イスラエルによるガザ地区への侵攻に対しては人道上の懸念から停戦を求める声が各国から寄せられていますが、イスラエルは「ハマスのガザ地区トップの殺害」を軍事作戦の目標に定めてガザ地区への侵攻を続けています。そんな中、アメリカとイスラエルの投資ファンドが親イスラエル的な世論を形成するための作戦グループを形成し、「親パレスチナ的な従業員の解雇」「親パレスチナ的な活動家の活動妨害」などを促進していることがジャーナリストのジャック・プールソン氏とリー・ファン氏が入手した内部情報によって明らかになっています。

Inside the Pro-Israel Information War

https://jackpoulson.substack.com/p/inside-the-pro-israel-information

親イスラエル的なPR活動を行うグループを運営しているとされるのは、アメリカとイスラエルの投資ファンド「J-Ventures」です。両氏によると、J-Venturesは「避難中のイスラエルの子どもたちへの物資支援やメンタルヘルスケア支援」といった慈善活動も行っていますが、「反イスラエル的なSNS投稿の自動通報システムの開発支援」「イスラエル海軍の特殊部隊『シャイェテット・13』への戦術装備支援」「イスラエル国防軍の特殊部隊『ドゥヴデヴァン』の支援財団に対する資金援助」といったイスラエルの軍事行動やPR活動を直接支援する活動も行っているとのこと。

さらに、J-Venturesはチャットアプリ「WhatsApp」上に「J-Ventures Global Kibbutz Group」という名前のグループを作成し、親パレスチナ的な活動家の情報共有や親イスラエル的なPR活動につながる情報を共有しているとのこと。プールソン氏とファン氏はJ-Ventures Global Kibbutz Groupのメンバーリストや会話ログを入手しており、OracleのCFOを務めた経歴を持つジェフ・エプスタイン氏などの有名企業と関わりを持つ人物や、イスラエル外務省の外交官であるアンディ・デイビッド氏などの政府関係者がグループに参加していることを突き止めています。

グループの会話を記録したスクリーンショットが以下。グループの参加者が「ホームページ作成ツールを開発するWixの従業員であるコートニー・キャリー氏による親パレスチナ的なSNS投稿」を示して「彼女はWixの従業員です」とコメントすると、そのコメントから40分後にはWixのイスラエル担当ゼネラルマネージャーであるバトシェバ・モシェ氏が「私たちはその投稿を認識しており、すでに対応を開始している」という旨のコメントを残しています。この会話の後、キャリー氏は実際にWixを解雇されたとのこと。



また、当該グループには弁護士やアメリカ・イスラエル公共問題委員会(AIPAC)のメンバーも参加しており、「反イスラエル的な従業員の解雇」のほかに「反イスラエル的な活動家の処罰」「著名パレスチナ人が主催するイベントの中止」といった活動も行っています。インターネット上ではパレスチナ系のラシダ・タリーブ下院議員について「タリーブ議員は反イスラエル的な主張を広めている。彼女は辞職するべきではないか」という投票キャンペーンが実施されているのですが、このキャンペーンも当該グループが主導しているとのこと。



なお、両氏が公開した記事内では「J-VenturesのイスラエルPR活動に関する報告書」をダウンロード可能です。