「骨肉腫の自覚症状」はご存知ですか?受診の目安や治療法も解説!医師が監修!

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骨肉腫では自覚症状が出るのでしょうか?本記事では骨肉腫の自覚症状について以下の点を中心にご紹介します。

・骨肉腫とは

・骨肉腫以外の骨の肉腫

・骨肉腫の自覚症状

骨肉腫の自覚症状について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

≫「骨肉腫の初期症状」はご存知ですか?進行した場合の症状も解説!【医師監修】

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

骨肉腫とは

骨肉腫は、主に若年層に発症する骨のがんです。この病気は骨のどの部分にでも発生する可能性があり、長い骨の成長部分に多く見られます。症状には、痛みや腫れがあり、骨折を伴うこともあります。
治療方法としては、手術、化学療法、放射線療法が主に用いられ、早期発見が治療成功の鍵となります。

骨肉腫の自覚症状

骨肉腫の自覚症状にはどのようなものがあるでしょうか。夜間の痛みや安静時の腫れが、ただの怪我とは異なるサインかもしれません。以下では、骨肉腫の自覚症状について詳しく紹介します。

痛みや腫れ

骨肉腫の自覚症状として、主に痛みや患部の腫れが挙げられます。主に、夜間や安静時の痛みが特徴的で、徐々にその痛みは持続的になり、日常生活に影響を及ぼすこともあります。
また、病気が進行すると、患部が腫れ上がり、外から見ても明らかな変形が生じることがあります。

骨折

骨折は、外力によって骨が耐えられずに生じる損傷で、全身のどの骨にも発生する可能性があります。症状には、激しい痛み、腫れ、患部の変形、動かせなくなることが挙げられます。
骨折の治療方法は、損傷の程度や部位により異なり、簡単な固定から手術による治療まで幅広い。適切な診断と治療を受けることで、骨折した骨は正常に回復する可能性が高くなります。

そのほかの症状

骨肉腫に関連するそのほかの症状には、患部の熱感や皮膚の赤み、体重減少、疲労感などがあります。
これらの症状は骨肉腫の進行に伴って出現することがあり、進行した段階で顕著になることがあります。

自覚症状があり骨肉腫が疑われる場合の受診の目安

自覚症状があり骨肉腫が疑われる場合の受診の目安には、激しい骨の痛みや腫れが安静時でも改善せず、夜間に痛みが強くなる場合、または腫れた部分に明らかな変形や硬さが感じられる場合が含まれます。激しい骨の痛みとは、通常の活動や休息中でも感じる強度の高い痛みであり、疼痛管理が困難な場合があります。
この痛みは、骨に異常が生じていることを示す重要なサインであり、これは骨折の有無にかかわらず、骨そのものや周囲組織の異常によって引き起こされることが多いようです。
これらの症状が長期間続く、または日常生活に影響を与える程度であれば、早急に医師の診察を受けることが推奨されます。

骨肉腫の治療

骨肉腫の治療には、手術や薬物療法、放射線治療が存在します。
以下では、骨肉腫の治療法について詳しく解説します。

手術

骨肉腫の治療における手術は、がん細胞を取り除き、患部の機能を維持することを目的としています。治療は、病気の進行度や位置により異なりますが、肢の保存が可能な場合と、病気の広がりによっては切断が必要な場合があります。術後のリハビリテーションも重要な役割を果たします。
術後のリハビリテーションについて詳しく説明すると、手術を受けた部位の機能回復をゴールとしています。これには、筋力を回復させるための運動療法、日常生活動作(ADL)の向上を目指した訓練、疼痛管理、場合によっては義肢の使用方法を学ぶ訓練などが含まれます。

薬物療法

骨肉腫の薬物療法には、化学療法が中心です。手術前後に化学療法を行うことで、がん細胞を縮小または排除し、手術の成功率を高め、再発のリスクを減らすことが目的です。使用される薬剤には、ドキソルビシンやイホスファミドなどがあり、患者さんの状態やがんの種類に応じて組み合わせが調整されます。
ドキソルビシンとイホスファミドは広範囲に使用される化学療法薬です。ドキソルビシンは、乳がん、卵巣がん、甲状腺がんなど多くのがん種に対して使用されます。一方、イホスファミドは主に固形腫瘍や一部の血液がん、主に肉腫の治療に使用されます。

