(写真・時事通信)

 岸田文雄首相は、10月23日の所信表明演説でリニア中央新幹線について「整備に向けた環境を整え、災害時も途切れない広域交通ネットワークの構築を進める」と述べ、開通への意欲をみせた。

 岸田首相は2023年の年初会見でも「全線開業に向け大きな一歩を踏み出す年にしたい」と語り、リニア開業後の在来新幹線の本数を試算する考えを表明していた。

 その試算が公表されたのが10月20日のこと。国土交通省は、東京―大阪間のリニア開通により東海道新幹線の輸送力に余裕が生じ、静岡県内の駅の停車回数が現状の1.5倍に増加するとの調査結果を公表。利用者の増加により、10年間で1679億円の経済効果が見込めるとした。

 静岡県にとっては喜ばしい話のはずだが、この調査結果を「お粗末で、呆れている」と痛烈批判している人物がいる。リニアの県内着工を頑として認めない静岡県の川勝平太知事だ。川勝知事は10月23日の会見で、この調査を「あくまで仮定。実現できるかどうかわからないことを10カ月かけてやられた」と酷評した。

 この知事の言い様に、SNSでは批判の声が多数集まっている。

《お粗末なのは川勝知事、あんただろ》

《おいおい、国交省を批判する前に 自分の屁理屈がお粗末で世間に 呆れられてる事に気が付きなよ。国交省が時間をかけたのはあんたがごねるのを想定したからだろ》

《静岡県に新幹線ができて、どれだけ経済効果を享受して来たのか、JR東海との共生を考えた方がよい》

《この程度の調査以上の完成度高い評価書とやらを静岡は提出してみろよ 昔気質のパワハラ上司みているみたいだわ》

 川勝知事は会見で「JR東海は民間会社、したがってダイヤについて国がどうこう決めることはできません」とも発言。

 これに対し、静岡県議の山本隆久氏はXで

《静岡県も空港新駅を設置した仮定でのダイヤ状況を1500万円かけて調査してます。新駅もダイヤも県が決める事じゃないよね》

 と、川勝知事の批判が的外れであると指摘している。国交省のまとめによると、現在新幹線が約20分に1本停車している静岡駅、浜松駅では12分に1本になるとしている。

 折しも、10月23日には愛知県内の線路わきで発生した火事の影響で、東海道新幹線は午前10時半から2時間近く運転を見合わせ、約10万人の足に影響が出た。

《新幹線止まってるやん。リニアがあればなー!!誰やリニア工事止めてるのは!》

《新幹線が止まるたびに思う。リニアは、あったほうがいい。静岡県…》

 そんな声がSNSであがる始末。日本の大動脈でありながら、新幹線のなかでもっとも災害に弱い東海道新幹線。一刻も早く代替輸送機能の構築が望まれるところだが……。