【20歳が知らない大みそか】K-1が瞬間視聴率で紅白超え!TBS・フジ・日テレが格闘技を流した「異常な年」
年を取ると、過去の出来事がいつ頃のことだったのか感覚が鈍くなる。自分ではつい最近のように感じるのに、若い人と話すと「いや、それ生まれる前です」と返される。
薄れゆく時間の感覚を取り戻すべく、今20歳の人が知らない、生まれる前のことを思い出してみようというのが当企画「ノスタル研究所」だ。今回は今の20歳が生まれた頃、2003年に起こった民放3局が格闘技を流した異常な出来事を振り返ってみる。(エンタメ評論家 徳重龍徳)
史上最もザッピングされた日?
2003年の大みそかは、史上最もザッピングされた日かもしれない。NHK紅白歌合戦の裏で、TBS、フジテレビ、日本テレビの民放3局が格闘技の中継の試合を流していたのだ。SNSもない時代、目当ての試合が始まったか知る術はなく、チャンネルを変え、テレビ画面で確認するしかなかった。
現在も「RIZIN」「BreakingDown」など格闘技は人気だが、2000年代前半の熱狂は一段も二段も上だった。とはいえ3つの局が同じ時間帯に放送するとはさすがにやりすぎだ。当時の記事などを読み解くと、格闘技団体とテレビ局の思惑が絡み、生まれた“ゆがみ”だったことがわかる。
2001年8月19日、白血病で亡くなったK-1の人気選手アンディ・フグの一周忌興行「K-1 ANDY MEMORIAL 2001」が開催された。
大会は2部構成で、1部はK-1、2部は総合格闘技ルールでのK-1軍とアントニオ猪木率いる猪木軍の対抗戦が行われた。猪木は当時人気だった総合格闘技大会「PRIDE」のプロデューサーに就任しており、2部はPRIDEを運営する「ドリームステージエンターテインメント」(以下DSE)との共催の形がとられたという。
大会の模様は日本テレビが中継した。目玉選手ではその年、K-1のトーナメントで早期敗退しくすぶっていたミルコ・クロコップが総合格闘技に初挑戦。新日本プロレスのIWGPヘビー級王者であり日本人最強と呼ばれた藤田和之を1R0分39秒でTKO勝ちしたことはファンに衝撃を与えた。これ以降、ミルコは「プロレスハンター」としてスターとなっていく。