年齢を重ねると、体力的にも片づけが大変になってきますよね。家の中で転倒してケガをする危険もあるため、できるだけスッキリ暮らしたいもの。ここでは、50歳から本格的にミニマムな暮らしをスタートさせたという、カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さん(現在60代)に、年齢を重ねてからの片づけのコツを教えてもらいました。

50代60代以降におすすめの片づけのコツ7つ

老後はもっとシンプルに暮らしたいと思っている人に、見直したほうがいいものや、不用品の捨て方のコツを紹介します。

●1.ものがたまっている場所から始める

まずは、ものが雑然とたまっている場所から片づけ始めるのはどうでしょうか?

部屋の中をざっと眺めてください。テーブルの上やキッチンのカウンター、茶箪笥や書棚の上など、なんでも置いてしまう場所がありませんか? たいていそこは、ものをのせるのに好都合な平らなスペースです。このような場所をきれいにしましょう。

テーブルやカウンターの上がきれいだと、視覚的なノイズ(ぐしゃぐしゃな光景)がなくなるので、気が散らないし、掃除もラクになります。

今後、不用品を引っ張り出して、捨てる・捨てないと判別する場所をつくることもできますね。

●2.飾りものを見直す

飾りものは厳選してください。とくに年配の人は長く生きているため、記念品をたくさん持っているものです。旅先で自分で買った土産や、人からもらったギフトなど。

90歳になった私の母は、絵手紙を描くのが趣味で、自分で描いたハガキを、アトリエとして使っている部屋の壁いっぱいに貼っています。コレクションの陶器を食器棚いっぱいに飾っている人もいるかもしれません。

でも、ものを飾りすぎると、目にうるさいですよね? 飾りものは厳選して、本当に好きなものや、飾る意義のあるものだけを飾りましょう。そのほうが、1つひとつの飾りものが引き立ちます。

●3.危険なものを取り除く

年を取ってくると、体を動かしにくくなるので、扱いが大変なものや、転倒の原因になりそうなものを捨てましょう。たとえばこんなものを見直してはどうでしょうか?

・マット

・床の上に落ちているもの

・壊れた椅子やテーブル、その他の家具

・古い家電

・上から落ちてきそうなもの

・古い薬、化粧品、食品

・重たい食器、調理ツール

・直そうと思って直さずに何年もたってしまった雑貨

●4.ダブっているもの

1つあれば十分なのに、2つも3つも持っているものがあったら、ダブっている分を捨てましょう。

日本は食文化が豊かなので、食器など台所に関係のあるものが増えがちです。引き出物としてもらったり、セールで買ったりして、似たような鍋や調理ツールがたくさんありませんか?

ダブっている品物は、とくに愛着があるわけではないですよね? 場所を取るだけなので、いつも使うもの以外は処分してはどうでしょう? まだきれいで十分使えそうなものは、寄付するといいでしょう。

●5.子どもの作品

とうの昔に成人した子どもが小さかったとき使っていたものや、つくったものを未だに持っているなら、今度こそ処分しましょう。ランドセルや習字道具、通知表や作文、図画工作の作品です。

こうしたものは、いっそ、お子さんに返すのはどうでしょうか? 多くの場合、「もういらない」と言われると思います。私は、自分が子どものときに書いた作文や手紙、こしらえた工作などを、今さらほしいとは思いません。

しかし、中には、ほしいと言う人もいるかもしれません。その場合は、自分の家ではなく、子ども自身の家に置いてもらいましょう。

子どもに、昔の作品が必要かどうか聞くとき、思い出を語り合うのもいいと思います。大切な思い出は、ものではなく、それをだれかに受け継ぐときにする会話や、共有した時間ですから。

もちろん、「もういらない」と言われたら、潔く手放してください。

●6.他人のために取ってあるもの

自分はもういらないけど、これは、子どもや孫が使うかもしれない、友人が欲しいと言うかもしれないと思って、不用品を残すことがよくあります。

人はものを捨てるのが嫌なので、捨てなくていい理由をいろいろと考えつきますが、「だれかがそのうち必要とするかも」というのは、典型的な捨てない言い訳です。

「子どもや孫、親戚のだれかがそのうち欲しがるかも」と思うなら、当人に、必要かどうか聞いてください。もし、「欲しい」と言われたら、今すぐあげて、自分の家から出しましょう。

ものが余っている現代は、だれもが必要以上にものを持っています。他人のお古を欲しがる人は、そんなにいないでしょう。

●7.もう使わないもの

最後に使ったのがいつか思い出せないものは、もう捨ててください。だれも使わないものをずっとそこに置いておいたところで、なんの意味もありません。どうせいつかは、だれかが捨てることになります。

自分で片づける体力がなくなったあとに、子どもたちに面倒をかけるより、今のうちに捨てた方がみんな幸せですよね。ガラクタを捨てれば、その日から、暮らしやすくなりますから。

使うかどうか、判断できないと思うものは、箱の中にひとまとめにしておき、3か月〜半年ほど様子を見るのもいいでしょう。必要になったら箱から出して使えばいいし、まったく使うことがなければ、処分しましょう。

以上、シニア向けに片づけのコツを7つ紹介しました。不用品を捨てると、家の中の風通しがよくなり、心も軽くなります。この気持ちよさをぜひあなたも感じてください。

筆子さんの著書『50歳からのミニマリスト宣言!』(扶桑社)では、ここで紹介した以外にも、上手なものの減らし方や、ミニマリストになってよかったこと、体と心の健康を保つコツなど、これからの暮らしに役立つ内容をたっぷり掲載しています。