いよいよ食欲の秋が到来!甘美な旬の食材にあふれる美食都市・東京。

年に1度だけの豊食の季節に、ぜひ足を運びたい話題の新店を厳選してお届け。

いまこそ食べに行きたい逸品がある、日常使いにももってこいの5軒がこちら!


1.シンプルこそ大人の贅沢。〆のいくらご飯は旬の愉しみ
『東山無垢』@中目黒



2023/7/1 OPEN



表通りから一歩入った閑静な住宅街に現れる石塀と、さりげなく灯る看板


話題店ひしめく中目黒にまた一軒、注目の和食店がオープンした。

駅から歩くこと10分余り、住宅街の一角にポツンと燈る灯りを見やれば、『東山無垢』と書かれた看板が目に映る。


無駄なものをそぎ落とした先に、究極の洗練空間が創られる

扉を開くと真っ白な壁に囲まれたアプローチが静謐な雰囲気を醸し出す


“無垢”の店名通り、白を基調とした店内は至ってシンプル。



カウンター8席のみのこぢんまりとした設えながら、ゆったりとした時の流れを感じさせる空間は、貸し切りも可


清白なイチョウの木のカウンターが凛とした趣を漂わせている。そして、その料理も一切の無駄を削ぎ落とした潔さが光る。



ご主人の三島氏は島根県出身の42歳。サラリーマンを経て料理人となった異色の経歴だ


店主の三島立己さんは、横浜の『鶴寿』で7年間料理長を務めあげた後、この地で晴れて独立。

「ここでは、華美でインパクトのあるハレの料理よりも、普段食べている要素をより上質にした料理を提供していきたい」とは三島さん。


美しく輝く魚卵を旬にいただく。それこそが、成熟した大人の粋な嗜み


16,500円コースの〆に登場する「いくらご飯」。

今が旬のいくらは、もちろん自家製。漬け地に追い鰹をして、より鰹の旨みと風味をプラス。ご飯は、岐阜の龍の瞳を使用。出汁で炊きあげている。



「うざく」。宍道湖の天然鰻を蒲焼にし、きゅうりや茗荷、大葉と生姜と共に加減酢であえている。パリパリに焼いた皮の香ばしさに加減酢の酸味が軽快で、目にも鮮やかな一皿


例えば“うざく”。本来は三重の郷土料理だが、彼は天然鰻を用い、カットも大胆に提供。

蒲焼とは一味違う割烹料理店の一皿として昇華させている。



「甘鯛と松茸のお椀」。甘鯛は酒蒸しにしてあり椀妻は春菊。出汁には奥井海生堂の蔵囲い利尻昆布と鵜飼商店の拘りの本枯節を使用


その目指すところは食べ疲れしない味。それを踏まえたコース運びも絶妙だ。

値段も適正。身近な贅沢を堪能したい。


■店舗概要
店名:東山無垢
住所:目黒区東山1-15-5 静宏荘 1F
TEL:070-3149-4112
営業時間:18:00〜(最終入店 20:00)
定休日:月曜を中心に月6回程度
席数:カウンター8席



2.フレンチの雄、コルビ氏による上質なカウンターで東京の秋を感じる
『DOMINIQUE CORBY』@表参道



2023/5/7 OPEN



店は、骨董通りから少し入った静かな一角にある。ハイブランドが立ち並ぶ青山の地にあって、客層も洗練されている

南青山に立つデザインビルの一角は、洒落た大人で今宵も賑わう


パリの老舗レストラン『ラ・トゥール・ダルジャン』で活躍したあと、同・東京店の総料理長として来日。

その後も、多くの店のシェフを歴任し、約30年に渡り東京のレストランシーンにその名を轟かせるグランシェフ、ドミニク・コルビさんの新天地が南青山にオープンした。



来日して来年で30年になるコルビさん。日本の食文化への深い理解があってこその、独自のフレンチの世界観を構築している


新橋で営んでいた店舗を移転し、『DOMINIQUE CORBY』と店名を改めた今回の店は、コルビさんとの会話も楽しいカウンターと、会食などにも相応しい落ち着いたテーブル席からなる、コージーな空間だ。

長年日本各地を積極的に巡り、各地の優れた食材や食文化への造詣が深いコルビさん。

それだけに、料理には出汁や味噌なども積極的に使われるが、コルビさんが磨いてきた技術と融合して完成する品々はあくまでフレンチ。




「牡蠣のグラティネ」は、オランデーズソースや黒オリーブのパウダーをかけてグラタン仕立てにした温菜。




コースに必ず登場する「茶碗蒸し」は、フランス料理の「フラン」をアレンジしたシグネチャーだ。

羅臼昆布の出汁、味噌や日本酒も使用。この日の具は柔らかく煮たオックステール。



メインの「仔羊のロースト」には乳化させたパセリのソースを添えて彩り良く。料理はコース(16,500円)の一例


軽やかな味わいの品々と、ワインのみならず日本酒とのマリアージュも楽しく、感性が刺激される時間を過ごせる。


■店舗概要
店名:DOMINIQUE CORBY
住所:港区南青山6-13-1 イデアルビル 1F
TEL:070-9122-1898
営業時間:18:00〜(L.O.19:30)
定休日:日曜
席数:カウンター8席、テーブル8席 ※要予約



