小学生のうちから、英検にチャレンジするメリットとは(写真:nonpii / PIXTA)

子どもに英検を取得させたいけれども、どのタイミングで勉強を開始させたほうがいいか、わからない。そう考える家庭も、増えているのではないでしょうか。『英語が苦手な小学生の9割が必ず英検3級をとれるようになる本』を監修した、リザプロの孫辰洋さんが、英検取得のための重要なカギをお話しします。

小学生のうちから、レベルが高い級を取得

みなさんは「英検」と聞くと、どのような印象を抱くでしょうか? かつては、ただの資格試験の1つだ、というイメージが強かったかもしれません。

その一方で、この5〜6年で英検の扱いは大きく様変わりしています。中学受験・高校受験でも、「英検を取っていること」が評価される場合が増えてきているのです。

さらに、英語の早期教育が当たり前になったことで「小学生のうちに、4級が取れているなんて、とてもすごいことだよね」と言われていたのが、「小学生のうちに、3級くらいは取っておかないとね」、「小学生でも、準2級に合格している人もいるよね」といった話が聞かれるような時代になってきているのです。

私が運営するリザプロでは、英検合格のためのサービスを展開しています。私は学生たちに授業をする中で、興味深い現象が起きていることに気がつきました。中学生高校生よりも、小学生のほうが、英検を取得しやすいケースが多い、ということです。

それは、先ほどの事例で述べたように、3級や、高校生レベルの準2級といった、難易度が高い級でも言える話です。

単純に考えれば、中学生高校生のほうが、英語の勉強をしている年月が長いので、英検の取得は簡単だと思いがちですよね。しかし、実際にさまざまな年齢の生徒に教えていると、小学生のほうが、成績が上がりやすく、英検に合格しやすいと実感しています。

なぜなのでしょうか。私たちがその理由として考えている仮説は、3つあります。順番に、説明していきましょう。

1つ目は、「何かに挑戦することや、英語に対する抵抗感の少なさ」です。

中高生と比べると、まだ幼い小学生のほうが英語に対する抵抗感は少なく、やったことがない分野でも、ガンガン挑戦をします。

それに対して、中高生は「英検を取るには、まだまだ学力が足りないから……」「英検を受けて、落ちてしまったらどうしよう……」などと言って尻込みしてしまい、なかなか受験するための一歩を踏み出せないように見受けられます。

また、英検は年に3回もあります。ほかの科目の勉強や、部活動など、時間があまり取れない中高生だと、「とりあえず次回の受験のタイミングでいいかな」「今はまだ、準備不足だし」と考えてしまいがちです。

このように後回しにしてしまうと、その次のタイミングでも、また同じように「まだ時期じゃない」と考えてしまいます。そして、挑戦しないから、合格を勝ち取ることもできないわけです。

そういった意味では、小学生の場合は、いい意味で「怖いもの知らず」な生徒が多いです。自分に学力があるか・ないかを考えずに、貪欲にチャレンジできます。そしてそのほうが、英検は取得しやすいのです。英語に対する苦手意識が出てしまったり、時間がないことを言い訳に使えるタイミングではないときのほうが、成績は上がりやすいです。

小学生のリスニング能力は高い

2つ目は、「習得の早さ」です。

私自身、生徒に教えながら、中高生と比べると、小学生のほうが、外国語の勉強の習得は早いと実感しています。

これはよく言われる話でもありますが、小さい子どものほうが、英語の習得スピードは早く、教える側のほうが驚かされることも多いです。

特にリスニングの能力は高く、難しそうだな……などといった先入観もないので、どんどん聞き取れるようになります。

ちなみに、子どものうちに英語が聞き取れるようになると、その後の人生においても、その基本的な能力は衰えることなく、英語が得意な子に成長するケースが多いです。そのようなことからも、小学生のうちに英検に挑戦することには、意味があると言えるでしょう。

3つ目は、「英語を勉強する時間」の問題です。

これもよくある話なのですが、中高生になると、ほかの勉強との兼ね合いや部活動もあって、なかなか英検の勉強に時間を割くことができません。

例えば、「学校が忙しいから」とか、「部活が忙しいから」、「学校の宿題が多いから」などといった理由で、英検のための勉強に時間をかけない子・かけられない子も多いのです。

小学生の場合は、あまりそのケースはなく、一度英語学習にハマってしまえば、何時間もずっと勉強する、という子どもたちが多いです。

以上のように、幼いうちから挑戦するほうが、英検に合格できる可能性は高まります。そういった意味では、「うちの子はまだ、英検は早いかな」と思っている親御さんであっても、子どもに英検を挑戦してもらうことの意義は大きいのではないかと思います。

もう1つ付け加えるならば、早いうちに英検を取っておくと、子どもの自信にもなります。「自分は英語ができる」という意識を持つことができて、その後の英語学習でも、抵抗感がなく勉強することができます。

英語以外の勉強でも、プラスに作用


例えば、私たちが支援させていただいたご家庭の中では、こんな事例がありました。

「子どもが、はじめは英語の勉強なんて、嫌だと言っていたのに、英検の勉強を始めたことで、英語が楽しくなっていったようです。英検3級を取ったら、『自分は英語を使って将来働くんだ』と言うようになって、今では英字新聞を読んでいます」

この事例と似たようなことをお話ししてくださるご家庭は、多くいらっしゃいます。さらには、英検を勉強することで、英語以外の勉強においても、プラスの作用が働いたという家庭もあったようです。

こうした話を聞くと、英検を取ることは、その後の人生におけるさまざまなチャレンジにもつながるように感じます。

いかがでしょうか? 親御さんたちにはぜひ、早いうちから子どもを英検に挑戦させてあげてほしいと思います。

(孫 辰洋 : リザプロ代表取締役)