ネットワークといえば、昔は、トラブルの温床だった。Windowsもかつては無線LANで接続トラブルが多く、有線のイーサーネットが高速で確実と思っていたが、Windows 10/11では、無線LANのトラブルにもほとんど出会わない。Pingなぞ、ここ何年も「打って」ない。

AndroidやChromebookは、最初から無線LANが想定されているため、最初から比較的トラブルは少なかった。ちなみにAndroidやChromebookもイーサーネットによる有線接続に対応している(写真01)。AndroidはMarshmallow(Ver.6。マシュマロ。2015年)でイーサーネットに対応した。最近のUSB-Type-Cコネクタを持つ機種ならば大抵のイーサーネットアダプタが利用可能である。筆者の経験では、マイクロUSBコネクタの機種では、アダプタとの相性問題があり接続できないこともあったが、最近では、オンライン通販サイトで買った適当なUSB Type-Cイーサーネットアダプタや複合デバイスでもネットワーク接続ができる。

写真01: Androidも適切なイーサーネットアダプタを接続することでイーサーネット経由でのネットワーク接続ができる。接続すると画面上部のステータス領域に左右矢印のイーサーネットアイコンが表示される

Windowsのネットワークは、ネットワークの知識を持たず何も考えなければ、何の問題もないが、ネットワークに詳しい者ほど理解がしにくい。ユーザーに細かいことを見せないように「オブラート」をかけているからだ。

写真02は、Windows 11の「ネットワーク接続」ウィンドウである。ここに表示されているのは「ネットワークアダプター」と呼ばれるWindowsのオブジェクトで、アイコンの右上のテキストがネットワークアダプターのエイリアス(詳細表示では「名前」)、右中央がネットワークプロファイル(同「状態」)、右下がアダプターの詳細(同「デバイス名」)である。

写真02: Windowsの「ネットワーク接続」ウィンドウ。ネットワーク・インターフェースやネットワークの名前を表示しているように見えるが、実際には、ネットワークアダプターとプロファイルを表示している

Windowsでは、ネットワークに関わる情報を得る機能が複数ある。前記の「ネットワーク接続」ウィンドウを表示するには、「設定 ⇒ ネットワークとインターネット」を使うが、昔からの方法としてコントロールパネルから「ネットワークと共有センター」開く方法もある。

このほか、タスクバーのタスクトレイとクイック設定などネットワーク機能に加え、コマンドラインでも、ipconfig.exe、netsh.exeコマンドやWindows PowerShellのネットワーク関連コマンドなどもある。

一般的にネットワークは、物理的な伝送媒体になるケーブルなどからなるNetwork(区別のため欧文表記する)と、コンピュータ側のInterface(同)から構成されている。Windowsでは、これを見せているのではなく「ネットワークアダプター」、「プロファイル」という情報(オブジェクト)をユーザーに見せている(表01)。Windowsが持っているオブジェクトそのものではないが、Windows PowerShellのネットワーク管理コマンドで、その一部を垣間見ることができる。またその断片がレジストリやファイルに記録されている(表02)。このウィンドウで「ネットワークアダプター」の名前を欧文に変更しておくと、コマンドラインでの指定時に日本語入力をしなくてラクだ。

■表01

■表02

前述の「ネットワーク接続」で見えるのは「ネットワークアダプター」と呼ばれるオブジェクトがもつ「表示名」である。「プロファイル」は、Networkや接続のための情報などからなるもので、見えているのはプロファイルの名前だ。そして「デバイス名」は、ネットワークアダプターが持つ詳細情報である。

ネットワークアダプターは必ずしも物理Interfaceに対応している必要はなく、仮想的なものや、物理Interfaceとの関係を失ったもの、仮想マシン用などがある。

Windowsは、物理的なNetworkをゲートウェイのMACアドレスで識別する(これをネットワークシグネチャと呼ぶ)。プロファイルは、Networkに関する情報を保持する。ネットワークの接続時に聞かれる「パブリック」、「プライベート」といったネットワーク種別は、プロファイルが管理している。そのほか、接続関連の情報がプロファイルとして管理されている。このため「接続プロファイル」と呼ばれることもある。このプロファイルも一部がレジストリにあり、接続中のプロファイルに限り、Windows PowerShellのGet-NetConnectionProfileでアクセスできる。しかし、無線LANやモバイルブロードバンド(携帯電話ネットワーク接続)に関する情報は一部ファイルとして記録されている。

Windowsの「ネットワーク」を理解するには、Interface、Network、そしてネットワークアダプターとプロファイルを理解する必要がある。もっとも、使うだけなら、何も理解する必要はない。

今回のタイトルネタはアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」(1939年。原題 And Then There Were None)である。一般に「クローズド・サークル」物ミステリの代表作といわれるが、「見立て」物を確立した作品といえる。そもそも、当初のタイトルは見立てに使われた童謡の曲名だった。この系列にあるのが横溝正史の「悪魔の手鞠唄」そして、「悪魔の子守歌」(怪奇大作戦)だろう。「見立て」というと、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」が嚆矢とされるが、その直系が小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」。残念ながら、どちらも忘れ去られようとしている。