放射線治療

骨肉腫の放射線治療は、がん細胞を破壊するために高エネルギー放射線を使用します。高エネルギー放射線とは、がん細胞を破壊するのに十分なエネルギーを持つ放射線です。これは、X線やガンマ線など、がん治療に使用される放射線の形態を指します。
医療分野では、この放射線を利用して、正確にがん細胞を標的とし、周囲の正常組織にできるだけ少ない影響を与えながら治療を行います。

骨肉腫以外の骨の肉腫の種類

骨肉腫以外にも、私たちの骨を蝕む種類の肉腫が存在することをご存知でしょうか。以下では、骨の肉腫の種類を紹介します。

軟骨肉腫

軟骨肉腫は、主に軟骨組織から発生する悪性の腫瘍です。年齢を問わず発症する可能性がありますが、主に中高年に多い傾向があります。
症状としては、腫瘍がある部位に痛みや腫れが生じるといわれています。治療方法としては、手術による腫瘍の除去が主に行われますが、場合によっては放射線治療や化学療法が併用されることもあります。

ユーイング肉腫

ユーイング肉腫は、骨または軟部組織に発生する悪性の腫瘍で、主に子どもや若者に多く見られます。この病気は、特定の染色体異常が原因であると考えられています。そもそも染色体異常とは、染色体の構造や数に生じる異常のことを指します。
これは遺伝子の機能に影響を与え、さまざまな遺伝病や疾患の原因となります。染色体異常は、自然発生する場合と親から受け継がれる場合があり、発生すると正常な細胞機能の障害や発育の問題を引き起こすことがあります。
ユーイング肉腫の主な症状としては、痛みや腫れが主で、発熱や体重減少などの全身症状を伴うこともあります。治療には、化学療法、手術、放射線治療が組み合わせて行われます。

骨巨細胞腫

骨巨細胞腫は、通常、若い成人に発生する良性の骨腫瘍で膝周辺の長い骨に見られます。症状としては、痛みや腫れがあり、骨折を引き起こすこともあります。治療方法としては、腫瘍の外科的な除去や、場合によっては腫瘍部位への骨移植を行うことがあります。
腫瘍の外科的除去は、腫瘍を物理的に切除する手術を指します。これにより、患部から腫瘍を取り除き、周囲の健康な組織への影響を抑えます。
腫瘍部位への骨移植は、腫瘍除去後の空洞を埋めるために、患者さん自身またはドナーから取得した骨を移植する治療法です。これにより、骨の構造と機能を回復し、患者さんの動作能力を改善していきます。

骨肉腫についてよくある質問

ここまで骨肉腫を紹介しました。ここでは骨肉腫についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

骨肉腫が疑われた場合に行われる検査はなんですか?

甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫が疑われる場合に行われる検査には、X線検査、MRI、CTスキャン、骨スキャン、生検などがあります。これらの検査を通じて、腫瘍の位置、大きさ、およびがんの広がりを詳しく調べられます。
生検は腫瘍の組織サンプルを採取し、顕微鏡で細胞の種類を特定する重要な手段です。詳細な診断手段により、適切な治療法を決定します。

骨肉腫のステージについて教えてください。

甲斐沼 孟(医師)

骨肉腫のステージは、外科的ステージングシステムとTNM分類によって定義されます。外科的ステージングシステムは、腫瘍の悪性度、遠隔転移の有無、腫瘍が骨のどの部分に発生したかによって、ステージ1A、1B、2A、2B、3の5段階に分類されます。
TNM分類は、腫瘍の大きさ、リンパ節への転移の有無、遠隔転移の有無によって、ステージ1、ステージ2、ステージ3、ステージ4の4段階に分類されます。
骨肉腫のステージは、治療方針の決定に重要な指標となり、ステージが低いほど治療効果が高く、予後も良好といわれています。

まとめ

ここまで、骨肉腫の自覚症状についてお伝えしました。要点を以下にまとめます。

⚫︎まとめ

・骨肉腫は、主に若年層に発症する骨のがん

・骨肉腫以外の骨の肉腫の種類は、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、骨巨細胞腫がある

・受診の目安は、痛みの緩和が見込めなかったり、腫れた部分に明らかな変形や硬さが感じられたりしたとき

骨肉腫と関連する病気

骨肉腫と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

整形外科の病気

ペイジェット病

先天性骨異形成症

リ・フラウメニ症候群

ロートムント・トムソン症候群

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

骨肉腫と関連する症状

骨肉腫と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

骨の周りの腫れ

関節が動かしにくい

発熱

体重減少

骨折

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

参考文献

骨の肉腫(ほねのにくしゅ)

骨肉腫〈小児〉治療軟部腫瘍診療ガイドライン2020