北海道警が2019年に導入した、こちらは本物のオービス(写真・朝日新聞社/時事通信フォト)

オービスそっくり 北海道警察警察官が手作り 「走行中に本物かダミーか見分けるのは困難」速度抑制に一役》

 4月18日、こう題した北海道新聞で配信された記事が関心を集めている。

 記事によれば、道警は2019〜2024年に可搬式オービス計8台を導入し、配備したが、1台あたり約1000万円と高額で、予算面から容易に増台できずにいたという。そこで、美幌(びほろ)署の大沢上毅巡査長(現在は巡査部長)が、道警本部交通指導課に所属していた2023年10月に、ダミーのオービスを考案。白色に塗装した一斗缶2個を重ね、本物とほぼ同じ寸法で作製。製作費は1台約1000円だという。

このニュースが報じられると、コメント欄には賞賛の声が上がった。

《アイデアのある素晴らしい取り組みですね。物理的に取り締まりを行うのではなく、ダミーを用いる事での速度抑制効果を狙う【カカシ】の役割を狙っているわけです》

《良い取り組みだと思います。しかも1台約1000円と費用も抑えられている。パッと見て一瞬じゃ見分けられないなら抑止力はかなりあると思う。可搬式で神出鬼没ならより効果的だ。こういうの広まってもらいたい》

《本来は、事故を未然に防ぐ目的で行っていた取り締まりが、今は違反切符切るために行うことが目的になっているように思う。こういったアイデア、どんどん広がってほしい》

《素晴らしいクオリティですね。写真で見た限り、走行中に本物か偽物かを見極めるのはほぼ不可能でしょうね。因みに、警察側お手製とのことですが、勤務時間中の制作でしょうか? 勤務時間外ならきっちり時間外手当を差し上げてくださいね》

 北海道警本部交通部交通指導課に、ダミー・オービスについて聞いた。

――ダミー・オービスを製作しようと思ったきっかけは何ですか?

 昨年(2023年)、重大事故等が発生し、交通事故死者数も前年比を上回る数で推移していたところ、人員も予算も限られているなかで、いかにして効果的な交通死亡事故抑止対策を推進できるかを検討した結果、奈良県における類似の取り組みによって、車両の速度が落ちたといった反響が寄せられているとの報道を参考に、交通指導課において速度抑制を目的として作製しました。

――製作にあたって、苦労した点は何ですか? 道警の製作許可みたいなもの取ってから作業を始めたのですか?

 作製については、廃材や文房具等を活用して容易に作製できるものであり、北海道警察交通指導課として作製しています。

――いつ、どこで作業はされたのですか?また、作業は(大沢巡査部長が)おひとりでされたのですか?(非番の時に、寮で、とか自宅アパートでとか)

 警察本部内で執務時間内に交通指導課員が協力して作製しました。大沢ひとりではなく、大沢以外の課員も協力しました。大沢が考案し、交通指導課として作製したということです。

――製作費は1台1000円とのことですが、道内12署に導入したとありますが、合計何台製作されたのですか? 総費用はいくらでしたか? 自腹ですか? それとも、最初は自腹で後に道警から支払ってもらったということですか?

 作製については、少なくとも交通指導課では2台作製しました。もともと警察本部内にあった廃材や文房具等を活用して作製しているものであり、費用はかかっていません。かりに資材等を購入したのであれば、1台1000円くらいかかるとの見込みという意味です。現在までに合計15台を作製しています。

――今後、増台する予定はあるのでしょうか? 年内に何台とか?

 現時点においても作製中、または作製を検討している署もあると承知しており、増台予定です。

――効果は感じられていますか?

 実際にダミー・オービスを見て、スピードを落とす車両も見られ、引き続きこれを神出鬼没的に道内各地で運用することで、車両運転手へ緊張感を与え、事故抑止につなげていければいいと考えています。

 1台1000円で事故が減るなら安いもの。今後は、ほかの警察本部での導入も始まるかもしれない。