3.普段使いできるお値打ち鮨店の最高峰がここにある
『すし 其一』@人形町



2023/7/6 OPEN



店名は、宗達、光琳に続く江戸琳派の絵師・鈴木其一にちなんだもの。カウンターの他テーブル席もある


コストパフォーマンスの良さで、ともにミシュランのビブグルマンに選出されてきた町寿司の名店、初台『すし宗達』と渋谷『すし光琳』。

この2軒を手掛けてきた新田真治氏の次なる一手がここ。人形町で今、話題のスポット「ハシゴ楼」にオープンした『すし 其一』だ。

「これまでの2店舗とクオリティーは同じ。むしろ、現在は開店まもないこの店に一番いい鮨タネを回しているほど。ここはランチも営業しているので、より気軽に来てもらえると思います」とは新田さん。

新店を託したのは藤田 清さん27歳。若い彼をベテランの鮨職人2人がしっかりサポート、盤石の布陣でスタートを切った。


3,300円〜のお決まりでもお好みでも。自由度が高い鮨の満足度の高さたるや!

やま幸の塩釜産天然本マグロの赤身。あきたこまちに横井醸造の與兵衛と金将の2種類の酢を用いた酢飯は、いわゆる“赤シャリ”。マグロやコハダによく合う


常時30種余りがそろう鮨タネは、80円のゲソ、玉子から一番高いウニでも980円!

あのやま幸の天然本マグロも中トロ480円、赤身380円のお値打ち価格。




豊後水道で漁れたシマアジ。




やや甘めに締めたコハダは佐賀産。




人気の穴子。取材日は宮城松島産。

400〜500gの大きめの穴子をふわふわの食感に煮あげている。




ネギトロ巻き。握りに使えない部分を叩いて使用している一品。

写真はすべて5,500円のおまかせ握り(握り11貫、玉子1貫、巻物1本、味噌汁)より。



その日のおすすめ握りやつまみがぎっしり書き込まれた黒板メニュー。どれにしようか迷う時間も楽しい


握りだけではない、「自家製いくらおろし」や「アマダイ松笠焼き」等々豊富な肴も明朗会計。

好きな握りや肴を好きなだけ、懐を気にせず頂ける醍醐味はここならではだ。




お酒は、焼酎やハイボールなどバラエティも豊富だが、ワインはあえて置かず、イチオシは日本酒。

開運や七賢などの定番の3種のほか季節の限定酒が常時4〜5種類ほどそろう。一合 660円〜1,100円。



「ハシゴ楼」の5階にオープン


■店舗概要
店名:すし 其一
住所:中央区日本橋人形町1-19-5 エムズクロス人形町 5F
TEL:03-6661-6218
営業時間:ランチ 11:00〜14:00
     ディナー 17:00〜(L.O.22:00)
定休日:施設に準ずる
席数:カウンター10席、テーブル10席
※電子決済のみ、現金不可



4.歌舞伎町の上空にある、想像を超える異空間レストラン&バー
『Restaurant Bellustar/Bar Bellustar』@歌舞伎町



2023/5/19 OPEN

アジア有数の繁華街・歌舞伎町に、今年5月に彗星の如く誕生したラグジュアリーホテル「BELLUSTAR TOKYO, A Pan Pacific Hotel」。

話題の新スポットである「東急歌舞伎町タワー」の最上部に位置し、熱気渦巻く歌舞伎町からひとたび高層階に足を踏み入れれば、天空の隠れ家のような静けさと圧倒的な非日常感に満ちている。


28席からなる圧巻の空間と、実力派のモダンフレンチに息をのむ

頭上には、ひときわ存在感を放つアーティスト・大巻伸嗣氏の作品が。かつて新宿に広がっていた水景をイメージしたモチーフが、壁や天井に投影される

素材が躍動する食体験に、旅したような心持ちに浸る


45階の『Restaurant Bellustar』は“素材で旅するレストラン”をコンセプトに掲げる。

開業前にパリの三ツ星レストランで研修を行なったシェフの竹末宗弘さんは、ひとつの食材に多様な調理を施し、その魅力を多角的に表現する。




熟成を施し、ベニエに仕上げた「沼津の真ハタ」にサフランのソースが華やかな香りを添える。別皿でスープドポワソンや「真ハタのビスキュイ」も登場。

「TSUKI」コース(17,000円)の一例。




「埼玉・明石農園のじゃがいも」は、3種類の調理を施したじゃがいもを、じゃがいもを練り込んだパンとともに。




30日熟成の経産和牛は、藁で燻してきのこのソースやバルサミコと奈良漬けの薬味などを添える。

ともに「HOSHI」コース(23,000円)の一例。


■店舗概要
店名:Restaurant Bellustar
住所:新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー内 BELLUSTAR TOKYO 45F
TEL:03-6233-8800
営業時間:ランチ 12:00〜(L.O.14:00)
     ディナー 17:30〜(L.O.21:00)
定休日:無休
席数:テーブル28席、個室1(8席)
※要予約
※価格はすべてサ込



