J1リーグ第28節 湘南 0(0-2)2 川崎F
16:05キックオフ 国立競技場 入場者数54,243人
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湘南が国立競技場をホームにして戦うのは1999年以来のこと。全国的に注目を浴びる試合となったが結果は伴わなかった。

5万人を超える観客動員を実現し、Jリーグにとっては興行的に大成功な試合とはなったが、湘南にとってはそのことが有利に働いたのか。ピッチも環境も異なる国立でのプレーで、降格ライン瀬戸際のチームが、ホームゲームのアドバンテージを生かせたようには見えなかった。

内容的には、これまで湘南を苦手としてきた川崎の快勝だった。湘南は後半に盛り返したとはいえ、決定的なゴールチャンスはほとんどなかった。ACLを含めた厳しい日程のゲームを消化する川崎のペースを覆せなかった印象の方が強かった。

試合後の会見で、湘南の山口監督は「精神力」という言葉を何度も口にした。理詰めなだけではサッカーはできない。そうであるならば、サッカーの確定要素と不確定要素は何であるのか。川崎のさして強固に構えたわけではない守備ブロックを崩せずに、単純に攻撃の圧を強めていく湘南を見ながら、サッカーの根底は何であるのかを考えさせられた試合だった。

田村修一(たむら・しゅういち)
1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学院経済学研究科博士課程中退。1995年からフランス・フットボール誌通信員、2007年から同誌バロンドール選考(投票)委員。現在は中国・体育週報アジア最優秀選手賞投票委員も務める。