スピーカーに飲み物置かないで!ライブハウス注意喚起が話題「ゾッとする光景」 公演中止リスクも...店長が切実訴え
東京・歌舞伎町にあるライブハウスが、スピーカーの上に「絶対にドリンク置かないで下さい!」とX(ツイッター)で注意喚起して話題になっている。「その日のライブや翌日のライブも中止になってしまう可能性がある」という。店長に詳しい話を聞いた。
「置きたい気持ちは分かりますが」店長訴え
注目されているのは、収容人数150人の「ライブハウス新宿SAMURAI」店長・馬場義也(@yoshiya_itsue)さんによる2023年11月中旬の投稿だ。オーディオブランド「JBL」の箱型スピーカーが積み重なるわずかな隙間にプラカップ入り飲料が置かれている写真を添え、次のように訴えた。
「スピーカーに水が入るとその日のライブや翌日のライブも中止になってしまう可能性があるので絶対にドリンク置かないで下さい!置きたい気持ちは分かりますが大事なライブがなくなってしまうことは絶対に避けたいのでご理解ご協力よろしくお願いします!!」
「怒ってる訳じゃないしX上で討論したい訳でもない」ともいう。
投稿は拡散され、Xでは「ゾッとする光景だ...」「うちのイベントでもやる人が本当に多くて困ってます!絶対にやらないで!!」「音響機器って本当水に弱いですからね」といった声や、「気をつけたい」などの反応が寄せられている。
馬場店長は29日、投稿に至ったきっかけを「終演後の清掃をしている時にスピーカーにドリンクが置かれているのを発見した」とJ-CASTニュースの取材に答えた。下記のような懸念を述べる。
「ライブ中にスピーカーに水が入ってしまうとその場で音が出なくなってしまう可能性があります。その日は症状が出なくても翌日になって音が出なくなってしまう可能性もあります。もちろん問題ないか毎日チェックしていますし予備のスピーカーも用意してあります。
しかしその日出演しているアーティストや、全く関係のない明日出演するアーティストにまで迷惑がかかってしまう可能性があるので少しでも機材トラブルを避けるためにお客様も注意していただけるととても助かります」
「置く場所が全く無い訳ではない」
スピーカーをめぐるトラブルは、「過去には出演者がステージ上で気持ちが盛り上がってしまいお水をバラまき、モニタースピーカーにかかってしまいライブを中断したことがあります」とも明かす。
ドリンク置き場を設けるべきとのXでみられた指摘には理解を示しつつ、普通の飲食店ではなく、小規模なライブハウスの形で営業しているため、「少しでも客席を広くしてゆったり見ていただきたいので机を置くことは現実的に難しいです」。
一方で同店に関しては、「フロアの片側がカウンターテーブルになっていてドリンクを置く場所が全く無い訳ではない」と説明した。下記のような対策もしている。
「終演後にアイドルの物販でお客様がステージへ上がることがありますので、その際には必ず店内でマイクを使いステージへのドリンク持ち込みもご遠慮いただきたいというアナウンスは毎回入れています」
蓋つき飲料も用意「ただ全てこのような形にしてしまうと...」
ほかにも馬場店長は「『零れないようなドリンクを提供すれば良い』という意見もとても良く分かります」と述べ、既にペットボトルや瓶を数種類用意していると伝えた。投稿によると、アルコールとソフトドリンクのいずれも蓋つき飲料がある。
「ただ全てこのような形にしてしまうとライブハウス入場時にご購入いただいている1ドリンク600円という値段に見合ったサービスができなくなってしまいます」と馬場店長。
「600円を頂くからにはドリンクも楽しんでいただきたいという気持ちを込めて、とても多くのアルコールやクリームソーダや温かい飲み物なども用意しています」とし、次のような思いを訴えた。
「入場時にご購入いただくドリンクの売上がライブハウスを支えているのが事実です。同時に多くの若手アーティストの表現の場を支えていることにもなります。ただ収益目的で高いドリンクを提供しているわけではないので、そこまでご理解いただきたいというのが正直な気持ちです」
スピーカーをめぐっては今後、「今回置かれた場所に関しましてはドリンクを置けないよう、壁とスピーカーの間に簡易的な壁を作り対策していく予定」だという。