北陸三県の一つ、福井の玄関口であるJR福井駅前。2024年3月16日の北陸新幹線福井・敦賀開業を控え、駅周辺ではホテル・商業施設の建設が進んでいます。一体どのように生まれ変わるのか。現在行われている再開発の様子を中心に、まちの変化をレポートします。

JR福井駅前は徒歩圏内に都市機能が集約

「福井」駅はJRのほか、福井鉄道、えちぜん鉄道も乗り入れる北陸西部の一大交通拠点です。なかでもJR福井駅西口エリアは市の表玄関口として発展し、北陸主要都市では数少ない、駅前から中心街が始まる駅前都市を形成しています。

恐竜のモニュメントが印象的なJR福井駅西口

西口エリアは「ハピリン」「西武百貨店福井店」といった商業・文化複合施設が充実。さらに駅から徒歩5分圏内には市役所や県庁などの官公庁、金融機関、オフィスビル、市民の憩いの場である「福井市中央公園」があり、快適な都市機能がぎゅっと集約されています。

JR福井駅西口を出て徒歩すぐにある商業施設「ハピリン」建物の中には、食事処やカフェ、コンビニ、県内のお土産が揃うほか、多目的ホールやプラネタリウムがある
開放的な広い芝生が印象的な「福井市中央公園」。市民主催のイベントが定期的に開催されている

駅東口は福井の観光地である永平寺やあわら温泉方面に向かう「えちぜん鉄道」の駅舎をはじめ、高速バスや小松空港行きのリムジンバスが発着するバスターミナルがあり、交通の起点となっています。北陸新幹線開業に向けていち早く「福井市観光交流センター」がオープンし、観光客と市民が交流できる「観光おもてなし拠点」として期待されています。

JR福井駅東口(工事前)
観光交流センターの屋上広場には大小9体の恐竜のモニュメントがあり、「恐竜王国」の魅力もアピール

再開発が進められている「福井駅前電車通り北地区A街区」、新名称は「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちブロック)」

近年はドーナツ化現象により過去の賑わいは薄れつつあるものの、北陸新幹線「福井駅」の開業や周辺エリア一帯の再開発によって、人の流れが大きく変わる可能性を秘めている駅前エリア。観光客・ビジネス客、そして生活者である福井市⺠の目的地となるランドマークが求められていることから、駅前エリアの再開発がスタートしました。

現在再開発が進められているのは、「福井駅前電車通り北地区A街区(以下、A街区)」。JR福井駅西口徒歩1分の通称「三角地帯」と呼ばれているエリアで、甲子園球場のグラウンドとほぼ同じ約1.3haの広大な区域に、住宅・商業・ホテル・オフィス複合の新街区が生まれる計画が進められています。

福井駅前電車通り北地区A街区第一種市街地再開発事業位置図(福井市提供)

A街区には、地上28階、高さ約120mのホテル・オフィス棟および地上28階、高さ約100mの住宅棟および地上10階、高さ約36mの駐車場棟で構成する大規模複合施設を新設。低層部には商業施設、中央部には駐車場(約300台)、福井駅側(東側)にはホテル(252室)、オフィス、ホール(千人規模)が入る高層ビル、西側には高層マンション(224戸)が建設されます。東端に約500㎡、西端に約400㎡の広場を設けられます。

福井の玄関口にふさわしいシンボリックなデザインで都市再生を牽引(建物完成予想図)(福井駅前電車通り北地区A街区市街地再開発組合提供)

2021年10月に着工し、東側の商業・ホテル棟と中央の10階建て立体駐車場は2024年3月開業、A街区全体の施設は2024年5月末に完成し、2024年夏に全面開業を予定しています。街区の名称は「FUKUMACHI BLOCK(ふくまちぶろっく)」に決定。「福井まちなか」を表す“ふくまち”と、「街区」を表す“ブロック”を組み合わせたネーミングとなっています。ロゴマークはさまざまな機能を持つテナントが当街区に集う光景を積み木=ブロックに例えたデザインとなっており、「たくさんの個性が積み木のように組み合わさっていく」「新しい歴史が積み重なっていく」という想いを込め、伸びやかなブロックの形で街区を表現しています。また、街を舞台に新たな福井を発信する人々が集う意味を込めて、躍動感のあるデザインに仕上がっています。

