タイヤの「空気圧」“少し高め”が良い理由は?「高すぎ・低すぎ」NG! どれくらい高めがベストなのか?
タイヤの空気圧はちょっと高めが推奨される理由
タイヤは、クルマと路面をつなぐ唯一の接点として非常に重要な役割を担っています。そんなタイヤのメンテナンスで大切なのが「空気圧」の管理です。
安全に走行するためにも、ドライバーはタイヤの空気圧を気にしておく必要があり、メーカーは各車種に対してタイヤの「指定空気圧」を設定しています。
そして、タイヤの空気圧は指定された値よりも“少し高め”の設定が推奨されるといいますが、それはなぜなのでしょうか。
タイヤはその構造上、少しずつ自然に空気が抜けていくものです。1か月に5%ほどですが、あらかじめ少し高めに設定しておけば、空気圧を点検する頻度を減らすことができます。
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また、空気圧が高めだとタイヤが丸く膨らみ、接地面積が小さくなって摩擦によるエネルギーロスが減少します。つまり、空気圧を高めに設定しておけば燃費の悪化を防げるというわけです。
では、どれくらい高めに設定するのが良いのでしょうか。
タイヤの空気圧はkPa(キロパスカル)で表記され、適正値は運転席のドアを開けたセンターピラー部や、給油口のフタの裏側などに貼ってあるラベルに記載されています。
車種によって空気圧の適正値は異なりますが、国内で販売されているタイヤは概ね200kPa〜280kPa。タイヤの空気圧を高めに調整するなら、適正値+10%が一般的な目安ですので、200kPaの場合は220kPaまで空気圧を高めても問題はありません。
空気圧は高めが推奨される一方、あまり高すぎると路面との接地部分が減り、中央部分のみが擦り減る「偏摩耗」が起きてタイヤの寿命が短くなります。
また、路面との接地面が少なくなるとタイヤの摩擦が減少します。これにより、ブレーキの利きが悪くなります。
さらに、空気を入れすぎるとタイヤが硬くなり衝撃を吸収しにくくなるため、「乗り心地が悪化」「ゴム部分の破裂」といった事態を招く可能性があり、高すぎる空気圧は逆効果だといえます。
そして、タイヤの空気圧が低くすぎてもデメリットがあり、この場合、路面とタイヤの接地面が増えて、接地摩擦によるエネルギーロスが起こり燃費低下につながります。
燃費低下のほかにもタイヤを傷める原因となったり、衝撃を吸収しきれず乗り心地が悪化したりするため、定期的に空気圧のチェックをおこない、適切な空気圧に設定しましょう。
空気圧チェックで重要なこととは?
国土交通省や警視庁などで構成されるエコドライブ普及連絡会の資料では、空気圧が不足すると燃費へ悪影響があることが報告されています。
資料によると、タイヤの空気圧が適正空気圧より50kPa不足していると燃費が悪化。2%〜4%ほど高いガソリンを使用しているのと同じ状況になります。
たとえば、2024年3月時点のレギュラーガソリンの価格は174円/リットルですので、4円〜7円の余計な出費が発生することになるというわけです。
空気圧の点検・充填は、ガソリンスタンドやカー用品店、ディーラー、自動車修理工場で行えます。
点検・充填は無料で行っている店舗が多いですが、数百円ほど料金のかかる場合もあるため作業前に確認しましょう。
セルフサービスのガソリンスタンドに設置されているコンプレッサーは、エアタンク型と据え置き型の2種類があります。店舗によって置いてあるタイプが異なるため、使い方が分からない場合はGSスタッフに教えてもらいましょう。
自宅での補充もできますが、クルマのタイヤ専用のコンプレッサーが必要です。
コンプレッサーとは空気を圧縮して送り出す装置で、「片手で持てる」「地面に置いて利用する」などさまざまなタイプが存在。インターネットやカー用品店で購入できますが、安くても数千円ほどかかるため、無料で空気を入れられる店舗を探すのがおすすめです。
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空気圧の点検は、タイヤが冷えている状態で行うのが最も重要なポイントです。
走行後はタイヤとホイールが温まっており、空気が膨張しているため正確な空気圧の測定ができないからです。
走行前の測定が最も正確ですが、走行後に空気圧の点検をする場合は停止してタイヤとホイールが冷めてから行いましょう。