Photo: Artem Golub - Gizmodo US

SONY(ソニー)が今月発売した立体音響をおうちで楽しめるホームシアター製品(ホームシアターシステム、サウンドバー、ネックスピーカー)。おうちエンタメを格上げするちょっと贅沢なプロダクトです。

映画を大きな迫力の音で「静かに」楽しめるというユニークなスピーカー。深夜でも隣に読書中のパートナーがいても大丈夫。音は自分だけのものというコンセプトのスピーカーです。

米Gizmodo編集部が、そのなかからネックスピーカーの「BRAVIA Theatre U」を体験してきました。日本ではソニー公式ストアで3万9600円です。

サウンドバーやヘッドホンを使うことなく、クオリティの高いサウンドを聴きたい。隣で読書する人の邪魔はしたくないけど、ちょっと邪魔したい。PS5回りの配線まわりをごちゃつかせたい。そんな人が検討すべきがコレです。ソニーの「Bravia Theater U」ワイヤレスネックスピーカー。

…冒頭からイヤミを言ってしまいましたが、これがこのスピーカーの欠点なのです。

まず音質でいうと、価格に見合った良いサウンド。ただ、そこそこ値の張るハイエンドヘッドホンなら、どれだって周囲への音漏れを気にすることなく良音を楽しめるので、当たり前といえば当たり前。

装着感はTheater Uの方が、ヘッドホンよりも優れています。耳や頭への圧迫感がないのが一番のメリット。ネックスピーカーなので肩にかけて使いますが、人間工学的にはソニー大優勝。重すぎず、肩が凝ることなく、身につけるサウンド製品としては比較的快適です。

隣で読書する家族の邪魔はしたくないと言いましたが、本当に邪魔したくなければヘッドホンがいいのでしょう。Theater Uは邪魔というほどでもないけど、存在は確かに感じるというか。邪魔を最小限に抑えるというのが適してますね。

基本はソロ活、1人で楽しむものですが、テレビにTheater Uを2台同時接続できるのでMAX2人向け。ただ、2人で楽しむために2台買うくらいなら、そこそこいいサウンドバーを買った方がいいでしょうね。てことで、やっぱり主に1人向けかも。

銅像みたいにじっとしてろと?

Photo: Artem Golub - Gizmodo US

今回はソニーのテレビBraviaと一緒に使ってみました。PlayStation以外の端末と接続(詳しくは後述)する場合、接続はBluetooth経由になります。

Bravia 7と繋げて設定してみたところ、ソニーアカウントやプレステアカウントへのログインや、耳のトラッキングアプリやら面倒な手間が発生。テレビに対して耳がどこにどうあるかってのを専用アプリを使って記録するわけです。サウンドバーの設定で、立体音響を適切にすべくソファの位置を入力するパターンがありますが、そのネックスピーカー版ですね。

設定できた。音鳴らすぞ。なんて素晴らしい立体音響なんだ! フルレンジのハイエンドヘッドホンにも負けずとも劣らないサウンドだ! と感動しながら、ちょっと頭動かすとその感動は逃げます。頭の角度をたった5度傾けるだけで、完璧な立体音響は得られません。

つまり、サウンドを優先するには、銅像みたいに微動だにしない体幹と精神が必要ということに…。装着感のいいネックスピーカーですが、そのままソファにごろんとしちゃおうなんてもってのほか。いいサウンドを聴くには、常に姿勢を正しておかねばなりません。

ただ、奇妙なことに、この銅像問題が発生するのってBraviaでソニーの空間音響アプリ使ったときだけなんです。それ以外のテレビ・端末と接続するときは、頭を傾けても平気。もちろんそれによって音は多少歪みますが、大騒ぎするほどではない。映画のシーンによってはまったく気にならない程度。これ、ソニー×ソニーゆえの音のこだわりのせいでしょうか?

なぜPS5は有線なの?

Photo: Kyle Barr - Gizmodo US

PS5と接続して立体音響を楽しむ方法、それは有線。PSのコントローラーであるDualSenseからケーブルを繋ぐ必要があります。

さらに最高音質にこだわろうと思ったら、コントローラーとPS5自体も有線にする必要あり。設定すれば立体音響を部屋のどこからでも楽しめるワイヤレスネックスピーカーであるはずが、これではケーブルの長さの範囲でしか楽しめないということに。

オフィスで見つけてきたUSBケーブルが120cm。これじゃ届かないので、とりあえずソファの位置を前に出し、PS5に近づけることで対応しました。で、こうすると同時にレビューしようと思っていたBravia 7の理想的視聴距離ではなくなってしまいます。昨今のワイヤレス優先!ワイヤレス万歳!な流れは、ソニーもわかっているはずなのに…。

実際にゲームしてみました。プレイしたのは『バイオハザード RE:4』『HELLDIVERS 2』など。『RE:4』は音量をMAXに上げないと聴こえづらかったものの、立体音響の効果は抜群。ゲームの世界観を存分に楽しめ、緊張感が高まりました。ただ、この感動は複数人でプレイすると薄れます。だって周りに人がいると、やはりザワザワしますから没入感が下がります。そこは、ANC付きヘッドホンとはやはり違いますよね。それでもゲーム内の銃や爆発の低音は、かなり重めにがっつり響きました。

ゲームしているうちに、これ、本当に有線でつながないとサウンドクオリティ楽しめないのかなぁ?という疑問が湧いてきて…。ワイヤレス接続してみたところ、特に音の遅れは感じませんでした。ですが、Xbox Series Xを使うと、遅れがはっきりわかりました(これはXbox側にも問題あり)。

さらに疑問が湧いてきて…。PS5には「PlayStation Link」という遅れを抑えるロスレスオーディオ技術があるはずなのに、なぜそれを使わないのかなって。PlayStationのPulse Eliteヘッドセットでは、使っているんですけどね。

というわけで、音がいいのは間違いない。ただ、サウンドクオリティを重視して、ソニーのBraviaテレビで映像を見ようと思えば不動の姿勢が必至。PS5で遊ぼうと思えば有線推奨と、なんだかモヤモヤが残る端末にはなっています。ソニー製品×ソニー製品の相乗効果で、こだわりが強くなりすぎているような気が…。

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