建物完成予想図(福井駅前電車通り北地区A街区市街地再開発組合提供)

北陸発となる「コートヤード・バイ・マリオット福井」が開業

ここからは「FUKUMACHI BLOCK」の詳細についてご紹介していきます。
福井駅側(東側)に位置するホテル・オフィス棟は28階建。低層階は商業施設やフィットネスクラブ、カンファレンス、中層階はオフィス棟となっており、高層階には北陸地方初となる「コートヤード・バイ・マリオット福井」が開業します。

12室のスイートルームを含め252室のゲストルームからは福井の素晴らしい眺めが一望できるようになっているほか、開業の際には会議室やボールルーム、オールデイダイニング、日本食レストラン、ロビーラウンジを完備し、地元名物を楽しんだりカジュアルな雰囲気の中で寛いだりできる空間となる予定です。

フィットネスクラブの運営者はセントラルスポーツに決定
外装は福井県の主要観光地の一つである東尋坊(坂井市)の崖をイメージしたデザイン

福井の食文化を堪能できるフードホール「MINIE」

商業施設の1階には駅前フードホール「MINIE(みにえ)」が誕生します。約1,900㎡にわたる空間は6エリアから構成され、飲食や物販など約30店舗が出店予定。小規模の酒場で構成される「横町」やテイクアウトの食事ができるローカルフードホールなどで構成されます。「横町エリア」は小規模店舗が並び、店主や客同士が交流できるコの字型カウンターが特徴。「ローカルフードホール」は電車通り側に設置し、天井が高い開放的な空間で、昼食から夕食まで日常的な利用ができるようマルシェ方式が検討されています。
そのほか、福井や北陸のこだわりの食を日常的に楽しめる「ローカルマーケット(グロッサリー)」や、地元のクラフトビールを提供する「ブリュワリー」、イベントやワークショップを開催する「POP UP」で構成。福井の食文化を発信するとともに、地域住民が集い、交流が生まれるサードプレイスを目指しています。

県内最大級の高層マンション「ザ・福井タワー」
A街区の西側には県内最大級である28階建の高層マンションが建設中です。13~28階に位置する「ザ・福井タワー・スカイレジデンス」は、118戸の一般向け分譲住宅。3~12階は106戸のアクティブシニア向け分譲住宅「ザ・福井タワー・イニシアグラン」を配置します。

ひときわ高さが目立つ「ザ・福井タワー」

「スカイレジデンス」は1LDK~4LDKの多様な間取りでシングルからファミリーまで幅広い層に対応。高層階に位置するため抜群の眺望を誇ります。

「イニシアグラン」では、大浴場やクラブラウンジなど多彩な共用施設とフロントサービスを完備。万が一の時にも地域包括支援センターや介護施設とも連携した医療サービスが受けられるなど、安心できるシニアライフが過ごせそうです。

買い物に便利なのはもちろん、近くには飲食店が集積する繁華街「片町」があり、外食には事足りません。さらに先ほど紹介したフードホールやフィットネスジムも気軽に利用できるのは嬉しいポイント。さらに冬場は雪が降ることも多い福井で、雪かきの必要がないのはどの世代にとっても魅力的に映るでしょう。

好評分譲中(2023年12月)

まだまだ変化を続けていく福井駅前に注目!

現在はA街区の工事が進められていますが、今後は隣接する「B街区」の開発も進められていきます。2024年1月に着工し、完成は2025年11月を予定。1階には商業施設、2階にはクリニック、通所リハビリの医療福祉施設が入居し、3~10階に62戸の分譲住宅を設けた複合ビルとなる予定です。

今後工事が進められる予定の「B街区」

2024年3月の北陸新幹線開業を機に、大きくまちが変わり始める福井駅前。これまでの都市機能に加え、新たな人の交流も生まれ、商業だけでなく暮らせるまちとしてにぎわうこれからの姿に期待が高まります。