東京有数の渋滞ポイントとなっている葛飾区の国道6号で、拡幅事業の一環として夜間通行止め工事が行われます。ボトルネック部を横断するJRの貨物線「新金線」は、旅客化が検討されていますが、この踏切はどうなるのでしょうか。

国道6号拡幅のために歩道橋撤去へ

 国土交通省 首都国道事務所は2023年12月11日、東京都葛飾区の国道6号(水戸街道)で歩道橋撤去工事に伴う夜間通行止めを実施すると発表しました。


国道6号を横断する新金線の新宿踏切。信号に従う方式で一時停止は不要だがボトルネックになっている(乗りものニュース編集部撮影)。

 葛飾区新宿(にいじゅく)地区の国道6号にかかる新宿4丁目歩道橋、金町4丁目歩道橋の撤去を行うため、2024年1月22日と2月12日深夜に国道6号を一時通行止めします。1日約7万台の交通量がある幹線道路ということもあり、首都国道事務所は期間中の迂回路をアナウンスしています。

 これは、国道6号の拡幅事業「新宿拡幅」の一環。中川と江戸川に挟まれた新宿・金町地区の国道6号を6車線化する事業で、すでに金町地区の1.2kmは「金町立体」が建設され1995(平成7)年に6車線化されています。

 しかし、新宿地区の0.9kmは用地こそおおむね確保されているものの、金町地区の完成から30年近く経ついまも4車線のまま。これにより慢性的な交通渋滞が発生しているといいます。

 なかでも渋滞のボトルネックとして、ラジオの交通情報などで毎日のようにその名を聞くのが「新宿踏切」(新宿新道踏切)です。JRの貨物線が、新宿地区の国道6号を横断しています。

 この貨物線は常磐線と総武線をつなぐ「新金線」で、葛飾区の南北を横断していること、すでに貨物列車の通行は少なくなっていることから、旅客線としての転用が検討されています。その中で最大の課題となっているのが、この新宿踏切の扱いです。

拡幅工事は「まだです」 カギを握る新金線

 国道6号「新宿拡幅」の新宿地区は、まず6車線に拡幅したのち、中川から新宿地区にかけて本線の高架橋を構築するという、金町立体と同様の手法がとられる予定です。その高架橋の終端部で、高架化された新金線を“くぐる”ことが前提になっているといいます。

 首都国道事務所によると、今回の歩道橋撤去は国道の拡幅の準備工事となるものですが、歩道橋自体が老朽化していることも大きいといいます。肝心の拡幅事業のスケジュールについては、まだ決まっていないのだとか。新金線の方針が決まらない限りは、立体部の工事は始められないといいます。

 一方、新金線の旅客化を担当する葛飾区の交通政策課によると、新宿踏切については「ここだけを高架化するのか、より長い区間で連続的に高架化するのか」を検討している段階とのこと。


中央が新宿踏切。国道6号新宿地区は両側に拡幅用地が確保されている(画像:Google earth)。

 新金線の旅客化にあたっては、1日あたり片道84本のダイヤで検討したところ、平面交差のままでは、列車にも日常的に遅延が生じ続けるリスクを含んでいるとの結果が出ています。ここで新宿踏切だけを高架化すれば、勾配が大きくなりすぎて、前後の踏切の多くが空頭不足になるという検討結果も。

 東京の渋滞名所に改善のメドが立つか否かは、この貨物線の対応方針がカギを握っていると言えそうです。