既視感なきライティングの中で、下界の熱気を見下ろす優越

バーにも、レストランと同じく大巻氏の作品が。こちらは、青い光がより幻想的な印象に。高さ約200mからの見事な夜景と融合する


そして、同フロア、お隣にある『Bar Bellustar』は圧巻のシティビューがお出迎え。

レストランの余韻をさらに高めるも良し、歌舞伎町の喧騒から一転するギャップを楽しむも良し。夜景に没入し、高揚感に包まれること必至だ。


刺激あふれる街を尻目に、ラグジュアリーを極める逆説の妙


窓際のコーナーソファ席を独占できるプラン「Star Ride Platinum」58,000円(2名)はバリューな内容にも注目。

プレステージシャンパン「ペリエ ジュエ ベル エポック」に、フィンガーフードのスタンドとフルーツプレート、小菓子が付く。




料理にヒントを得たオリジナルカクテルシリーズでも特に人気の「グルマン・ブラッド」(2,800円)は、プレミアムテキーラ「ドン・フリオ」をベースに、フレッシュトマトやポルチーニソルト、独自に調合した「グルマンスパイス」を合わせた1杯。




クリエイティビティ溢れるカクテルを考案する吉田茂樹さん。


■店舗概要
店名:Bar Bellustar
住所:新宿区歌舞伎町1-29-1 東急歌舞伎町タワー内 BELLUSTAR TOKYO 45F
TEL:03-6233-8455
営業時間:【月〜金】17:00〜(L.O.23:30)
     【土・日・祝】13:30〜(L.O.23:30)
定休日:無休
席数:カウンター5席、テーブル52席
※価格はすべてサ込



5.“居酒屋以上クラブ未満”。ワクワクが止まらない新店
『ストップザシーズンインザサン』@原宿



2023/7/7 OPEN



大きな窓があって夜空も望めるスタンディングスペースは、クラブとは一味違う雰囲気が新鮮。毎週金・土の夜にDJが入る

時間に縛られない大人こそ立ち寄る、原宿に潜む常夏の秘密基地


誰もが知っている夏を代表するあの名曲のタイトルを、大胆にも店名に冠した新店『ストップザシーズンインザサン』が、原宿の裏通りに登場した。

デザイン集団のterminal incと広告・編集プロダクションのTRICLE.LLC、いずれも原宿に拠点を構える2社がタッグを組んで開店。

オープンするやいなや、使い勝手の良さで感度の高い人々の間で話題になっている。

掲げるコンセプトは“居酒屋以上クラブ未満”。エントランスを入ると、まずDJブースとオープンキッチンに面したカウンター&スタンディングのスペースが。南国テイストのグリーンが空間のアクセントだ。

そして、店の奥へ進むとムードが一変。昭和レトロなソファやテーブルが並ぶラウンジが広がる。



カラフルなエディブルフラワーがあしらわれ、なんともフォトジェニックな「フローラルアーシーモヒート」1,600円。自家製のごぼうシロップの風味が意外なほどマッチする


趣向を凝らしたオリジナルカクテルを片手に“SEXY&URBAN”をテーマに選曲される音楽に身を委ねるもよし、無国籍感覚のスパイスフードと会話を楽しむもよし。


ライトに楽しめるフード&カクテルがずらり


7種類から好きな組み合わせを選べる「タコス3種セット」1,590円。

写真は上からラテンエビチリ、穴子スパイスフリット、カルニータス。自家製サルサをつけて頬張ろう。




「ポテトフライスパイスムーチョスタイル」(590円)は、ロゴ入りのペーパーバッグに入れて提供。

ロングセラーの辛味系スナック菓子の味をイメージしてスパイスをブレンドしている。




「インザサンサワー」(1,500円)は、メスカルにジュースや自家製紫蘇シロップを合わせたオリジナル。


曲名を聞くだけで夏の名曲が脳内で再生!

懐かしさを誘う、90年代にスタンダードだったCDの“8cmシングル”のジャケット。ここでは、伝票ホルダーとして活用


誰かを連れていきたい、とっておきの一軒になりそうだ。


■店舗概要
店名:ストップザシーズンインザサン
住所:渋谷区神宮前1-14-21 バルビゾン80 2F
TEL:03-4400-2242
営業時間:15:00〜(フード L.O.22:30)
定休日:月曜
席数:カウンター10席、テーブル10席、ラウンジ23席、スタンディング10名相当
※ラウンジのみチャージ 1,000円
※電子決済のみ、現金利用不可


▶このほか:【ほろ酔いシネマVol.9】N.Y.のセレブ御用達ホテルの映画を、芳醇なロゼワインとともに