避妊去勢、猫にとって幸せは… 野良猫の過剰繁殖を防ぐ「保護団体」の活動に密着
捨てられたり、迷ったりして飼い主がいない猫が増加しています。行き場のない猫を増やさないための活動に密着しました。
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猫が異常繁殖…
大分県日田市内にある小さな集落。取材で訪れてみると、野外で生きる猫がおよそ20匹住みついていました。しかし、半分以上が去勢避妊手術をしていないため、数が増え続けています。
小関由香里代表:
「きょうはここにいる野良猫たちを一斉に捕まえて避妊去勢手術をしたいと思う」
猫の愛護団体「ひたねこLink_heart」の代表を務める小関由香里さん。野良猫を『地域猫』にするために、TNR(Trap-Neuter-Return) 活動をすることに決めました。
TNRは猫を捕獲し、避妊や去勢手術をした上で元の場所に戻す活動。野良猫は『地域猫』となり、一代限りの命を全うすることで殺処分が減り、住民との共存を図ることができます。
今回は子育て中の母猫を除き、13匹の捕獲が目標。地域と協力をしてエサを入れた捕獲器を設置し、保護していきます。捕獲作業中に推定生後1日の子猫も見つかり、責任をもって地域の人が育てることになりました。
小関由香里代表:
「いま猫は全国で異常繁殖をしている状況なので、減らしていくためには避妊手術をして、最後に亡くなるまで地域で面倒見てもらうというのが地域猫活動です」
避妊去勢、猫にとって幸せは…
翌日、1台の車が到着しました。この車はワゴン車を改造した移動式の手術室で、猫の不妊去勢手術を専門に行う動物病院「にじのはしスペイクリニック」が全国各地に配備しています。
にじのはしスペイクリニック福岡分院 段上大輔代表:
「人と同じようなやり方で全身麻酔をかけて毛刈りと消毒を行います」
手術は獣医が担当し、オスは5分、メスは20分ほどで完了します。猫は交尾後に排卵し、高確率でみごもるため、繁殖しないよう手術が必要です。
段上大輔代表:
「避妊や去勢をするのが猫にとって幸せかというのは我々が答えを出すことはできないが、過酷な環境で産まれなければいけない命を増やすよりは、今いる猫たちを幸せにできるようにしたい」
今回の取り組みは、地域の猫にするため、住人が出し合って手術費を負担しました。
小関由香里代表:
「お金を出すと責任も出てくる。私たちが立て替えるのではなくて、地域のご理解をもらい、やらせてもらっている」
手術から一夜明け、地域猫になった子たちを元の場所へ。地域猫活動は去勢や避妊だけでなく、地域住民による定時のエサやりやトイレの設置までの管理が欠かせません。
小関由香里代表:
「周辺の方にも理解してもらって避妊しているので、これ以上は増えないから管理してもらって、嫌いな人もいると思うが、理解してもらって共生していくような地区になってほしい」
人と猫が共存できる地域を目指すTNR活動。住人の思いやりや理解が広がることが不幸な猫を減らしていくことにつながります。