「あなたはやってる?」 乗車前の「推奨行為」ってナニ? 教習所で教わるもやってる人は少ない安全確認とは

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乗車前の安全確認は「交通の方法に関する教則」に記載アリ!

 自動車教習所ではクルマの乗車前に「安全確認」をするよう指導されますが、実際にこの安全確認をおこなっている人はほとんどいません。
 
 では、一体なぜ推奨されているのでしょうか。

乗る前にするべき行為とは

 自動車教習所においては、クルマの運転方法はもちろん運転中の姿勢やクルマの死角など、さまざまなことを教わります。

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 しかし、それらの中には「繰り返し指導されたけど、普段の運転では実践していない」という内容もあるでしょう。

 たとえば踏切の手前では一時停止し、クルマの窓を開けるように指導されます。

 これは電車が近づいてきていないかどうかを目と耳で確認するための方法ですが、実際におこなっているドライバーはほとんど見かけません。

 それと同様にクルマに乗車する前の安全確認についても教習所で教わるものの、職業ドライバー以外で実践している人は非常に少数です。では、乗車前の安全確認はなぜ推奨されているのでしょうか。

 その理由は、乗車前の安全確認が国家公安委員会の告示「交通の方法に関する教則」の中に明記されているためです。

 この教則は歩行者と車両の運転者が守るべきルールやマナーを示した手引きであり、自動車教習所のカリキュラムも教則に基づいて作られています。

 同教則の第5章 第1節「5発進に当たっての安全確認」においては、クルマの発進に関して次のように記載しています。

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(1) 車に乗る前に、車の前後に人がいないか、車の下に子供がいないかを確かめましょう。
(2) 方向指示器などによって発進の合図をし、もう一度バックミラーなどで前後左右の安全を確かめてから発進しましょう。
(3) バックで発進することは危険ですから、車庫などに入れるときは、あらかじめ発進しやすいようにバックで入れておきましよう。やむを得ずバックで発進する場合で、後方の見通しがよくない場合や狭い道路から広い道路に出るときは、同乗者などに後方の確認を手伝ってもらいましょう。
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 1のようにクルマの下部には小さな子どもが入り込むケースがあるほか、運転席から見ると前方数メートル部分は死角になるため、死角部分に子どもがいても気付かずに発進してしまうおそれがあります。

 最近でも自宅駐車場や自宅付近の道路において、親が運転するクルマに子どもがはねられ亡くなる事故が相次いでおり、クルマの周囲に子どもがいないかを発進前に確認することが重要といえるでしょう。

 また3に関して、バックでの発進は前から発進するときと比べて視界が狭くクルマの死角が多くなります。

 クルマのバックカメラでも安全確認が十分とは言えず、2022年2月にJAFがおこなったユーザーテストによると、左右後方の車体に近い部分や左右の遠方部分などはバックカメラの死角になることが判明しています。

 駐車する際は基本的に前から発進できる出船(でふね)型にしておくほか、仮にクルマをバックで発進させる場合はバックカメラを過信せず、不安なときには一度クルマを降りて周囲を確認した方が良いでしょう。

 このようなクルマの周辺環境に関してSNS上では「クルマの周りで子どもが走り回ったり、かくれんぼとかしてることあるよね」「子どもが死角に入って轢いてしまったらと思うと怖い」といった意見が複数聞かれました。
また子どもではないものの、「出かけようとしたらクルマの下に猫がいた」「ワンボックスカーを発進させたら、左側にあった低めのブロックに気付かず衝突した」などの体験談が寄せられており、動物や周りの障害物にも注意を払う必要があります。

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 クルマの前後左右には死角があるため、乗車前にクルマを1周して障害物などの有無を確認しておくことが非常に重要です。

 また、それと併せてヘッドライトやブレーキランプといった灯火類、タイヤの状態などクルマの日常点検も実施しておくとより安全に運転できるといえるでしょう。