにも技あり。3列目シートが2列目シートの下にピタリと格納できるようになっているので、低いフロアとして活用できます。
格納操作をする際には、一度2列目シートを持ち上げる必要があるので少々手間はかかりますが、ラゲッジの上の空間まですっきりと広く、後方視界も大きく確保できるという利点があります。
また、2列目シートの座面を持ち上げて1列目に寄せれば、奥行きが1525mmに広がります。
車中泊として横になるには少し狭いかもしれませんが、休憩スペースとしてリラックスするには十分な空間となっています。
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こうして見てくると、新型フリードは小さくてもしっかり「ミニバン」として使うことができ、シエンタはコンパクトカーとミニバンのちょうど中間のような、双方のいいとこ取りができるクルマに感じます。
さらにシエンタだけの特徴として、これはハイブリッドモデルのみに限られますが、AC100V/1500Wのコンセントがインパネとラゲッジに2箇所ついており、車内や屋外で電化製品が手軽に使えるところも大きな魅力。
自宅の駐車場ではわざわざ自宅から延長コードを使わなくても掃除機などが使えたり、アウトドアレジャーでは電気ポットなどが使えて楽しみ方が広がります。
また万が一の災害時には、シエンタを電源として自宅などに給電することも可能な非常時給電システムがあり、ガソリン満タンの状態から一般家庭(1日の使用電力400Wの場合)で最大約5日分の電力がまかなえます。
いざというときの備えにもなるのが頼もしいところです。