実業家のイーロン・マスク氏らが設立したNeuralinkは、脳に通信可能なインプラントを埋め込むことで、脳で直接電子機器を操作できるようにすることを目指しています。Neuralinkのヒト臨床試験を受けた半身不随の29歳男性が実際に考えるだけでゲームをプレイする様子がムービーで公開されています。

Video shows world's first Neuralink brain interface patient playing PC games and chess with his mind | Tom's Hardware

https://www.tomshardware.com/video-games/paralyzed-man-civ-6-fan-used-neuralink-brain-interface-to-play-pc-games-and-chess-with-his-mind

Musk's Neuralink shows off first implant patient: 'like using The Force' | VentureBeat

https://venturebeat.com/virtual/musks-neuralink-shows-off-first-implant-patient-like-using-the-force/

Neuralinkは、「Link」と呼ばれる脳コンピューティングインターフェース(BCI)の埋め込み手術を受けた男性へのインタビューをXでライブ配信しました。以下のムービーで、実際に男性がオンラインチェスをプレイする様子を見ることができます。

Neuralinkのインプラント埋め込み手術を受けた半身不随の男性がPCでチェスをプレイする - YouTube

男性(右)は21歳の時に、ダイビングの事故で半身不随になり、自分の手足を動かせなくなってしまったとのこと。そして、Neuralinkの臨床試験を受け、脳にLinkを埋め込みました。



男性によれば、実際に試行した動きと想像した動きを区別し、次に頭の中で左右の手を動かすことをイメージし、最終的にカーソルをじっと凝視しながら動きに集中することで、PCのカーソルを自由に動かせるようになったとのこと。Linkによるカーソル操作について、男性は「『スター・ウォーズ』に登場するフォースの操作に近い感覚」と表現しています。



ムービーではチェスをプレイしていますが、Linkの埋め込み手術を終えた男性がLinkの使い方がわかるようになって最初にプレイしたのは人気ストラテジーゲームの「Civilizaztion VI」で、しかも朝の6時まで徹夜でプレイしたそうです。「Civilizaztion VI」は1プレイにかなり時間がかかるゲームであり、Linkを使って朝までプレイできたということは、Linkを使ったPC操作は長時間でも問題なく可能であることを意味しています。Linkのバッテリーはおよそ8時間で切れてしまい、その都度ワイヤレス充電が必要になりますが、男性は「バッテリーを使い切ってもプレイする価値はありました。これまでは『Civilizaztion VI』をプレイすることを諦めていました」とコメントしています。

男性は「画面のどこかを見つめるだけで、思ったところに動いてくれる、とてもワイルドな体験でした。クレイジーです。本当にそう。クールです。臨床試験に参加できて本当に幸運です……私たちは毎日新しいことを学んでいる感じです。それがどれほどクールなのか、言葉では言い表せません」と語りました。



なお、マスク氏はXで「考えるだけでコンピューターを操作してゲームをプレイする『テレパシー』のデモンストレーションです」とコメントしています。