柏木由紀AKB48卒業! デビュー前から取材する記者も驚く「10年前から明かしていた“芸能人生の行き先”」
柏木由紀(©DH)
10月20日、AKB48の柏木由紀が卒業すると発表した。同グループ最年長の32歳。発表したのは、AKB48の日本武道館コンサートの場だった。「やっと卒業する決心がつきました」と本人は語った。
そろそろだろう。そう感じていた人も少なくなかった。2023年8月、一部夕刊紙が「柏木由紀卒業」をスクープした。「10月20日からの武道館コンサートで発表」とまで書かれていた。結果、その通りに事は進んだ。人生の半分をアイドルとして過ごしたレジェンドは、2024年3月、卒業コンサートを開催し、グループから巣立っていく。
小学生2年生でモーニング娘。に憧れるようになった。自宅で振り付けを覚え、学校では友達にダンスを教えた。いつしかアイドルになろうと、オーディションを受けるようになるも、落ちまくる。ファッション誌にAKB48のメンバー募集の広告を見つけ、応募。合格したのが中学3年生の12月だった。
とにかくアイドルになることしか考えていなかった。中学時代はアイドルの動画ばかり見ていて、勉強は放棄していたという。
柏木は「アイドルは天職」と公言している。通常、アイドルはアイドルのままではいられない。20歳前後になると、「これからの人生をどう生きるか」という壁にぶつかるものだ。その壁を乗り越えようとして日々悩むようになる。次の人生をどう生きるべきか。女優か、タレントか、それともビジネスを始めるのか。そもそも自分が芸能界に残れるのか。残ったとしてやっていけるのか。いっそのこと引退しようか――。
理想と現実が交錯し、自分が本当にやりたいことを見つけ出していく。そして、見つかったら卒業する。
筆者は柏木をデビュー直前の2007年3月から何度となく取材してきた。1st写真集の沖縄ロケにも同行しているし、DVD撮影のために訪れたグアムにもお供している。卒業の報を受けて、過去のテープ起こしを読み返してみた。すると、10年ほど前のインタビューで興味深い回答を発見した。質問は「来年の目標」だ。
「前から言ってるんですけど、音楽の勉強をしたいです。いつかアイドル・アーティストみたいな存在になりたくて。ピンクとかフリフリの衣装も着たいですけど、アイドルがすごい好きだから。アイドルに甘んじないで、作曲、歌の練習も本格的にしたいです。アイドルとアーティストの中間くらいで、楽器も弾ける存在になりたいです。でも、アイドルは捨てられないんですよね」
この取材からおよそ10年が経過したが、まさか柏木がまだアイドルを続けていようとは予想していなかった。しかし、柏木はアイドルであり続けた。
今月、発売された彼女の著作『いくつになったって、アイドル』にこんな記述を見つけた。
「『何をしたいですか?』とか『どんな自分でありたいですか?』と聞かれてもびっくりするくらいビジョンがないんです」
そう、柏木の人生にはアイドル以外の選択肢がないのだ。だから、他のことを考える必要がないままアイドルを続けてきたし、今後についてもアイドル以外の明確なビジョンがないのだ。柏木はAKB48の肩書がなくなるだけで、これからも可能な限りアイドルでい続けるのだろう。
近著のタイトルが彼女の意志をそのまま表している。『いくつになったって、アイドル』。柏木は今後もプレイヤーとしてステージに立ち続けるはずだ。
取材・文/犬飼華