高松宮記念を制したマッドクール(c)netkeiba

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る高松宮記念

【Pick Up】マッドクール:1着

 外国産馬の芝GI制覇は、22年秋にスプリンターズSを勝ったジャンダルム以来となります。

 父ダークエンジェルはアイルランド繋養のスピード型種牡馬。現役時代に芝6ハロンの英2歳G1ミドルパークSを制覇し、種牡馬としては初年度産駒からリーサルフォース(英短距離G1を2勝)を出すなど、期待をはるかに上回る成功を収めています。2015年以降、英愛種牡馬ランキングでベスト5以内に入れなかったのは2回(2018年7位、2019年6位)しかなく、2017年と2023年には自己最高位の2位に食い込みました。

 スプリンター種牡馬であること、叩き上げで良血のイメージが薄かったことなどが相まって、日本に産駒が入ったのは8世代目(チャリオット)と遅く、マッドクールは11世代目です。わが国ではこれまで出走14頭中9頭が中央で勝ち上がるというハイアベレージで、ほかにシュバルツカイザー、ダークペイジなどの活躍馬が出ています。芝1200mでは連対率31.8%、1走あたりの賞金額623万円ときわめて優秀です。小回りコースがベストで、なかでも北海道の洋芝で安定した好成績を挙げています。福島芝や小倉芝でも走っているので、サマーシリーズの芝短距離戦では要注目です。

◆血統で振り返る毎日杯

【Pick Up】メイショウタバル:1着

 毎日杯における圧勝劇といえば、2001年のクロフネが思い出されます。今回の6馬身差は、そのときの5馬身差を上回るレース史上最大着差です。

 ゴールドシップ産駒は、オークス馬ユーバーレーベンを筆頭に、ウインキートス(目黒記念)、ゴールデンハインド(フローラS)、ウインマイティー(マーメイドS)と、牝馬の活躍が目立ちます。牡馬の重賞勝ちは、ブラックホールが勝った2019年の札幌2歳S以来となります。

「ゴールドシップ×フレンチデピュティ」は、これまでにデビューした4頭中3頭が勝ち上がり、そのなかにはステイヤーズSで2着となったプリュムドールが含まれています。相性がいい組み合わせといえるでしょう。

 父ゴールドシップは現役時代にGIを6勝。同じく「ステイゴールド×メジロマックイーン」の組み合わせから誕生したオルフェーヴルと同じく、芝の中長距離を得意とし、少し時計の掛かる馬場では無類の強さを発揮しました。また、阪神コースでは宝塚記念2連覇、阪神大賞典3連覇を含めて[6-1-0-1]。致命的な出遅れとなった2015年の宝塚記念を除き凡走はありません。今回のメイショウタバルが披露したケタ違いの強さは、少し時計の掛かる馬場、阪神芝コースという舞台設定からも、父の面影を感じさせます。