「佳子さまの日常」の後編は、囁かれるご結婚や女性宮家創設といった気になる話題を取り上げる。現行法では、秋篠宮皇嗣家の長男、悠仁さまが将来天皇となるが、それによって秋篠宮家は絶家となる。残る3宮家もいずれ絶家となることは避けられない。やはり女性宮家の創設は必要になるのか・・・・

「佳子さまの日常(2)」は、囁かれるご結婚や女性宮家創設といった気になる話題に目を向けてみた。現行法では、秋篠宮皇嗣家の長男、悠仁さまが将来天皇となられるが、それによって秋篠宮家の存続は叶わなくなり、残る3宮家もいずれは絶家の道を辿らざるを得ない状況にある。やはり「女性宮家の創設」は必要になるのだろうか・・・・。

囁かれるご結婚

2024年12月29日で30歳をお迎えになる佳子さま。かつてご自身の結婚について、このように話されたことがあった。

「相手がいるかについてですが、このような事柄に関する質問は今後も含めてお答えするつもりはござません」(2019年3月22日、国際基督教大学ご卒業の折の文書回答で)

ここ数年来の秋篠宮邸の増改築で、佳子さまの“別居”が明るみになり、ご結婚への前向きな準備なのではないかと話題になったのも記憶に新しいところだ。

昨今も、幕末の薩摩藩主だった島津斉彬(しまづなりあきら)氏を異母兄にもつ島津久光氏の家系である島津一門の玉里島津家分家の御曹司とのウワサ話も絶えないが、真相はこれ如何に。4月に行われた旧皇族がたとの会合に秋篠宮ご夫妻とご出席されただけで、この騒動である。

年内に御婚約内定かと気の早い報道も見受けるが、佳子さまは積極的に海外ご訪問や国内でのご公務に取り組まれており、「その気は一向にありません」というお気持ちを実証されているようにも見える。

島津家といえば、薩摩藩を取り仕切った藩士であるが、その歴史には明治天皇とのつながりもある。維新後の明治5年、明治天皇は九州・西国(九州、中国、四国地方)へ御巡幸に向かわれた。この目的は、鹿児島を訪れ、反政府を掲げていた薩摩藩を治めるためだったと言われる。

今回の騒動は、この史実に似て非なるものであるが、プリンセスの幸せを静かに見守りたいものである。

令和の即位礼正殿の儀で、初めて十二単をお召しになられた佳子さま。女性皇族の十二単の着用は、即位儀礼とご結婚の時だけに限られる=2019年10月22日、皇居宮殿(正殿)

ゆれる女性宮家創設案

内親王が皇室に留まる法律改正案として政府は、2022年1月に有識者会議での報告書を国会に提出している。これは、皇族数を確保する方策を議論するものであるが、内親王は現在、天皇家の愛子さま、秋篠宮家の佳子さま、上皇陛下の弟宮家の皇孫女子である「女王」には、三笠宮家の彬子さまと瑶子さま、高円宮家の承子さまと、独身の女性皇族は5方いらっしゃる。

戦前の皇族は、14もの宮家が存在した。戦後、三直宮(さんじきみや)と呼ばれた昭和天皇の弟宮家(秩父宮、高松宮、三笠宮)以外の11宮家は、GHQの方針によって皇籍離脱(臣籍降下)を余儀なくされた。当時も、一部の皇族から「宮家の減少は皇位の安定的継承に支障をきたす」といった反対意見も出されたが、認められることはなかった。

そして戦後は三直宮に加え、常陸宮、桂宮、高円宮、秋篠宮家が創設されたものの、秩父宮、高松宮、桂宮家は絶家となっており、秋篠宮皇嗣家の悠仁さま以外に皇族男子はいらっしゃらない。現行の皇室典範(皇室に関する法律)では、天皇家をはじめ各宮家において養子を迎えることはできない。愛子さまも、いずれは御降家なさることだろう。

結果として、女性宮家創設という議論に行き着くわけだが、佳子さまも心中、気にかけていらっしゃるに違いない。姉上・眞子さんのように自分の幸せを優先させることになるのか、それとも皇室に留まるのか。佳子さまには、皇室に残って欲しいと思う声があるのも事実だ。

女性皇族は御降嫁にあたり、天皇陛下から差し回された”リムジン御料車”で宮邸をあとにするのが慣わしになっているが、小室眞子さんのときは見送られている。写真は、明治神宮での結婚式に向かわれる守谷絢子さん(高円宮家三女)。佳子さまも近い将来、この日を迎えることになるのだろうか=2018年10月29日、高円宮邸御車寄(赤坂御用地)

追っかけもいる!?

その愛くるしい笑顔と美貌から、“推し佳子”なる皇室ファンを見かけたことがある。「芸能人ではないので、応援うちわ等を仕込んで沿道でお迎えすることは憚(はばか)られる」と、その皇室ファンは遠慮気味に話した。最近、宮内庁がインスタグラムによる広報活動をはじめた。しかし、発信される情報は天皇、皇后両陛下の御動静が中心であり、佳子さまをはじめとする皇族方に関することが掲載されないのは残念ですね、とも語った。

彼はいう。「一部では”カゴの中の鳥”と、皇室の不自由さをたとえる方もいますが、それを受け入れているかのような佳子さまが頼もしく見える」と。「自分にはない元気や勇気なのか、何か心の支えをもらえる気がするから通ってしまうのだ」と。ファンの心理とは、これに尽きるのだろう。

沿道での推し佳子さま応援。こうしたファンの気持は、なんとなく佳子さまならば笑って受け入れてくれそうな気もする。これもまた、佳子さまにとっての非日常になるのではないかと思った次第である。

御即位一般参賀にお出ましになられた時の佳子さまと小室眞子さん。女性皇族の正装であるお帽子は、公式の場ではドレスコードにより”かぶるもの”とされているが、正月の一般参賀のように”祝意を受ける”側のときは”かぶられない”=2019年5月4日、皇居宮殿(長和殿ベランダ)

文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。