J1リーグ第29節 横浜FM0(0−2)2神戸
19:03キックオフ 日産スタジアム 入場者数30,800人
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Jリーグの優勝を占う大一番。シーズンも佳境を迎えリーグを代表するビッグ2のスリリングな直接対決であるハズだった試合は、あらゆる面で見るものの期待を満たしたとは言い難かった。

戦術・戦略的に見どころは満載の試合ではあった。とりわけ神戸の横浜FM対策は見事で、前半は思い通りの展開で試合をリードした。そして後半になると、横浜FMが反撃を開始して戦略面で神戸は劣勢に立たされた。ここで横浜FMが1点でも返していたら、試合展開はずっとスリリングになっていたのだろう。だが、退いて強固なブロックディフェンスを敷いた神戸に、横浜FMは決定的な得点チャンスを生み出すまでには至らなかった。

会心という言い方が適切であるかどうかはさておき、神戸にとっては願った通りの勝利。悲願のJリーグ初制覇を、大きく手繰り寄せた意義深い勝利であった。

だが、これがJのトップチーム同士の、最高峰の戦いであることへの釈然としない疑問は残る。観客動員は日産スタジアムの容量半分以下の30,800人。ラグビーや野球、バレー、バスケ……。様々な団体スポーツがシーズンや大会の佳境を迎えるなか、サッカーはそうしたスポーツよりも面白いと断言できるコンテンツを提供していると言えるのか……。しばらく前からそうであるが、スポーツコンテンツとしてのサッカーの底力が問われているのは間違いない。

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。