アシックス「GEL-PTG GTX」。1万8700円。写真は公式HPより

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こんにちは、シューフィッターこまつです。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。
GWのお出かけ用のスニーカーを買うならサイズが揃っている4月中旬までがリミットです。下旬になるとショップが激混みするうえに、メーカーも休みに入るため、目当ての靴を買うことが困難になります。買うなら今です。

買うポイントは、「.轡鵐廛襦廚如岫∩悩爐チープすぎない」の2点を守りつつ、履いた瞬間の足のセンサーを信じて選んでください。少しでも不安がある場合は買わないように。よくわからないという方は、トレンドを鑑みつつ、歩きやすいスニーカーをナイキ、アディダスアシックスから3足セレクトしたので、ご参考に。

◆ナイキ「トレンドより定番を狙え」

世間では、1990年代〜2000年台前半の復刻がはやっていますが、ナイキは要注意。選択をまちがえると、とっくに過ぎ去った青春をいまだに追いかける懐古中年になりかねません。例えば、その代表が「フルフォース・ロー」。靴単体でみると確かにカッコいい。つい手を出したくなる気持ちはわかりますが、履きこなすのは至難の技です。ボリュームがあるので欧米人かモデル並みの体型の持ち主でないと似合いません。アッパーが不必要にうるさく、底のごつさも中途半端。ベロのバスケットボールの模様も、悪く言えば子どもっぽい。肝心の履き心地は、カカトのカーブが欧米人向きのスーパーストレートなので、脱げやすいという特徴もあります。

そもそもバスケットボールシューズなので、バスケをしない限りはファッションシューズの域を出ません。全体のつくりがとにかく硬く、長時間歩くには不向き。GW中に行列で立ちっぱなしなどのシーンに遭遇すると、足の痛さで泣きたくなるはずです。

今のナイキであれば、正解は「エアマックス1」でしょう。37年前から売れ続けている名作中の名作。余計な素材が一切なく、完全に大人目線の1足です。ファッションの原則として、「靴だけ」が目立ってしまってはいけません。おしゃれは足元からと言うように、悪目立ちとはまったく意味が異なります。エアマックス1であればチープさの欠片もない完成されたデザインで、先端が細いにもかかわらず適度なボリューム感で足元を整えやすい。デニムやワイドパンツ、ハーフパンツであっても似合ってしまいます。目の肥えたスニーカーマニアからも一目置かれる存在なので、ナイキで迷ったらこれ一択。そもそもの設計が本格ランニングシューズなので、歩きづらいといったことも一切ありません。

アディダス「ハイテク系に落とし穴」

アディダスは、ハイテクからクラシック、さらに同じモデルでも高級版から廉価版まで混在しているので、カジュアルだと一番選ぶのが難しく、明暗がはっきり分かれるメーカーと言っていいでしょう。まずはダメな例から挙げます。夏になるとその涼しさから飛ぶように売れる「クライマクール」シリーズ。

アッパーだけでなく、底にまで穴が空いているので、真夏の暑さを寄せつけません。しかし、履いた瞬間に「ジョギングですか?」と聞かれるでしょう。機能と履き心地は申し分ないのですが、ここまでメカニカルなデザインだと、よほどのおしゃれ上級者でない限り靴が浮いてしまいます。このシリーズはABCマートでも廉価品が安く手に入り、「ファッションでも履ける」と謎にゴリ押しするネット記事を多く見かけるのですが、だまされてはいけません。コーディネートが非常に難しい1足です。

大人が履いて簡単にサマになるアディダスといえば、もちろん「スタンスミス・LUX」です。よく見る合皮の廉価版は蒸れるのでやめてください。選ぶなら「LUX」一択。スタンスミスの中でも最上級の素材と、最大限の手間をかけた最上級ラインです。靴と足の間に余分なすきまがないので非常に蒸れづらく、とにかく見た目が美しい、それでも1万円台。並べるとわかりやすいのですが、安いスタンスミスは合皮で不自然にまっしろで、汚れも目立ちます。そもそも「完全な白」というのは蛍光灯の光と同じで、どこか安っぽいもの。「LUX」は絶妙にアイボリーに近く、ソールもヴィンテージ感のある落ち着いた色合いです。