警察官は「免許証」の何を見てる? 「12桁の数字」で犯罪歴は分かるの? 隠された意味、元警察官が解説
運転免許証「12桁の数字」で何が分かる?
運転免許証には12桁の数字が表示されています。この番号に関しSNS上においては「学科試験の点数が分かる」「犯罪歴が分かる」といったウワサも聞かれますが、一体どのような意味があるのでしょうか。
運転免許証の表面には氏名や住所、生年月日、免許証の有効期間のほか、取得した免許の種類などが明記されています。
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一方、裏面には備考欄と臓器提供の意思表示欄があり、住所・氏名変更などがあれば警察施設において変更事項が備考欄に書き加えられます。
このように免許証からはさまざまな情報を読み取れますが、表面にある12桁の数字、いわゆる免許証番号については意味を知らないという人も少なくありません。
この免許証番号に関してSNS上では「5桁目と6桁目の数字が、最初に受験した学科試験の減点数をあらわしている」「個人の犯罪歴などの情報が含まれていて、要注意人物を判別できるらしい」などのウワサも聞かれます。
では、この免許証番号には一体どのような意味があるのでしょうか。
警察庁が公表している「運転免許証の番号の形式及び内容について」という文書によると、まず1桁目と2桁目の数字を「公安委員会コード」と呼びます。
公安委員会コードは免許証を交付した都道府県公安委員会をあらわす数字であり、初めて免許を取得した都道府県が分かります。
たとえば東京都で初めて免許を取得した場合は「30」、大阪府ならば「62」、愛知県ならば「54」などと表示されます。
ちなみに北海道は面積が広く各方面に公安委員会があることから、札幌方面は「10」、函館方面は「11」、旭川方面は「12」、釧路方面は「13」、北見方面は「14」と、北海道の中でも5種類に分かれています。
次に3桁目と4桁目の数字を「年別記号」といい、初めて免許の交付を受けた年(西暦)の下2桁が表示されています。
仮に2000年に免許を取得していれば「00」、2010年なら「10」となります。
さらに、5桁目から10桁目までの6桁の数字は「交付番号」と呼ばれます。
警察庁の文書では交付番号について「交付年ごとの一連番号を表示する」と説明されているのみで詳細は明らかになっていないものの、都道府県公安委員会が年ごとに管理している番号と考えられています。
なお、「5桁目と6桁目の数字が学科試験の減点数をあらわしている」というウワサに関しては学科試験の自己採点をした人から「問題を間違えたのに数字が『00』(減点なし)だった」「採点と合わない」という声が多数寄せられており、事実ではないといえるでしょう。
また11桁目は「チェックデジット」と呼ばれる数字です。チェックデジットとは数字列の誤りを検知する検査用の数字のことで、バーコードや銀行の口座番号などでも利用されています。
免許証番号のチェックデジットの場合は公安委員会コード、年別記号、交付番号の1〜10桁の数字に基づき「モジュラス11」という計算方式で算出されます。具体的な計算方法は次のとおりです。
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1:1桁目から10桁目の数字に、それぞれ5、4、3、2、7、6、5、4、3、2を掛ける。(1桁目の数字×5、2桁目の数字×4、3桁目の数字×3…というように順番に掛け算)
2:1で算出した数字を合計し、11で割って余りを出す。
3:11から2で出た余りを引く。
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このチェックデジットの仕組みがあることで、数字の入力ミスや番号の偽造などを防止できます。
そして最後の12桁目は「再交付記号」といい、免許証を紛失したり破損させたりした場合に再交付を受けた回数をあらわしています。
再交付が1回の場合は「1」、2回ならば「2」というように回数に応じて数字が増えていきます。
ただし再交付回数が10回の場合は、1回のときと同様に「1」と表示されます。
これらをまとめると、免許証番号から学科試験の点数や犯罪歴が判明することはありません。
警察の活動を取り上げるテレビ番組においては警察官が無線で交通違反歴や犯罪歴などを照会するシーンがたびたび放送されるため、この影響から「免許証番号を見れば犯罪歴が分かる」という誤ったウワサが流れたものとみられます。
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SNS上においては、運転免許を取得した喜びから自身の免許証の写真を投稿する人が散見されます。
免許証番号だけで個人を特定することはできませんが、住所や氏名などは大切な個人情報であるため、その点は十分に注意しましょう。