ズル! 緊急車両を追走して渋滞を回避する「モーセの海割りコバンザメ」行為 法的問題は?
緊急車両がサイレンを鳴らし緊急走行している場合、近くにいる車両は端に寄せ道を譲らなければなりません。では仮に、走行の邪魔にならない後ろについて、緊急車両が“切り開いた”渋滞を回避すると問題になるのでしょうか。
え、逮捕されたケースもある!?
救急車や消防車などの緊急車両が赤色灯つけ、サイレンを鳴らして緊急走行している場合は、近くにいる車両は端に寄せ道を譲らなければなりません。その後ろにピタッとついて、緊急車両が“モーセの海割り”のごとく切り開いた渋滞を回避しようとする行為は、問題になるのでしょうか。
緊急走行する救急車のイメージ(画像:写真AC)。
2018年8月には、都内の渋谷区明治通りでトラック運転手が救急車の後ろを走って信号無視をしたとして、逮捕されたケースがあります。
しかしこれは“信号無視”をしたことに対しての逮捕であり、“緊急車両を妨害した”という件での逮捕ではありません。
基本的に緊急車両を追走すること自体は、緊急車両を妨害しているわけではないので違反行為とみなされることはありません。ただし、追走しているからといって緊急車両と同じく特別扱いを受けることはできません。
例えば、渋滞を回避するために緊急車両を追走したとしても、クルマの列をずっと突っ切っていけるわけではありません。緊急車両と一緒に赤信号をそのまま通過するなど、既存の交通ルールを守らなければ道交法違反になります。たとえ身内や友人が救急車に乗せられ、それを追っているときだったとしても同様です。
こうした緊急車両を追走する問題は、後を絶たないようです。X(Twitter)では、消防車の後方を5台のバイク追走し、渋滞を回避する様子を「緊急車両の後に続いちゃう一般のバイクさんのモラルよ」と投稿している人もおり、地方自治体のお知らせでも「救急車の後ろについて同じように進入すると大変危険であり、大事故につながります」と、注意喚起しているケースもあります。